新型ウイルスはA型、B型、C型の3つに大別され、東アジア地域では祖先型のA型ではなくB型が流行した

<科学論文> 8th April 2020, PNAS Curated by 都丸亜希子

 英ケンブリッジ大学のピーター・フォスターらの研究チームが4月8日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した論文です。これによると、ゲノム解析の結果、新型コロナウイルスはA型、B型、C型の3つに大別でき、A型からB型、B型からC型に変異したことがわかりました。

Phylogenetic network analysis of SARS-CoV-2 genomes
SARS-CoV-2ゲノムの系統ネットワーク解析

 A型は武漢の患者から見つかったものの、武漢で流行したのはB型です。アメリカやオーストラリアの患者からもA型から派生したウイルスが見つかりました。

 B型はA型からの変異。武漢を含む東アジア地域の感染者から多く採取されたのは祖先型のA型ではなくB型であったことが示されました。

 C型はB型からの変異。欧州で初期の患者から見つかった主な型で、初期の中国本土からは見つからなかったものの、シンガポール、香港、韓国では検出されています。

 また、この解析に先立ち、センザンコウと中国雲南省のコウモリから検出されたコロナウイルスとヒトから検出されたコロナウイルスとを比較した結果、Zhouらの結果(Nature 579, 270–273 (2020))と同様に、ヒトのウイルスはコウモリのものに近いこともわかりました。

 この研究成果は、各種ウイルスのゲノムデータの分析・可視化、ならびに解析手法のオープンソースプロジェクトを展開する国際的な非営利団体、GISAIDの2020年3月4日までのデータを解析して得られたものです。GISAIDについての説明はこちらをご覧ください。


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