見出し画像

正月の三日とろろと七草粥

  今日は正月7日。日本には7種類の食材を食べ、健康を願うという考えがありました。また、野草の生命力にあやかって、若菜を摘んで食べることもよく行われていたようです。
  奈良・平安時代のころ、陰陽道の「節句」という考えが伝わり、特別な1月においては、元日には鶏、2日には狗(いぬ)、3日には羊、4日には猪、5日には牛、6日には馬を大切に扱い、6日間占いを行う風習があったそうです。
そして7日は、人を大切にする「人日(じんじつ)の節句」とされました。
この「1月7日=人日の節句」という考えと、日本古来の7種類の食材や、若菜を摘んで食べる風習がいつのまにかひとつになり、七草粥として根付いたと考えられています。

    同じく、【三日とろろ】
   「三日とろろ」と言えば、かつて衝撃を受けたマラソン選手の故・円谷幸吉氏の遺書は、「父上様母上様三日とろろ美味しうございました。」という一文からから始まる。
 昭和 54 年、民俗学者・坪井洋文氏は『イモと日本人』 (未来社)で、わが国で正月を祝う食べ物は餅一辺倒ではないこと、すなわち、餅ではなくイモを用いて正月を祝う所があったことを発表、餅でないもので祝う正月なので、これを「餅なし正月」と呼び、イモとはサトイモを指す。イモを食べる「餅なし正月」にも 2 種類あって、サトイモを食べる所と、寒冷地であるがゆえにサトイモ栽培が不適な所では「ながいも」や「やまいも」をトロロにして食べていた餅なし正月」もあったと言う。
 北関東以北でトロロを食べるのは、秋田県では 1 月 2 日に、宮城県では「三日トロロ」といって1 月 3 日の朝か晩に食べ、このトロロを屋敷の入口の道を横切るように引き、魔除けとしている所がある。同じ宮城県でも 1 月 2 日に食べる地域もある。山形県では 1 月 3 日の「三日トロロ」のほかに 1月 8 日の「八日トロロ」もあるし、2 月 8 日に食べる地域もある。福島県には 1 月 3 日の「三日トロロ」がある。
 栃木県では上都賀郡・下都賀郡などに三が日のうちにトロロ飯を 1 回食べると中風にならないという伝えがある。また、同県東北部には 5 月の節供にトロロ飯を食わないと虫になる、という俗信が分布している。なお、東京でも日にちは必ずしも一定しないが、正月中にトロロを食べるという報告がされている。神奈川県鎌倉市では 1 月 6 日の夜を「六日年越し」というが、このときには長芋を摺ってご飯にかけて家の神々に供える。7 日の朝には門松にトロロをかけてから門松を取り去り、ドンドン焼きする辻へ納めたという。
 奈良市の平坦地では、「滞りなく年を過ごす」ために大晦日にトロロを食べることになっている。兵庫県神戸市では 1 月 2 日の朝食は麦飯とトロロ汁である。トロロ汁は卵を入れては摺り、入れては摺るので、「摺るほどに量が増える」といって商売人の家では作ることになっているという。山口県周防地域では 1月5日を「五日正月」とか「ゴカンニチ」というが、「ゴカンニチのトロロ」といって、麦飯にトロロをかけて食べる慣わしがある。
トロロは主食ではないが、ハレの日の食べ物であったことは確かなようで、また、日本海を中心に新潟県岩船・東蒲原・南蒲原・南魚沼郡などには 1月3日に「三日トロロ」と称して、中気除けにトロロ(山芋汁)を食べる所もあった。そしてこの習俗は東日本、特に寒冷地のため里芋の栽培に適していなかった東北地方にその例が多く見られるようである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?