〜三文散文〜20220207

〜三文散文〜20220207

事務所に出勤すると、昨夜のニュースに映ってましたね、と指摘され、【憑ってなくて】良かったと、言い返さずに呑み込んだ今朝。

令和4年2月7日(月)午前10時30分〜45分、空からハラハラと舞い散る風花の中、仙台市東一番丁・青葉通りに面する藤崎百貨店の向かいの都市銀行に入ると、元◯国党の党主に風貌も体型も髪型も似た巨漢で上下のツナギ姿の男性が、見るからに肩に怒りを溜め込む姿でATM付近でなんぞ叫んでいる。社会的距離を保ちつつ、数人が並ぶ私達の目の前で、銀行の係の人にATMの操作を聴いているのか疑問を投げかけているのか、大声で自己主張を撒き散らしている。月曜の午前から聴きたくない部類の声には間違いがなく、目を逸らしつつも耳だけは指向性を発揮して聴き入ってしまう。そのうちに銀行側は一人、また一人と、恐る恐る【その男】に近づくが、近寄るな!っと、一喝されつつも、周囲を取り囲むように男女3人掛で【その男】の主張に、微に入り細に入り丁寧に説明をしているが、【その男】の湯気が立ち登りそうな頭からは、怒りの収まる気配が見当たらない。

10万円を超える送金の手数料や仕組み、身分証の提示が必要であるとの説明や、男の求める代書ができない旨の銀行からの説明は、周りで聞いてる我々も承知の事実で、そこをつっこまれても、あなたの主張は理不尽ですよ、とばかりに【その男】の後ろ姿を横目で睨みつけるも、なだめる手管や手立ては一向に見つからない、と周囲も私も途方に暮れる、都市銀行の朝。

用足しを済ませ銀行を後にしなくてならず、もう少し【その男】に注視したいと言う気持ちの後ろ髪を引かれつつ、私は銀行を後にする。

言葉遣いや態度に、【俺に楯突くな】とばかりに威勢は良いが、クレーマーの行く着く先は、何処かの相手先にお金を振り込まなくてはならいと言う自分にはね返ってくる訳で、宮城県に一行しかないその都市銀行でなければ手続きができない事は明明白々だと言うことに、自身が気付くのは時間の問題であり、手続きを最優先にしたいが為とはいえ、怒りを最優先にした【その男】に、怒りの矛先と、振り上げた拳を下ろす手立ては見つかるのだろうか。と東一番丁を考えつつ歩いていると、格安スマホのPR動画だろうか、「若者がいま一番求めているのは・・・ギガだ」とUQUEENと執事のやり取りが聞こえて来た。"ギガ"とは、PCやスマートフォンなどのデータサイズ(容量)を表す単位で、正式にはギガバイト(GB)と呼び、つまり、メガバイト(MB)やテラバイト(TB)などと同じデータ量を表すものだが・・・・・。

データ通信の量を表す【Giga:gigabyte,記号:GB】ギガバイトのギガだけを持ってきてギガ放題と言う表現や、ギガが減る、ギガが足りないと呼ぶ言い方が普通に叫ばれ、CMや広告誌面で、インターネットで大量に情報という言葉が流される今、それで意味が通じるなら良い、と言う事に、私はならないなぁと、植田まさし氏作の『かりあげクン』の4コマ漫画宜しく、脳裏に吹き出しが浮かんでくる。正しく【偏屈ジジイ】だと自分を想う。

そろそろ空腹を覚え昼食は何にしようかと、左右に首を振りつつ歩いていると、東一番丁と大町の交差点付近で40年来お世話になっている先輩と出会い、立ち話からそぞろ歩き。互いの近況と共通の知人についての情報交換をして別れ、ついぞ先程は何を考えていたのやら、と昼食や空腹感は吹き飛んだかのように東一番丁を北に歩を進めるのだった。

事務所に帰着する刹那 お世話になっている団体の司役のお方が、独居にて遺体で見つかった旨の緊急連絡が入る。八幡地区にてバレエスタジオを経営され、地域のさまざまな課題に取り組み、誰にも笑顔を絶やさぬ姿が目に焼き付いている。心からご冥福をお祈り申し上げます!

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