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母子で海外単身赴任 戦うべきは圧倒的「孤独」だった

シンガポールという海外に母子で単身赴任をするという決断には、全然迷いはありませんでした。こうして帰国した今振り返ってみても、何の悔いもありません。

だけど、耐え難いほどに苦しかったな、と思うのは「圧倒的な孤独感」でした。
言いようのない孤独感には、子どもを一人でシンガポールという海外で育ててみて、初めて気付いたのです。
学生の頃3年ほど英国に住んでいた時もそれなりに寂しかったけれど、少しその時とはまた質が違う寂しさかな、と思っています。


特に感じるシーンが多かったのは外食の時でした。
シンガポールは中華圏の影響が大きいので、家族の単位が大きいのです。ご飯を食べると言えば、多くのテーブルでおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、おじさん、おばさん、いとこ、子どもたち、などなど、10人を軽く超える大人数で円卓を囲んでいます。

正直、とーってもうらやましかったです。
中に入ったら入ったで面倒なこともあるのだろうけど、そんなワイワイガヤガヤ感がかなり羨ましかったなぁ。

やはり子どもも寂しいのでしょうね。私が仕事に出かける朝、毎朝必ず、そう、本当に必ず「ママ、今日は何時に帰ってくるの?」と聞かれました。
「今日は会食があるがら遅くなるよ、というと「えぇー寂しい」とひとこと。母としては最強にGuiltyに感じる瞬間です。

もちろん、大きな会社で現地駐在員としていく場合は違うかもしれません。現地にもたくさん同僚も上司も部下もいるし、そこからそれぞれいろいろなコミュニティーもできていきます。
私の場合は、ベンチャーのシンガポール支社立ち上げということで、同僚がいないのは大きなかったかもしれません。
仕事の合間にPC越しに世間話をしたり、ちょっとお茶したり、その日にランチに誘ったりできる相手がいないことのなんと寂しいこと…。

それから、海外だと友達の層が薄くなる、というのもあったでしょう。
日本にいると、幼なじみ、中高のクラス友達、部活の友達、大学の友達、新卒の時の同期、昔の部署の友達、ママ友、…などなど長い年月をかけて本当にいろーんなコミュニティを知らず知らずに持っています。

それが、新天地、しかも海外となると、ビジネスで知り合う友人や子どもの幼稚園で知り合うお友達など、ほとんどが「新しいお友達」です。

シンガポールはアジアということもあり、ヨーロッパやアメリカよりもずっと住みやすさはあると思います。「日本の文化が好き!」という人も多く、またみんなフレンドリーなのでですぐに「Whatsapp交換しよ〜!ランチしよ〜!」となるので、友達を作ること自体にはあまり苦労はしないと思います。
ですが、やはり深い話ができたり、楽しいことも、悲しいこともいろいろ共有できるようなお友達を作るのには、Luckが必要だと思います。

そして最後は、日本とシンガポールで、夫と離れて暮らしていたこと。
日々の細かい決断まで、全て自分がしなくてはならないという重圧も、孤独感を強める原因のひとつだったかもしれません。

もちろん、大事な相談はしますが、やはり単身赴任時は日本にいた時のように毎日顔を合わせて話ができるわけではありません。
ほとんど結論は決まっている話題でも、「ねえねえ、今度こんな習い事行ってみようと思うんだけど、どう思う?」とか「今度さ、これ買ってあげようとおもってて」「先生にさ、こう伝えてみようと思ってるの」など、本当に小さなことなどを、電話して伝えるかというと、やはり日本で一緒に住んでいた頃のようにはいきませんでした。

家にメイドさんがいてくれるのは、まだ救われますが、彼女は別に、友達でもなければ血縁のある家族でもない。しっかりと雇用主としてマネジメントをしなければならない、でも同じ屋根の下に一緒に住んでいる…という近くて遠い存在です。(実際、メイドさんのマネジメントは本当に、本当に苦労しました涙 その話はまた別の機会に…)

その圧倒的な孤独の中で、シンガポールで3年間楽しく過ごせたのは間違いなく現地でできた親友の存在でした。
親友は、作ろうと思って作れるものではないので、本当にラッキーだったな、と思います。

海外母子単身赴任での、一番の敵は”孤独感”。ですが、それも今となっては良い思い出です。

順風満帆、何も不自由がない人生なんてつまらない…!
また、数年以内に海外に住み始める選択をする予感がしてきた昨今。

行けばきっとまた「寂しい!」と思うのでしょうけど、やっぱり挑戦し続ける、困難を乗り越え続ける人生っていいな、と思っています^^

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