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【ネタバレ注意】すずめの戸締まりみてきた!!!【日記】

 久しぶりにお気持ちポエムじゃない健全な記事です。じゃくしゃです。
 友達と見に行った映画「すずめの戸締まり」がすげぇよかったので感想書き殴って行こうと思います。

 この記事は映画「すずめの戸締まり」のネタバレを含む内容になります。
 未視聴の方はブラウザバックすることを推奨します。

 まず最初に舌を巻いたのが、新海監督ならではの「現代」×「ファンタジー」の融合。「君の名は。」や「天気の子」でも顕著でしたが、日常風景の中に違和感なく非日常が溶け込んでいました。
 本来ありえない空想上のおとぎ話にまるで現実の出来事であるかのようなリアリティを持たせるのはさすが新海監督だなと唸らされました。

 100年前の関東大震災や3.11東日本大震災という現実の出来事と密接にリンクした物語も没入感を高める要素になっていて、リアルなのになぜかワクワク・ドキドキする、そんな不思議な作品でした。

 そして、新海監督の作品と言えば「青春と恋」。もちろん今作も物語の核を成している大事なテーマです。
 しかし、今作特にぐっと来たのが、主人公ではない環さんの感情の描写がとても多かったこと。

ここのすずめちゃんかわいい

 環さんは、姪である鈴芽を追いかけて最終的に宮城までついて行くことになります。
 鈴芽の原動力が草太への愛だとすれば、環さんの原動力は何か? 

  それは「"娘"への愛と真の意味で"母親"になれないことへの負い目」です。 
 自分が姉の代わりに母親になる。鈴芽を守る。

 そう思って鈴芽を育ててきたのに、その最愛の娘は自分のことを拒否するかのように遠くへ行ってしまう。環さんのやるせない気持ちは想像に難くありません。

 自分では姉の代わりになれないのか、自分では"母親"にはなれないのか。自らの無力を呪い、娘に拒否されることをただひたすらに恐れたことでしょう。 そして、不幸にもその娘本人に環さんは否定されてしまう。

 芹澤の前で泣き出すのも無理ないですよね。。。 なんせ自分の一番不安に思っていることを娘本人に言われるわけですから。鈴芽を放り出して宮崎に帰ってもおかしくはなかったと思います。

 個人的にここが見てて一番辛かった。 自分にはどうすることもできない無力感。自分の存在価値を否定される。多分環さんが今作で一番曇ってたんじゃないかな。 僕自身が似たような劣等感を感じたことがあったので、なおさら感情移入しちゃいました。

 それでも、草太のもとへと走り続ける鈴芽を環さんは最後まで支えました。娘に否定されて、それでもなお娘への愛が勝ったんだと思います。
 もしかしたら、女の勘で鈴芽の中の変化に気が付いたのかもしれません。女の子って鋭いですからね。 曇りに曇った分、和解してくれて本当にホッとしました。

 そして、見てて一番ゾッとしたのが3.11の日記。多分実話かそれに近い元ネタがあるんじゃないかな。
 母を失ったことを受け入れられず、すべてをなかったことにしたかったんだと思います。もしくは思い出したくない、か。
 人間の脳は、生きるためにつらすぎる記憶を忘れ去るようにできているといいます。鈴芽には幼いころの記憶がないということで、ここですべてが繋がった瞬間は鳥肌が止まりませんでした。
「ほんとはわかってるんだよね」「お母さんいるもん(ボロボロ)」ってシーンは本当にマジで見ててウルっときた。

 草太や羊朗爺さんの前で言った「死ぬのなんて怖くない!」も、言い換えれば「死んだらお母さんのところに帰れるから大丈夫」とも取れます。無意識にですがやはり母親への執着があったのではないかと思います。

 その分、母の死を受け入れて「今は真っ暗闇でも、いつか明るい未来が来る」と自分に言えるようになったシーンは感慨深いものがありましたね。

 あと、これは個人的な考察なのですが
 母親の形見のあの椅子、実は鈴芽自身を表しているのではないかと思っていて。
 震災で足(=柱、精神的支柱となる母親)を失い、自立できていないっていうのが鈴芽の現状とぴったりです。
 ラストシーンで椅子を手放すのにも「母親の死の受容」「独り立ち」のような意味が込められているような気がしています。

 今作は、後ろ戸を閉じる場面であったり、鈴芽・環・つばめお母さんをめぐるエトセトラであったり、随所に「家族の愛・絆・自立」のようなテーマが感じ取れる作品でした。
 新海誠監督の「君の名は。」や「天気の子」とはかなり異なるテイストで、個人的には一番のお気に入りです。
 今作や「天気の子」もそうだったけど、新海作品の「完全にハッピーとは言えないけど、前向いてがんばろ!」みたいな終わり方とても好き。
 今度、まだ見れてない「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭」も見てみたいですね。

おまけ
 映画とか小説とか音楽とか、芸術系全般そうなんですけど、作品見終わった後に、満足感とともに「こんなに人の感情を揺さぶる作品を作れる仕事ってすげぇなあ」ってよく思います。
 あんまり人には言わないけど、物書きになりたいって思ったこともあったりしてたのでこういう巨匠へのあこがれは並々ならぬものがあるんですよね。
どんなふうにして書いたらいいかわからなくてまだ全くやれてないんですけど、いつか僕も作品書いてみたいなって思ってます。
「いつか」が来るのはいつになるのやら。。。

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