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暑かったウズベキスタンのバス【中央アジア旅行記⑦完】

 ウズベキスタン・サマルカンドを離れ、空港のある首都タシケントへ戻る。サラリーマンの短い休みはそろそろ終わりに近づいてきた。往路と同じように列車で帰ろうとしたのだが、切符売り場で聞くと満席だという。しかたない、サマルカンドとタシケントの間は乗り合いタクシーや都市間バスも走っている。宿の人に聞くと、どちらも特に予約の必要はなく、乗り場に行けば乗れるという。

 シヨブ・バザール前の路線バス乗り場から99番のバスに乗り、乗り合いタクシーや都市間バスの発着するウルグベク天文台へ。路線バスを降りたとたんにタクシーの運転手に囲まれる。タクシーは5万ソム(約570円)、バスは3万ソム(約340円)だった。どちらでもよかったが、安いほうになびいてしまった。冒頭の写真が乗ったバス。フロントガラスに「タシケント」の表示があって分かりやすい。

 バスはタシケントのどこかよく分からないバスターミナルに着いた。それで路線バスとか地下鉄を探すのが面倒になって、宿までタクシーに乗ったら少し値切って3万ソムだった。都市間のバスが3万ソムで乗り合いタクシーでも5万ソムである。市内の移動も3万ソム…。どうも、値段設定がよく分からない。

 タシケントに1泊してウズベキスタンは離れ、日本へ帰った。韓国・仁川経由だったので途中下車して少し観光、期せずして激辛そうめんを食べることになった。


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 ウルグベク天文台前はタクシーやバスがたむろしていて、ちょっとしたバスターミナルみたいになっている。タシケント行きのバスも2台ほど見かけた。最初に乗ろうとしたバスはなぜか断られた。言葉が通じないのでよくわからなかったが、満席だったのかもしれない。次に声を掛けたバスは、「すぐ出るから乗りなよ」という感じだった。果たしてまもなく出発。このような平坦な土地をひたすらに行く。
 そしてこのバスはエアコンが効いていなかった。日差しに照らされた平原をエアコンなしで進む。窓もわずかに運転手の横が開くのみで、そこから入るかすかな風を求めてあえいでいた。タシケントまでの4時間を耐えるしかなかった。


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 こんなことなら乗り合いタクシーにすればよかった…と思っても後の祭り。じっとりする車内の空気に乗客はみんなぐったり。ロバは荷車をひき、我慢強く歩いていく。


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 タシケントへ戻って、また同じ宿に泊まった。オーナーがいい人で「戻ってきてまた泊まりたいなら、電話してくれ。予約サイトを使うと手数料がかかるだろ」と言ってくれていた。サマルカンドを出る朝に電話したら「オッケー、オッケー。20ドルでいい」という。最初に泊まったときは予約サイト経由で1泊27ドルだった。私のフライトが夜だと聞くと「そしたら夜まで部屋を使っていい。それで俺が空港まで車で送ってあげる。それを込みで25ドルでどうだろう」。大変ありがたい提案で、ぜひもなくお願いした。


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 帰国する日。タシケントに戻ってもやはりバザールが見たくて、再びユヌスバッド・バザールへ。


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 そのバザールで、お昼にラグマンという麺を食べた。何度も書くが、汁もの系の料理はだいたい外れがない。外れがないどころかこれは当たりで、いろんな味が混然一体となったスープはとてもおいしい。熱い茶がまたよい。9千ソム、約100円と値段もこの上ないありがたさ。


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 その食堂で働いていた青年。学校で日本語を習っていたとかで、積極的に日本語で話しかけてくれた。まだまだという感じだったけど、うれしくて、私もゆっくりとした日本語で返す。元気でやっていますか。


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 韓国・仁川空港経由のアシアナ航空を使った。夜行便で、仁川には朝に着いた。日本への飛行機が夕方だったので、いったん入国して外に出る。こういうとき、入国カードの入国目的には「トランジット」と書けばよいらしく、そう書いてみたら特に何も聞かれなかった。タシケントでチェックインするときに航空券は2枚発券されるし預け入れ荷物もスルーだから、出国するときは仁川で航空会社のカウンターに寄る必要はない。セキュリティ、出国ゲートで仁川→成田の航空券を示せば通常と同じように出国できる。

 さて、ソウルは行ったことがあったので、仁川の街を歩いてみることにした。空港のインフォメーションの人は極めて分かりやすい英語を話す。バスも空調が効いていて快適だし、ICカードも使えて楽。韓国はインフラ整っているなあ…と中央アジア帰りに感心。

 空港から仁川の市街地へは、306番のバスで1時間ほど。東仁川駅に着く。そこからぶらぶら歩いていくと仁川駅に着くがこちらはひなびた風情。その駅前に中華街がある。日本人が、中央アジアの帰りに韓国で中華街に寄る。なんだかおかしい。仁川の街はそれほど大きくなく、観光客もあんまりいない。歩くにはちょうどいい。


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 あまり旅行と関係ないが、その辺で見つけた鎖の重々しさがかっこよかったので写真に撮った。画像レタッチソフトで白黒にして、露出をアンダーにして重量感を出したのだが、なぜかnoteにアップすると元の画像より明るくなってしまう。これではいまいちな写真だ。これまでカラー画像を上げるときは露出が変化する感じはあまりしなかったのだが…。noteさん、改善していただけるとありがたいです。


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 東仁川の駅前でお昼ご飯を食べた。よく分からず頼んだら、激辛だった汁なしそうめん。右上の小皿は替え玉? 最初から付いてきた。おいしいのだがあまりに辛いので、そっちは右手の辛くないスープに入れて食べました。4千ウォンつまり400円しかしなかった。

 このころ既に日韓の政治関係が悪化していた。私が食べ終えたころ、お店のおじさんは自分の唇の前で人差し指で立てて、すっとヤクルトみたいなのを私のテーブルに置いた。「ほかのお客さんには内緒ね」ということだ。私が辛そうにしているのを見かねたのだろう。

 日本人の私がのほほんと旅行に行くには申し訳なさもある。しかし、こうした親切に触れるとき、とってもうれしい気持ちになるし、韓国の人と仲良くしたいと思うのだ。


【個人旅行者に役立つかもしれない情報】
・サマルカンドからタシケントへは、まずシヨブ・バザールから99番のバスでウルグベク天文台へ。そこから乗り合いタクシー、バスが出ている。予約は不要。所要は4時間ほど。
・仁川空港の乗り継ぎでいったん入国したいときは、入国カードに「トランジット」と記載すればよい。出国の際は出発地の空港で発券された航空券を持ってセキュリティーチェック→出国手続き→搭乗ゲートへ。仁川で航空会社のカウンターに寄る必要はない。
・仁川空港から仁川市街地(東仁川駅)へは306番のバスで1時間ほど。


※2019年8月の旅行です。通貨はかなり大雑把に換算しています。
※全ての写真は筆者撮影です。一切の無断使用や転載を禁じます。

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