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雑観 PV稼ぎと、その品格

 インターネット媒体やSNSの普及と増大に伴い、PV数を稼ぐことイコール=(広告費のアップ)が、インターネットメディアを利用する主な目的となってしまっている現状を鑑みると、より刺激的で、読者を釣る様な見出しを付ける事で、より多くの人にクリックしてもらおうという作為的な見出しや、記事的な持論を引用して自身のブログやWeb,SNSに誘導するという作為を目にする機会が加速度的に増えている現況を観て、雑観をひと節。

新聞倫理綱領

 新聞倫理綱領は1946(昭和21)年7月23日、日本新聞協会の創立に当たって制定されたものです。社会・メディアをめぐる環境が激変するなか、旧綱領の基本精神を継承し、21世紀にふさわしい規範として、2000年に現在の新聞倫理綱領が制定されました。
その最後の一説にこうある。
【品格と節度】
公共的、文化的使命を果たすべき新聞は、いつでも、どこでも、だれもが、等しく読めるものでなければならない。記事、広告とも表現には品格を保つことが必要である。また、販売にあたっては節度と良識をもって人びとと接すべきである。

 2000年から2015~6年に掛けて、ある記事がネット上を賑わせた。それは、、、     
   ※福岡のヤフオクドームであったパ・リーグのクライマックスシリーズ最終ステージの始球式に、「1000年に1人の美少女」と呼ばれるアイドルの橋本環奈さんが登場。ノーバウンドの投球を見せ、「橋本環奈ノーバン 天使すぎるセーラー服始球式」(日◯スポ◯ツ電子版)、「橋本環奈がノーバン投球♪セーラー服姿で3度目始球式」などと報じられたスポーツ記事を引用した形で、いくつかのメディアがそれぞれの論調を報じました。

 また、その記事を引用する形で、インターネット上にあたかも新聞やテレビニュース宜しく、記事風な見出しと共にアイドルの投げたボールがノーバウンドでキャッチャーミットに納まったか否かを、写真付きで紹介する「インターネットニュース」風な論調を張るブログがインターネット上にあっという間に氾濫し、ボールがノーバウンドするか否かより、【ノーバウンド投球の【ノーバン】の文字と投球するアイドルの写真を結びつけ、如何に大きく見出しとして目立つようにするかが、あたかもインターネット業界では問われているかの如く、週刊誌などでも大きな見出しとともに報じられていました。その週刊誌の見出しも又、読者に向けた釣りではあったのだが・・・・

 ノーバウンド=ノーバン<【ノーパン】を連想させる、所謂「釣り」的な典型の見出しで、読者を釣り、集める。
 こうした煽情的な見出しで、自らの持論や引用のWebやSNSに誘導し、PV稼ぎを狙う行為が、ネットニュースでは横行していると言わざるをえない状況は、2000年の時と現在を比較しても、何ら変わらず、その先導手法の巧みさは増すばかりと見受けられる。

 当時のメディア側の論調としては、
 アイドルのノーバン見出し、スポーツ紙の本音 ネット普及で急増か!
えっノーパン!? プロ野球の始球式を伝えるネットニュースの見出しに引っかかって、思わずクリックしてしまった経験のある方もいるのでは。    と、否定まではしていないが、そんな引っ掛け的な見出しが増えて、「品格に欠ける」的な言葉も添えられていたりして、我々メディアは>「あくまでも自分達の様な正当なメディアなのだ」と、読者を釣る様な見出しを打つスポーツ紙と、我々は明らかに違うのだ!と言わんばかりの論調に、読み手でもある【私は、何か気持ち悪い違和感を覚えた】事を記憶している。

 今年の4月6日、私の地元の大手地方銀行の重役や子会社の長を務めた海老一朗さんが94歳の長寿を全うされお亡くなりになった。海老一朗さんは、かなりの付く軍事オタクであり、自身も太平洋戦争中、15歳から16歳に掛けて、東北唯一の海軍の軍事工場であった「多賀城海軍工廠」にて戦時中に航空機用機銃や機銃弾薬をつくる作業を行なった事や、仙台市青葉区北一番丁通りにあった仙台簡易保険支局の屋上に設置された高射機関砲が、昭和20年の仙台空襲の際の米軍のB29に狙い発砲するも、上空はるかB 29には届かなかった旨の、証言とも、思い出話とも取れる口調で語られる昔話は、私をはじめ海老学校に通う面々は興味津々で、海老一朗さんにより語られる歴史の一コマ一コマを固唾を飲んで「正に海老さんが大好きだったウヰスキー」を片手に聞いたものだった。
 その海老一朗さんは大の週刊誌嫌いで、事あるごとに、あんな物に出てくる文章は読むに値しない、「騙り」に過ぎない、と断罪していて、元N◯Kのアナウンサーで記者をしていて後に国会議員になった海老学校の生徒が居ても、その舌鋒鋭い論調は変わらなかった。
 その海老一朗さん曰く、今こそメディアリテラシーが求められている、と嘆き、玉石混交のメディアを一刀両断にして、インターネットメディアは言うに及ばず、それらを読むだけでも自身が毒されるのだと断じていた事を思い出した。
 海老さんは、論文にも新聞記事にも品格や品位があり、品性が漂うもので、品位や品格がある文章や記事を書いた記者や論説委員、評論家や作家の文章や書籍、記事を追いかけて読んでいれば間違いないし、良い論調にも出逢え、文章を書く際の勉強になるんだと、海老学校で力説していた。

 文章にはおのずと品格や品性が漂うもの・・・
 この海老一朗さんの言葉を胸にひめ、文章を紡ぎ出すのは難しいのだけれど、意識するか、無視するかの差は大きいと感じる、令和6年5月30日のインターネットメディアの「29年ぶりの始球式」、と言う見出しを見て想う雑観でした。


資料編1   
PVを稼ぐとは?
ブログのPV(Page View、ページビュー)数とは、ブログ内で特定のページが見られた回数を表す数字です。
PV数を知ることで、公開した記事がユーザーにどれだけ読まれているのかを確認できるため、記事を改善するための指標としても活用できます。
PV数はページが表示される度に加算され、1人のユーザーが複数ページを閲覧したり、ページを更新(再読み込み)したりした場合でもカウントアップされます。
たとえば、1人のユーザーがブログを訪れて2つの記事を読んだら2PVとなるため、PV数が増えても読者が増えているとは限りません。
ちなみに、1人のユーザーがブログに訪れてから離脱するまでは1セッション(1訪問)とカウントします。
ユーザー1人が1ページだけを見て離脱しても、10ページ見て離脱しても、セッション数は1です。
PV数を増やすには、1セッションあたりのページ閲覧数をどれだけ増やすか(1ユーザーにどれだけ多くのページを見てもらうか、ブログ内を回遊してもらうか)という視点も大切です。
ブログの収益を増やすには、なにはともあれブログへの訪問(PV)を増やすことです。訪問者がいない状態では、もちろん収益は発生しません。逆にPV数(訪問者)が多ければ多いほど、広告をクリックしたり、商品・サービスを購入してくれる機会が増えるでしょう。また、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールでPVを分析することで、さまざまなブログ改善が可能になります。
こう言った仕組みを巧みに活かし、自らのWebやブログ、SNSに誘導され、PVを稼ぐ事で広告収入を伸ばすのが狙いであり、個人のサイトに限らず、多くの広告のバナーを貼っているサイトやSNSに共通する手法であることは言うまでもなく、また合法であることも言い添えておきます。


資料編2 
倫理や品格とは?
新聞倫理綱領 2000(平成12)年6月21日
 21世紀を迎え、日本新聞協会の加盟社はあらためて新聞の使命を認識し、豊かで平和な未来のために力を尽くすことを誓い、新しい倫理綱領を定める。
 国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。
 おびただしい量の情報が飛びかう社会では、なにが真実か、どれを選ぶべきか、的確で迅速な判断が強く求められている。新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである。
  編集、制作、広告、販売などすべての新聞人は、その責務をまっとうするため、また読者との信頼関係をゆるぎないものにするため、言論・表現の自由を守り抜くと同時に、自らを厳しく律し、品格を重んじなければならない。

自由と責任
 表現の自由は人間の基本的権利であり、新聞は報道・論評の完全な自由を有する。それだけに行使にあたっては重い責任を自覚し、公共の利益を害することのないよう、十分に配慮しなければならない。

正確と公正
 新聞は歴史の記録者であり、記者の任務は真実の追究である。報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。論評は世におもねらず、所信を貫くべきである。

独立と寛容
 新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない。他方、新聞は、自らと異なる意見であっても、正確・公正で責任ある言論には、すすんで紙面を提供する。

人権の尊重
 新聞は人間の尊厳に最高の敬意を払い、個人の名誉を重んじプライバシーに配慮する。報道を誤ったときはすみやかに訂正し、正当な理由もなく相手の名誉を傷つけたと判断したときは、反論の機会を提供するなど、適切な措置を講じる。

品格と節度
 公共的、文化的使命を果たすべき新聞は、いつでも、どこでも、だれもが、等しく読めるものでなければならない。記事、広告とも表現には品格を保つことが必要である。また、販売にあたっては節度と良識をもって人びとと接すべきである。

 新聞倫理綱領は1946(昭和21)年7月23日、日本新聞協会の創立に当たって制定されたものです。社会・メディアをめぐる環境が激変するなか、旧綱領の基本精神を継承し、21世紀にふさわしい規範として、2000年に現在の新聞倫理綱領が制定されました。

資料3
森に浮かぶ白亜のビル 仙台簡易保険支局
 昭和11年(1936)、北一番丁(青葉区上杉)に仙台簡易保険 支局のビルが完成しました。鉄筋コンクリート4階建てで、直 線を基調としたシンプルなデザインながらも、幅が100メートル にも及ぶ堂々たる姿は、仙台で最初の近代的な大規模建築物として注目を浴びました。そのため、戦前に出版された仙台の 地図や、今でいえば観光ガイドブックのような冊子でしばしば 取り上げられ、また絵葉書の題材にも使われています。
 昭和20年7月の仙台空襲を免れたこのビルが、戦後いち早く アメリカ軍により接収され、宮城県に進駐した占領軍の司令部といった中枢機関が置かれたことや後に米軍の専用病院 第172病院として活用された事も、当時としては最新で重要で安心な建物であったことを物語っています。そんな経歴を持つ簡易保険支局の建物は、今も「かんぽ生命保険仙台サービスセンター」として現役で働いています。

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