【日本学術会議 任命拒否問題】 Q. 「レジ袋有料化は日本学術会議のせい」というのは本当ですか?

Q. 「レジ袋有料化は日本学術会議のせい」というのは本当ですか?

A. 誤情報です。2019年に大阪で開催されたG20に合わせて、2019年3月6日、各国の科学アカデミーで構成するサイエンス20(S20)が、日本学術会議が主催してまとめた海洋汚染対策を共同声明として採択しました。

S20 Japan 2019 Science 20
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-gs2019-1j.pdf

 海洋資源開発、気候変動、水産資源の乱獲、海洋観測強化、データ管理、人材育成など多岐にわたっており、海洋環境保全のためにすぐに実行に移すべき重要かつ総合的な内容となっています。

 海洋プラスチックについては、「2. 海洋プラスチックごみー新たな脅威の出現ー」という独立した項目として取り上げていますが、論文による根拠を明示した上で海洋プラスチックゴミの有害性を指摘し、何世紀にも渡り環境に蓄積するような素材を使用しないプラスチックの開発に向けた産業革新の必要性を訴えるにとどまり、レジ袋有料化の提言はされていません。

(参考)
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海洋生態系への脅威と海洋環境の保全
ー特に気候変動及び海洋プラスチックごみについてー
(仮訳)
概要
 汚染のない海洋環境は、人間社会の持続可能な開発に必要不可欠である。海洋は、大気中 の熱及び二酸化炭素の巨大な吸収装置となり、人間活動により引き起こされる気候変動を 緩和する役目を担っている。さらに、海洋は、タンパク質源としての水産資源の提供や様々 な自然の循環を保つ等、様々な方法で人類に福利をもたらすだけでなく、精神的な安らぎの 源ともなっている。しかしながら、その海洋生態系が深刻な脅威に直面している。具体的には、地球的規模での温暖化と、それに伴う海面上昇、そして海洋酸性化及び貧酸素化が、海洋環境上の主要な課題である。海洋の富栄養化、さらに重金属や有機毒性物質などの汚染物 質の海洋への流入は沿岸環境を悪化させている。また、陸地と海洋の両方から発生した海洋 プラスチックごみの集積は、新たに出現した課題と言える。さらに、違法・無規制・無報告 (IUU)の漁業は、海洋生態系に直接悪影響を与えている。社会に及ぼすこれらの影響を最 小限に抑えるため、科学の果たす役割は重要である。そこで、G20 の科学アカデミーは、以下を提言する。
1) 海洋資源の今後の開発に際して、海洋環境に対する好ましくない影響を引き起こさ ないための専門家による科学的根拠に基づく助言の必要性
2) 気候変動、水産資源の乱獲、汚染など海洋生態系へのストレス要因の軽減を目的と した行動の増強
3) 科学的根拠に基づく目標設定とそのフォローアップ、及びステークホルダー連携を 通じた都市や地域レベルでの循環経済・社会の実現
4) 研究船、観測・監視技術等の調査・研究基盤の能力強化及び教育による人材の育成
5) 世界中の科学者がアクセス可能な、データ保管装置と管理システムの確立
6) 地球規模での海洋の包括的な理解の促進のため、強固な国際協力の下で推進される調査・研究活動の実施と、それにより得られる情報の共有化

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