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家族へのカミングアウト

昭和の厳格な家庭に育ったワタクシ。

男は男らしく、女は女らしく

などという自身の理想・幻想を説き、しかし、自身はその人物像とはかけ離れた両親に育てられた。

男は言葉数少なく、余計な事を言わず云々かんぬん…

それを決壊したダムの様にべらべらしゃべり続ける饒舌な父親に言われても、さて何のことやらと思いながら育ったのは言うまでもない。

17歳で、初めてゲイ能界にデビューし、「あぁ、自分だけじゃないんだ」「ちゃんと胸を張って生きていいんだ」と思った頃、いつか両親にカミングアウトしてもいいかなぁと思ったこともある。

しかし、18で一人暮らしを始め、そのまま出っパナなワタクシ。

いつしか両親は、自分達で言うほど厳格でもなければ、残念ながら立派でもないというのが薄々見えてきて、言う機会もなければ、言う必要性もなくなってしまったのである。

まぁ、アタシもアタシで、オネェ系タレントの皆様が大活躍するようになってきて、それらのコンテンツを楽しんで見ている両親を見て、

「いや、アタシだってバレバレでしょ?!」

って思っていたのだけど、特に何も言われず。

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香港で暮らし始め、パートナーが出来、この10年で5回、夫と実家へ帰省。

「香港で良くしてくれている仲のいい友人。いつも色々連れて回ってくれているから」

と、紹介したけれど、特に何も突っ込まれず。

夫も夫で、話しかけられると、人差し指をあごに置き、笑顔で「うーん・・・」というリアクションを取るタイプのゲイなので、バレバレだろうとは思うのだが、。

初めて実家に連れて帰った時、空港に送ってくれた両親。

ワタクシが、タイへ旅立つときも、香港へ旅立つときも
「あぁ、寂しそうだなぁ~・・・」
というのは感じたことはあるが、涙は見たことがない。

しかし、夫と一緒に出国をしようとした際、いきなり涙があふれ始めた母。(BGM:秋桜 by 百恵ちゃん)

そしてなぜかもらい泣きする夫(っは?!

チョット困った様子でその場を眺めるワタクシと父…。
せっかく咲いた秋桜も、たちまちドライフラワーである。

後日友人に
「娘を嫁に出した母の気持ちで見送ったんじゃないの?(笑)」
などと言われ、妙に「あぁそうかぁ…」などと納得をしていたのである…

…が、

その次の帰国時、母親から

「これ、彼女に渡してあげなさい」

と、スワロフスキーのクリスタルを渡された。

「彼女を日本に連れてきてあげたって良いのよ」

と、一言添える母。

三十路を過ぎて男を実家に連れてきて、母親とはアンチエイジングやらファッションの話をする息子の何を見てゲイだと思わないのかは定かではないが、

…まだまだバレていない様子である😏💦


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