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国連CEFACT第27回総会 報告

【初出:月刊JASTPRO 2021年5月号(第505号)】

国連CEFACTの第27回総会の概要を報告します。

COVID-19の影響で総会は現地参加とWeb参加のハイブリッド会議形式で行われることが通知されましたが、日本からはスイスへの入国が禁止されているため、Web参加の登録を行いましたが、スイスに入国可能なシェンゲン協定国からの会議出席者も自国からWebで参加しており、実際には国連の職員以外の現地参加は見送られたようです。

各項目の資料は国連CEFACTのWeb-Siteに掲載されており、詳しくはこちらをご参照ください。

https://unece.org/trade/cefact/uncefact-27th-plenary

 

  • 日時: 2021年4月19-20日

  • 場所: ジュネーブ 国連欧州本部

  • 出席国および組織:アフガニスタン、アルジェリア、オーストラリア、中国、コンゴ共和国、フィンランド、ドイツ、インド、イタリア、日本、キルギスタン、モンゴル、モロッコ、オランダ、ポルトガル、カタール、ロシア連邦、セネガル、スペイン、スウェーデン、イギリスおよび北アイルランド、ウクライナ、アメリカ合衆国、ベトナム。欧州連合。
    (日本からは、菅又久直(SIPS)、清友大造(JASTPRO)、祁答院包則(JASTPRO)、何スカーレット(JASTPRO)の4名が参加した。)

  • 国連組織:
    国連欧州経済委員会(UNECE)持続可能な輸送部門、
    国連貿易開発会議(UNCTAD)、
    絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)事務局

  • 非政府組織:
    Bureau International des Containers et du Transport Intermodal (BIC)、Global Standards 1(GS1)。

 

<開会挨拶>

UNECE経済協力貿易部門の局長 Ms. Elisabeth Tuerk

国連CEFACTの活動、特に前回の総会以降の数々の成果を強調し、専門家、局、事務局の貢献に感謝。災害復旧(disaster recovery)勧告、貿易プロセスのペーパーレス化を支援する電子成果物(国連のより広範なCOVID対応に貢献)、デジタル化に関する行動の呼びかけなど、本総会の議題との関連性が高いことを強調した。また、UNECE第69回委員会テーマである循環型経済社会移行への国連 CEFACTの貢献を強調し、衣服と履物分野のトレーサビリティと透明性に関する活動が特に重要であると述べ、中央アジアの受益国のために達成された重要な能力開発活動にも留意した。今後、国連CEFACTの継続的な協調を確保することが重要であるとしながら、活動の流れに優先順位付け、適切なリソース基盤の確保、コミュニケーションの強化の3つの課題に目を向ける必要があると指摘した。

 

<議長の歓迎挨拶> 

CEFACT議長 Ms. Sue Probert

国連CEFACTは直接的および間接的に持続可能な開発を支援しています。特に、人との接触を取り除き、セマンティックデータモデルを通じてデータの再利用を可能にすることを目的としたペーパーレス化に関する国連CEFACTの活動はパンデミック下で不可欠なものになっている。貿易円滑化とe-ビジネス基準に関する既存の作業に加えて、持続可能性などの新しいトピックに取り組んでいく。私たちの仕事は報道機関で賞賛されているものもあるが、舞台裏で多くの努力があり、必ずしも多くの人々に認められているとは限らないが、国連CEFACTの成果物、特にLibrary(言語辞書項目)保守とデータ定義の保守は重要である。

 

議題1.総会議事案の採択

総会決定21-01: 事務局は、改訂された議題草案ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/1 /Rev.1を提示し採択された。 (議事の進行は以下の通り)

 

議題2. 選挙

総会決定21-02: 2021年から2024年の任期の国連CEFACT議長選出は、英国から立候補したSue Probert氏(現議長)が、総会で選出された。

総会決定21-03: 2021年から2023年の任期のラポーターには、アフリカ地域からはセネガルのMr. Diop Mor Talia, アジア太平洋地域からは日本の菅又久直氏が、総会で選出された。

 

議題3.第26回総会以降の活動事項

文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/3、

 この文書は、COVID-19パンデミックからの持続可能で包括的かつ早急な回復に向けた取り組みを支援する5つの主要なテーマを概説している。

 a)デジタル化とペーパーレス化:

  • 紙からデジタルに移行する際のビジネス・プロセス再考の重要性。

  • 国連CEFACTによってすでに提供されている幅広い成果物(Buy-Ship-Payモデル、セマンティック・コアコンポーネント・ライブラリ、参照データモデル、数百あるe-ビジネス標準、改善に直接関連するガイダンス文書など)

  • 他の国際機関(国際海事機関[IMO]、国際標準化機構[ISO]、グローバル標準化-1 [GS1]、国際民間航空機関[ICAO]など)内でのこれらの成果物の再利用。

 b)農業の持続可能なバリューチェーン:

  • 農産物と野生生物の国境を越えた取引における自動化された規制管理の重要性。

  •  この分野で国連CEFACTによって開発された成果物(eCert、eQuality、その他の電子証明書に関する今後の作業など)。

  • CITES(1973年3月に米国ワシントンで採択された、過度な野生動植物の国際取引規制により、採取・捕獲の抑制と絶滅の恐れのある野生動植物の保護を目的とする条約)電子データ交換に関する協力活動、特にEC TRACES eCITESプロジェクトコンポーネントと非EU加盟国との連携を支援する活動。

 c)衣服および履物の持続可能なバリューチェーン:

  • 消費者が環境や倫理に配慮した衣服や靴の選択に益々関心を高めていること、及び政策立案者が持続可能性と循環性を考慮することの重要性。

  • この分野をサポートするために開発されたツール(政策提言、実施ガイドライン、技術標準、アクション・プランなど)。

  • ブロックチェーン技術を使用した、複数の利害関係者と国が関与する綿バリューチェーンのパイロット運用。

 d)先進技術:

  • COVID-19のパンデミックを踏まえた先進技術の重要性の高まり。

  • パンデミックによって引き起こされた混乱を克服し、より循環的な経済への移行をサポートするための先進技術の使用をサポートするために開発されたガイダンス資料。

 e)能力強化:

  • 貿易円滑化改革が多くの国にもたらす課題。

  • 世界貿易機関(WTO)貿易円滑化協定(TFA)の実施を支援することを目的として、ジョージア、カザフスタン、北マケドニア共和国、ウクライナ、キルギス共和国に提供された支援。

  • 2021年のデジタルおよび持続可能な貿易円滑化に関する第4回世界調査及びCOVID-19パンデミックからのより良い回復への取り組みに関する国連地域委員会間の継続的な協力。

<地域アドバイザーレポート> 

文書ECE / TRADE / CEFACT / 2021 / INF.1 に概説されている活動の報告。

貿易円滑化と国連CEFACT基準の実施を支援する次の2つの分野に焦点を当てます。

  • 各国、特に中央アジア経済のための国連特別プログラム(SPECA)の地域において、特に標準の使用、手続の合理化、シングルウィンドウ及び国内貿易円滑化機関に関連して、WTOのTFA実施を支援。

  • 国連開発計画(UNDA)の部門間プロジェクトの下で、接続性、貿易、輸送に対するCOVID-19パンデミックの影響を制限することを目的とした国連CEFACTセマンティック標準と参照データモデルの実装を強化する。

<事務局報告>

持続可能なモビリティとスマートコネクティビティに関するUNECE Nexus(Water-Food-Energy-Ecosystemsに関わるタスクフォース)への関与について。

文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 /INF.2(この文書の完成版は、2021年4月20-21日のUNECE委員会セッションの後に公開する)この文書でも国連CEFACTツールのさらなる使用は、勧告の不可欠な部分とする。

(代表団のコメント)

ウクライナの代表団は、事務局と地域アドバイザーによって立ち上げられたドナウ・黒海回廊に沿ったペーパーレス化に関するパイロットプロジェクトを称賛した。このユースケースは、国連CEFACT標準の効果的な一貫輸送への適用を示すものである。また、ウクライナは、事務局の支援を受けて国家貿易円滑化機関を設立することができた。

 

総会決定21-04: 議題3の内容を留意し、2022年の次の総会で今後の展開を報告するよう事務局に要請した。

 

議題4.議長団(ビューロー)の活動概要

議長団は、2020年6月の副議長の選出後の新しい担当分野と、国連CEFACT内の現在の活動進展について報告した。

現在ある4つのプログラム開発領域(PDA)の中で、2020年7月には 18人のドメイン・コーディネータが指名された。ドメイン・コーディネータの1名が2021年2月に引退し、その後を2人のコーディネーターが引継いでいる。この間16件のビューロー会議(オンライン)があり、102件の決定がなされた。国連CEFACTは、58のイベントで公式代表を務めた。

副議長の一人が一時的に辞任することとなったため、議長団はこの分野を担当する元副議長に一時的に「代理副議長」として引き継ぐよう要請した。

<国際貿易手続PDAを担当する副議長2名の報告>

  • 3つの貿易円滑化勧告の完了 と 2つのコードリスト勧告の更新。

  • 検討中の将来の作業(貿易円滑化措置への民間企業の関与に関する指針、国際貿易手続の円滑化措置に関する勧告第18号の改訂、シングルウィンドウの有効性の評価方法及びシングルウィンドウと先進技術との関係に関する指針)。

<国際サプライチェーンPDAを担当する副議長3名の報告>

  • 1つの貿易円滑化勧告、1つのホワイトペーパー、および一連のe-ビジネス標準の完成。

  • 現在アクティブなプロジェクトには、サプライチェーン管理・調達ドメインに4つ、運輸・ロジスティクスドメインに3つ、旅行・観光ドメインに2つ、会計・監査ドメイン、財務・支払ドメイン、保険ドメインにそれぞれ1つが含まれる。

  • 検討中の将来の作業の可能性(参照データモデルのセクター固有の実装)。

<規制/電子政府PDAを担当する2人の副議長の報告>

  • 1つの勧告と2つのe-ビジネス標準が完成。

  • 現在活動中のプロジェクトは、電子データ管理ドメインに4つ、農業・漁業・食料ドメインに2つ、越境管理ドメインに1つ、環境ドメインに1つ。

  • 検討中の将来可能性のある作業は、貿易円滑化における人工知能、情報セキュリティガイドライン、電子公証、標準ベースの情報通信技術のガイドライン、内陸国のデジタルコリドー(回廊)、ブロックチェーンベースの認定経済事業者相互承認。

<方法論と技術PDAを担当する副議長の報告>

  • 全てのライブラリとディレクトリ、1つのガイドラインと2つのe-ビジネス標準のタイムリーな完成。

  • 2つのガイダンス文書プロジェクトを含む現在アクティブなプロジェクト。

  • 検討中の将来可能性のある作業(UN / CEFACT成果物としてのアプリケーションプログラミングインターフェイス[API]開発の技術仕様)。


オランダの代表団は、国連CEFACT標準の影響とユースケースのデータと統計を文書化し、全ての加盟国及び各国代表部により解りやすく開示することが、相互理解と今後の作業効率化に重要であると強調した。

ウクライナの代表団は、国連CEFACTのe-ビジネス標準、特に国際的なフォワーディングと輸送に関する標準の価値を評価し、現在のパンデミック状況に対処するために人との接触を減らすのに役立っていることに留意した。因みにウクライナは、ドナウ川と黒海の回廊プロジェクトにおいて近隣パートナーと伴にこの基準を使用し進めている。

総会決定21-05: 総会は、最近の進展に関するビューローの概要に留意し、2022年に再び進展について報告することを要求した。

 

議題5.ラポーターの報告

地域ラポーターは、文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/5にて報告。

  1. サハラ以南のアフリカ地域のラポーター(セネガルの Mr. Diop Mor Talla )は、COVID-19パンデミックがこの地域で計画されていたイベントに与えた影響について報告した(大部分がキャンセルされた)。いくつかのウェビナーは、団体の活動を維持するために準備された。
    アフリカ電子商取引同盟(AAEC)は、シングルウィンドウがパンデミックに直面するのにどのように役立ったかについて説明。
    アフリカのe-ヘルスパスポートに関する議論が開始された。
    アフリカ大陸自由貿易協定(AfCFTA)の重要な優先事項でもあるが、ペーパーレス化された原産地証明書を開発するための作業が進んでいる。
    西アフリカ経済通貨同盟(WAEMU)は、この分野での試験的実施を承認した。
    同氏は、アフリカ地域にとって重要な手段として貿易情報ポータルの重要性を強調した。

  2.  アジア太平洋地域のラポーター(タイの Ms. Urachada Keptrom)は、アジア太平洋貿易円滑化および電子ビジネス評議会(AFACT)が、eコマースプラットフォームと通関手続/文書との関係を調査したと報告した。
    デジタル化と持続可能な開発に関する2030アジェンダとの緊密な連携により、貿易手続きを簡素化・合理化する方法を示す域内の解決策に対して、優秀な作品に賞が授与された。
    国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)からは、国境を越えたペーパーレス貿易に関する法的および技術的準備の自己評価を実施するために各国を支援するためのインタラクティブガイドを開発したことが報告されました。ESCAP「アジア太平洋における国境を越えたペーパーレス貿易の促進に関する枠組み協定」は2021年2月20日に発効した。報告書では、この協定の批准に関する進展を強調した。

  3.   中東・北アフリカ地域のラポーターは、報告を提出せず。

総会決定21-06: 総会は、サハラ以南のアフリカおよびアジア太平洋地域のラポーターの報告に留意し、2022年の次回総会への報告提出を要請した。

 

議題6.勧告と標準

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/6、

勧告No. 38:貿易情報ポータル が事務局より提出された。本文書は、ポータルの設定方法、どのような情報を共有すべきか、また、国境を越えた規制要件を編集して公開するポータルのガバナンスなどに関するガイダンスを提供する。このポータルにリンクされたe-ビジネス標準を提案するために、このプロジェクトは継続される。議長は、プロジェクトリーダーとプロジェクトチームの継続的な努力に感謝した。

 

(代表団コメント)

ロシア連邦の代表団は、既存の貿易ポータルを更新する際にこの勧告を検討していくべきことを強調した。

総会決定21-07: 総会は、UNECE勧告第38号:貿易情報ポータル(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/6)を承認した。

 

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/7

勧告No. 44:災害救援のための国境を越えた促進措置 が提出された。この勧告は、自然災害後の人道的救援の大規模な流入を促進するための準備措置を実施するための重要な考慮事項と実践を提供する。自然災害が突然発生してから最初の15日以内に救援物資や備品を移動するための輸入、輸送、一時的な入場措置に焦点を当てている。議長は、プロジェクトリーダー、プロジェクトチーム、国連人道問題調整事務所(OCHA)、その他の参加機関の努力に感謝した。

総会決定21-08: 総会は、UNECE勧告第44号:災害救援のための国境を越えた円滑化措置(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/7)を承認した。

予備報告1日目ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/2

 

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/8、

勧告No. 45:船舶代理店および船舶ブローカーの最低基準 が事務局によって提出された。この勧告は、UNCTADによって発行された1988年の勧告の更新版である。これは、(i) 1988年以降の船舶代理業の実務の変化 (ii) 質の高いサービスが重視される傾向 (iii) 行政負担軽減と海上貿易・輸送の効率向上を目的としたデジタル交換に関する要件を考慮した、船舶代理店および船舶ブローカーの職業従事者のためのガイダンスと最低限の基準であり、国家当局や専門家団体は、独自の基準を策定する際のガイドラインとして、船舶代理店や船舶ブローカーの実務従事者たちはベストプラクティスのベースラインと考慮すべきもの。議長は、プロジェクトリーダーとプロジェクトチームの努力に感謝した。

 

総会決定21-09: 総会は、UNECE勧告第45号:船舶代理店および船舶ブローカーの最低基準(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/8)を承認した。

 

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/9

勧告No. 47:パンデミック危機貿易関連対応 が事務局によって提出された。 COVID-19のパンデミックが示すように、病気の蔓延を減らすために実施された対策のいくつかは、貿易の流れに悪影響を及ぼし、世界経済に永続的な傷を残す可能性がある。この勧告は、貿易の流れに対するパンデミックの悪影響を緩和するための措置の概要を示すもの。議長は、プロジェクトリーダー、プロジェクトチーム、UNCTAD、国際貿易センターの努力に感謝した。

(代表団のコメント)

ロシア連邦の代表団は、国連CEFACTの活動に感謝した。提案された勧告第47号は、体系的な措置を伴う包括的な成果物であること、このプロジェクトが完了したスピードにも称賛を与えた。

 

総会決定21-10: 総会は、UNECE勧告第47号:パンデミック危機貿易関連対応(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/9)を承認した。

 

  • 事務局は、議題項目6bとして循環型経済社会を支援する成果物を提示した。

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/10

勧告No. 46:衣服および履物分野における持続可能なバリューチェーンの透明性とトレーサビリティの強化 が本会議に提出され承認された。

政府と業界関係者がリスク情報に基づいた意思決定を行い、情報の非対称性を克服し、コミュニケーションを行い、持続可能性の主張に対する説明責任を果たすことを可能にするメカニズムを確立し、バリューチェーン全体にわたって物質、製品、プロセスの追跡と追跡のためのデータの統一した収集と送信のための一連の国際的に合意された慣行を提供する。

 

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2020/6 / Rev.1

第26回総会で合意を得た勧告No. 46の行動要請の改訂版

この改訂版は、勧告のパブリックレビュー期間中の、用語やテンプレートの若干の変更が反映され最終版となる。この行動要請は、衣料・履物業界の関係者に、業界におけるバリューチェーンの持続可能性と循環性を促進するための行動を起こすよう促すものである。

 

  • 文書 ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/11、

政策立案者のためのエグゼクティブサマリー: 衣服および履物分野における持続可能なバリューチェーンの透明性とトレーサビリティの強化 および

文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 / INF.3、

レポート – 衣服および履物部門における持続可能性と循環性の強化: トレーサビリティと透明性に関する政策の進展が、総会に情報提示された。これらのドキュメントは、ポリシー、規制、ガイドライン、イニシアティブの分析結果も提供する。エグゼクティブサマリーは、主な調査結果のサマリーとなる。

 

  • 文書 ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/12、

政策概要 – 「綿のバリューチェーンにおけるデューディリジェンスと持続可能性のためのブロックチェーン技術の活用可能性」が総会に提示された。

 

  • 議長は、プロジェクトリーダーとプロジェクトチームの努力に感謝した。議長は、行動要請に添付されたテンプレート通り構成員が行動コミットメントの提出に至るよう代表団に参加を呼びかけた。

 

(代表団のコメント)

オランダの代表団は、原材料から最終製品までの取引商品の生産には世界中の協力が必要であることに留意し、バリューチェーンの複雑さと製品の構成要素にさかのぼる必要性を指摘した。また、製品がどのように、どこで、誰によって、いつ製造されるかについてのトレーサビリティの向上が、循環性と持続可能性の向上に向けた進歩を促進できることも強調した。さらに、このプロジェクトとトレーサビリティに関する運輸・ロジスティクスドメインの作業との間に相乗効果が存在するように見えることも付け加えた。

 

ロシア連邦の代表団は、提案された勧告第46号および関連する行動要請への全面的な支持を表明した。バリューチェーンのトレーサビリティと透明性を高めるための国際基準の重要性を指摘し、さらにこの作業を医薬品や医療機器などの他の分野にも拡大することを提案した。

 

総会決定21-11: 総会は、UNECE勧告第46号:衣服および履物セクターにおける持続可能なバリューチェーンの透明性とトレーサビリティの強化(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/10)を承認した。

総会決定21-12: 総会は、勧告No. 46:衣服および履物セクターにおける持続可能なバリューチェーンの透明性とトレーサビリティの強化に関する行動要請(文書 ECE / TRADE / C / CEFACT / 2020/6 / Rev.1)を承認した。

 総会決定21-13: 総会は、政策立案者のためのエグゼクティブサマリーに留意した:衣服および履物セクターにおける持続可能なバリューチェーンの透明性とトレーサビリティの強化(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/11)、レポート – 衣服および履物分野の持続可能性と循環性の強化:トレーサビリティと透明性に関するポリシーの策定(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 / INF.3)および政策概要–綿のバリューチェーンにおけるデューディリジェンスと持続可能性のためのブロックチェーンテクノロジーの活用可能性(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/12)を承認した。

 

議長は、前回の本会議以降、合意された手続きに従って、事務局が以下項目の書式を発行したと発表した。

  • UN / EDIFACTのバージョンD.20AおよびD.20B

  • 国連貿易輸送場所コード(UN / LOCODE)ディレクトリの2020-1および2020-2をリリース

  • UN / CEFACTコアコンポーネントライブラリのD.20AおよびD.20Bのリリース

  • UN / CEFACT XMLスキーマライブラリのD.20AおよびD.20Bのリリース

  • International Forwarding and Transport e-business標準のバージョン1.0

  • Cross-Industry Export Packing List e-business標準のバージョン1.0

  • 食品および飼料用ラピッドアラートシステム(RASFF)のe-ビジネススタンダードのバージョン1.0

  • 文書 ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/2

  • 繊維と皮製品のトレーサビリティと透明性のバージョン1.0、パート1:高レベルのプロセスとデータモデルのe-ビジネス標準

  • 繊維と皮製品のトレーサビリティと透明性のバージョン1.0、パート2:ユースケースとCCBDAデータ構造e-ビジネススタンダード

  • 輸送およびロジスティクスモーダル固有(鉄道、海事、内陸水路)のe-ビジネス標準のバージョン1.0

  • Exchangeヘッダーエンベロープ(XHE)技術仕様のバージョン1.0

  • Cross-Domain Application Error and Acknowledgement e-business standardのバージョン1.0

  • コアコンポーネントビジネスドキュメントアセンブリ(CCBDA)仕様のためのメッセージ構築ガイドラインのバージョン1.0

  • 衛生植物検疫措置(SPS)ための国連CEFACT eCERT標準の実装ガイドのバージョン1.0

  • UNECE勧告No.20の付属書II(測定単位名でリストされたコード要素)および付属書III(共通コードでリストされたコード要素):国際貿易で使用される測定単位のコード

  • UNECE勧告第23号の付属書:運賃コード–運賃およびその他の料金の説明のFCC調和

議長は、これらの標準と技術仕様を開発および維持している技術およびe-ビジネスの専門家チームに感謝の意を表した。

(代表団のコメント)

ロシア連邦の代表団は、ロシアの経済界にとって国連CEFACTのe-ビジネス基準の重要性を再認識し、国連CEFACTに対して、その基準の開発と維持をタイムリーに継続するよう求めた。

総会決定21-14: 総会は、提示された基準と技術仕様に留意し、それらが定期的に更新され続けることを要請した。

 

議長は、承認のために総会に提出された文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/13、国連CEFACT標準の使用によるデジタル化の改善のための行動要請を提示した。この行動要請は、国連CEFACT内およびその前身による50年以上の開発作業の経験に基づき、すべての国連CEFACTの成果物に関連しており、電子データ交換の関係者に、相互運用性、データ品質を強化し、国、地域、組織内、またはビジネスパートナー間の統合を強化するための行動を起こすよう呼びかけるもの。議長は、代表団に付属のテンプレートを使用して行動へのコミットメントを提出するよう構成員に奨励した。

(代表団のコメント)

スペインの代表団は、デジタル化に関する召喚状について国連CEFACTの活動を祝福した。これにより、国連CEFACT標準がどのように使用されているかとその利点に関するフィードバックを収集することが可能になる。

 

総会決定21-15: 総会は、UN / CEFACT標準(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/13)の使用によるデジタル化の改善のための行動要請を承認した。

 

事務局は、以下の通り、他の実施支援資料を提示した。

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 / INF.4、

複合一貫輸送のための統合されたトラックとトレースに関するホワイトペーパーが総会に提出された。この文書は、単一または複合一貫輸送シナリオでデジタル化されたトラックとトレースをサポートするために必要な標準の概要を説明するもの。 

文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/2予備レポート それは、委託貨物の移動と商業システムを識別するために使用される識別スキームに存在するギャップを埋めることを試みる。このプロジェクトは、この分野に関連するe-ビジネス標準の開発を継続する。

 

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/14

国連CEFACT成果物をサポートするエグゼクティブガイドが提出された。この文書は、貿易情報ポータル、サプライチェーン標準の業界横断ファミリー、およびCOVID-19回復をサポートする輸送、ロジスティクス標準に関する3つ。これは、エグゼクティブガイドを通じて国連CEFACTの作業を高レベルの意思決定者や政策立案者によりよく広めるための、本会議の決定16-08の延長である。

議長は、関連するプロジェクトリーダーとプロジェクトチームの努力に感謝した。

(代表団のコメント)

オーストラリアの代表団は、国連CEFACTの一般的な作業、特に統合されたトラックとトレースに関する白書を評価した。この文書は、貿易ハブでの混雑を回避するために、特に空コンテナを返却するためのロジスティクス効率において、オーストラリアの活動に十分参考となる。

 GS1の代表団は、統合されたトラックとトレースのホワイトペーパーをサポートしている。プロジェクトの次のステップ、特にロジスティクスと貿易品目の識別のさまざまなレベル間のリンクに期待している。

 

総会決定21-16: 総会は、複合一貫輸送のための統合されたトラックとトレースに関するホワイトペーパー(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 / INF.4)と国連CEFACTの成果物をサポートするエグゼクティブガイドに注目した。 (ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/14)。

 

事務局は、キャパシティ・ビルディング(能力強化)と技術協力への支援に関連する文書を提出した。

  • 以下のトレーニング資料が、情報提供のため総会に提出された。

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 / INF.5:シングルウィンドウの実装に関するトレーニング資料

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 / INF.6:国際標準の使用に関するトレーニング資料

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 / INF.7:国家貿易円滑化機関に関するトレーニング資料 

これらの文書は、各国がWTO TFAの要件、国連CEFACTの成果物に直接関連するこれらのトピックを実施するのを支援することを目的とした追加予算プロジェクトの枠組みの中で作成された。

 

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 / INF.8:

国連CEFACT標準およびツールの使用方法に関する国家貿易円滑化機関のためのガイドが総会に提出された。このガイドは、貿易の円滑化とデジタル化全般の改善を目的として、UN / CEFACTが開発した基準、指針、勧告をこれらの機関が再利用できるようにするために、UNDAの部門間プロジェクトの下で作成された。

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/15:

COVID-19パンデミック後の経済回復に関する地域報告書:電子商取引と貿易円滑化も情報提供のために総会に提出された。このレポートは、UNCTAD主導の政府機関間プロジェクトの一部であり、UNECE地域の国々が直面する主要な課題と、eコマースの強化における貿易円滑化の役割を特定している。

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/16:

キルギス共和国の貿易円滑化ロードマップ2021-2025が総会に情報提供のために提出された。

  • 文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 / INF.9:

2020年12月9-10日開催の第42回電子ビジネス覚書管理グループ会議の会議報告が総会に提出された。UNECEは、2020年を通じてこのグループの幹事を務めた。この管理グループは、重複を回避し、相互運用性を確保するために、主要な標準開発組織(SDO)を結集する。UNECEは、注目された関連する実質的な各ドメインから10のレポートを提供した。このグループの最も古い決議は、他のSDOがセマンティックの統一を促進するために、コアコンポーネントを国連CEFACTライブラリのメンテナンスに提出することを奨励している。議長は、これらのツールと報告について事務局に感謝した。

 

総会決定21-17: 総会は、能力強化と技術協力文書を留意した。


議題7.国連CEFACTの構造、権限、付託条項、手順

議長団(Bureau)は、2021年から2022年の期間(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/17)の新しい作業プログラムを作成した。議長は、この文書はすべての国連CEFACTの専門家と協議して作成されたものであり、以前の文書と同様に、国連CEFACT戦略文書(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2016/20 / Rev.1)に基づいていることを強調した。国連 CEFACTは、新技術への取り組みを含むコア活動を継続することを計画しており、持続可能性と循環性に関する主要なテーマを含むように強化します。

総会決定21-18: 総会は、2021年から2022年の期間の作業プログラムECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/17を承認した。

 

議題8. 先端技術諮問グループ

先端技術に関する諮問グループの議長は、文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021 / INF.10に示されているように、過去におけるグループの作業と、文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/18に提示されている第2回年次総会からの報告を提出した。彼はまた、ドキュメントECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/19で人工知能に関する文書を発表した。

(代表団のコメント)

欧州連合の代表団は、貿易とロジスティクスの先端技術に関する諮問グループの議長に感謝を表明した。「先端技術」という用語は広義であり、諮問グループは国連 CEFACTの作業に焦点を当てるべきであると推奨した。次のUNECEの主要な優先事項として循環型経済が採用される。循環型経済は、欧州グリーン・ディールの主要な柱であることから、諮問グループは特に循環性を支える解決策に焦点を当てるよう提案した。先進技術に関するEUの優先事項についての更なる情報は、EUデジタルコンパス2030でも見ることができる。

総会決定21-19: 総会は、第2セッション(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/18)で、先端技術に関する諮問グループの報告を承認した。

総会決定21-20: 総会は、先端技術諮問グループの報告と概要を留意した

議題9.貿易および輸送場所に関する国連コードに関する諮問グループ

国連貿易輸送場所コード(UN / LOCODE)に関する諮問グループの議長は、文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/20に示された、過去のグループの活動を発表した。また、文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/21の国連持続可能な開発目標14に沿った、PSMA(違法・無報告・無規制漁業の防止、抑制、廃絶のための寄港国措置協定)のUN / LOCODEの使用例を提示した。

UN / LOCODE登録の処理に非常に重要な国内フォーカルポイントのネットワークの重要性を概説した。これらのフォーカルポイントは、グループの会議に積極的に参加することが重要。さらに、この基準を採用するためには民間企業の参加が不可欠であることが指摘された。

議長は、代表団に対し、フォーカルポイントを指名し、積極的な参加を確保するよう求めた。

総会決定 21-21: 総会は、国連貿易輸送場所コード(ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/20)に関する諮問グループの報告を承認し

総会決定21-22: 総会は、国連貿易輸送場所コードに関する諮問グループの報告の使用例に留意した。

 

議題10.持続可能な漁業/持続可能なバリューチェーンに関する専門家チーム

事務局は、文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/22に示されている、過去の持続可能な漁業に関する専門家チームの作業を発表した。次に、総会決定20-05に続いて、文書ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/23で概説されている、他の持続可能なバリューチェーンをカバーするために専門家チームの作業範囲を拡大するための権限と付託事項を提示した。

(代表団のコメント)

欧州連合の代表は、専門家チームの作業範囲の拡大に対する支持を繰り返し、環境、社会、ガバナンス(ESG)の問題に関するトレーサビリティについて言及したことで、作業範囲が明確になったことを歓迎した。

総会決定 21-23: 総会は、持続可能な漁業に関する専門家チームの報告に留意した

総会決定21-24: 総会は、循環型経済社会における持続可能なバリューチェーンの環境、社会、ガバナンスのトレーサビリティに関する専門家チームの権限と付託事項を2年間承認した。(ECE / TRADE / C / CEFACT/ 2021/23)

 

議題11.国連貿易円滑化および電子ビジネスセンターに関係のある

他の国連欧州経済委員会の機関及び国際機関の活動

事務局は、国連CEFACTと現在および将来の協力のための分野を強調するため、以下3つの組織に参加を要請した。

1. UNECEの持続可能な輸送部門 Mr. Francisco Dionori

  • 持続可能な運輸部門と貿易円滑化部門の間の効果的な協業。特に上記UNECEのNexus活動の関連での協力。

  • 持続可能な運輸部門の条約とプログラム、特にeCMR(電子道路貨物国際運送契約)と危険物に関する進行中の作業を支援するために国連CEFACTによって開発されたe-ビジネス標準の有用性。

  • COVID-19対応に関する進行中の作業。

2. CITES事務局 Ms. Haruko Okusu

CITESの範囲と、違法取引が管理システムのギャップを悪用するリスクを想起し、以下のようにコメントした。

  • 自動化されたリスク管理と対象を絞った検査を支援するために電子的手順と情報交換が果たす役割、並びにそのようなシステムが許可証の発行、管理、交換にもたらす利益。

  • 電子署名やセマンティックデータ標準に関する勧告14のような国連CEFACTツールの有用性。

  • 電子許可情報交換に関するUNECE / ESCAP合同タスクフォースへの参加。

シングルウィンドウの利用検討で、国連CEFACTとの協業に期待していることを訴えた。

3. UNCTAD  Mr. Janvier Nkuruizi

商品部門が以下に注目していることを発表した。

  • 説明責任と優れたガバナンスの前提条件として、バリューチェーンの透明性に対する需要の高まり。

  • 消費者は購入する製品の起源、製造条件、サプライチェーンのエコロジカルフットプリントを知る必要があるため、バリューチェーンの可視性が必要であること。

  • この情報を提供するためには技術が重要な役割を果たすが、デジタルデバイドは商品依存型の発展途上国(CDDC)と先進国の間の協業を通じて対処する必要がある。

  • 他の国連機関、特に国連CEFACTとの協業は、このギャップに対処するための技術移転にとって重要である。

総会ではスライドで、カシューナッツを例に挙げ、アフリカで50%以上生産されるが、加工は85%がアジア(中国)で行われ、消費は欧米がほとんどという実態で、原産地などが明瞭になり難い状況を説明した。

(代表団のコメント)

ウクライナの代表団は、持続可能な運輸部門の極めて適切な活動と国連CEFACTとの有益な協業に感謝した。

オランダの代表団は、CITESのプレゼンテーションに感謝し、ePhyto(電子植物検疫)およびEUTRACESハブとの電子許可交換の計画について質問した。これに対し、

CITESは、初期のデータ交換はポイントツーポイント交換に基づいていると回答したが、締約国はハブを使用した交換も検討している、と回答した。

文書 ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/24

 

議題12.貿易円滑化と電子ビジネスにおける将来の課題

この項目は、会議のオンライン形式による時間的制約のため、次の総会に延期となる。

 

議題13.その他の事業

その他の事業は今回、提起されなかった。

 

議題14.第27回会期の決定と報告書草案の採択

総会決定21-25: 総会は、第27回会合で、国連CEFACTの報告と決定を承認し、ECE / TRADE / C / CEFACT / 2021/2を文書化した。これらは、UNECE執行委員会の決定に従い、加盟国の代表者の技術的接続に問題が生じた場合のみ、沈黙手続きの対象となる。

                    以上

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