製造業におけるキャリア自律とセルフブランディングの関係 -嶋尾かの子-
要約
近年の AI やデジタル技術革新により、新たなサービスが台頭し、今まであった仕事がそれらにとってかわられ、大きな変化が急激に押し寄せてくる時代となった。2013 年にはフレイ&オズボーンが「The Future of Work;労働の未来」について研究を発表し、10~20 年以内に労働人口の 47%が機会に代替されるリスクが 70%以上、という推計結果が出された。しかし日本の対応は緩やかで、人的資本経営や人材育成分野においては後れを取っていると言わざるを得ない。とりわけ、自動車産業における EV 車への転換により産業構造が変わると見込まれているスピードは非常に早く、開発や新規事業に対する準備が整っていないサプライヤーは多い。
しかし、年功序列型のキャリア形成の中では、多くの従業員が将来のキャリアイメージが描くことができないのが現状である。自律的なキャリア開発においては、自己認知とそれに基づいた未来のキャリアイメージが重要なポイントであり、それが自らのキャリアを切り開いていくことになるのではないだろうか。これをブランド構築の観点から言うならば、自己認知を上げ、周りの環境を知り、自らの強み=経験から培った能力やスキルで生きることに他ならない。まさにキャリアイメージがあることは、自らのキャリアに対するブランド構築=セルフブランディングの入り口になるのだ。
では、自己認知とそれに基づいた未来のキャリアイメージが従業員個人や会社に与える影響はどのようなものなのか。また、キャリアイメージが個人や組織のウェルビーイングに対して与える影響はどのようなものなのか。
本論は、急激な産業構造の変化により、サプライヤー企業で働く従業員の移動が見込まれる中、ブランド構築の入り口であるキャリアイメージが個人や組織に与える影響について、上司―部下間で行われたキャリア面談を基に考察するものである。分析する中で見えてきたのは、深い自己認知に基づいた未来の「キャリアイメージ」を持つことが、ウェルビーイングにおいて重要な役割を果たすということである。
キーワード
執筆年:2023 著者:嶋尾かの子
キャリア自律、セルフブランディング、製造業、スキル開発、ウェルビーイ
ング
本文
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