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地図と絵図の違いと愉しみ方の考察

地図と絵図の違いと愉しみ方の考察

【千葉富士男】
英語で陸の地図をマップ(map)と言い、海や湖の地図をチャート(chart)と言う。また狭い地域の大縮尺の地図(図面)をプラン(plan)と区別し呼ぶようだが,日本では地図という用語が共通に使われている。
・絵図と地図の違いとは何ぞや!
時間軸で見てみると、地図という単語が定着したのは明治以降とされ、それほど古い話でなく、それ以前は絵図という言葉が一般的であり、地図という表現が本格的に使われ始めるのは森幸安(江戸期の地図考証家・地図作製者)あたりからだろうと言われている。
では、絵図と地図は何がどう違うのだろうか。
絵図は「絵画的手法によって地物を表現した地図」(『近世絵図と測量術』川村博忠著/古今書院)とあるように、どちらかといえば直感的に把握できる表現方法に重きが置かれた図といえる。視点も完全な正射影ではなく、作者の目から見た景観を反映して描かれているケースが多い。江戸後期から明治にかけて絵図から地図に変化していく過程は、測量技術の発達とリンクすると言えよう。そういう意味では、地図という言葉は絵図よりも精度が高い(あるいはきちんと測量された)図という認識があったと考えられる。
その後、絵画的手法についても絵図という言葉はあまり使われなくなり、代わって「絵地図」という呼び方が一般化している点も興味深い。
<参考文献>
『みんなが知りたい地図の疑問50』(真野 栄一・遠藤 宏之・石川 剛 著/ソフトバンククリエイティブ)
『近世絵図と測量術』(川村博忠著/古今書院)

最近、仙台の59前の住宅地図が刊行された。日本中が東京オリンピックに沸いた、昭和39年の仙台、その年に発行された詳細な仙台地図帳が復刊した!
自宅周辺や職場・学校など、懐かしいまちなみや通い慣れた通りに、古いお店の名前が見える。また幾重にもモザイク的に積み重なった街の歴史と人や事故、災害、地形や水の表情を刻んで来た仙台の町名は昭和20年以降、仙台空襲で焼け野が原となった中心市街地は区画整理と新しい街並みが形成されて行く中で、どんどん新しい住居表示に変更され続け、特に昭和40年以前の今では見れない町名がそこにはあった。当時の仙台市電のルートや昔の学校名・企業や今では廃業した商店の名に役所名などが多く描かれ、1人で見ても、家族と見ても、祖父や祖母と見ても、往時を知る先輩方と、時代ごとに変化する昔の写真と見比べて観たりと、何とも愉しいのだ。
 
又、今日、友人から繪圖を戴いた。地図と古い写真と昔の繪圖を見比べて眺めていると、なんとも言えない程に愉しいのだ。近年、想像力の欠如から、現実が見えなくなる、と言う表現が使われる機会をしばしば見かけるが、その【想像する力】とは、こんな風に、地図と古い写真と昔の繪圖を見比べて眺めていると、培われるのやもしれない、と想う今日この頃。
友人知人と観るも良し、酒を酌み交わし一献傾けながら観るも良し、人生の先輩方から昔話を聴きながら、観るも良し、古いジャズを聴きながら今宵は、新しい古地図と古い写真と昔の繪圖を見比べ眺めつつ一献傾けようか。

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