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何処かの短編

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とある何処かの、ちょっとおかしなちょっとした話
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2022年3月の記事一覧

空き地

何処かの空き地 柵の前にはスコップを持った男が三人 関係者以外立入禁止 「ガム食べます?」 「大丈夫です」 「食べます?」 「頂いていいですか?」 「どうぞどうぞ」 一枚抜き取って紙を剝いでいく男 「板のやつまだ有るんですね」 「有ります有ります」 「ガム食べないですか?、普段」 「たまぁに」 「でも確かに今もう殆ど粒々ですね」 「あれってまだあるんですか、あの、黄色いやつ」 「黄色いやつ?」 「はい、もしもし」 着信に気付いた男が電話を取って一人輪から外れていく 話

クリーニング

とあるクリーニング屋さん 店員が二人、カウンターでお喋りしている 外は小雨がぱらぱらと肌寒い一日 「最近もう直ぐ息上がっちゃって」 「歳よ歳」 「だから余計によ」 「なに、躍ったりしてんの?」 「全然だめ」 「いらっしゃいませぇ」 男が一人やって来る 「これ、お願いします」 「お引き取りですねぇ、少々お待ち下さぁい」 お客様控えを手に奥へと消えていく店員 男はスマホをちらりと見るとカウンターのメニューに何となく目を向ける すっけらかん加工、すってけてん洗浄、仕上げ云々