20歳の時、新宿で１週間野宿した話

自慢でも何でもないですが、20歳ぐらいの頃、どこにも泊まらずに新宿で一週間、野宿したことがあります。

場所は高島屋のサザンテラスのベンチ。

当時大阪在住だった私は、お昼の生放送番組『笑っていいとも』のオーディションを受ける為によく上京していまして。
もちろんオーディション(＋番組)が終わればその日に大阪へ帰るのが普通なのですが、ある時、オーディション(音速で不合格)が終わったあと『あれ？また来週も来る予定だし、そのまま新宿にいれば一度帰るよりもお金使わなくて済むんじゃない？』という安易な考えに至り、アウトロー生活に突入しました。
今考えれば、バイトすりゃ良かっただけの話です。愚かです。

時期的にはちょうど１１月に入ったばかりの頃にも関わらず、なぜか半袖の服しか持っていなかったので、結構寒かったのを覚えています。愚かです。

ちなみにその時のルーティーンは、

昼間、大型施設の個室トイレで寝て、夜はベンチに腰掛け夜景を堪能

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朝が近付くと牛丼屋へ入り、明るくなるまで居座る

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商業施設的な建物が空くまでJR新宿駅のバスターミナルのベンチでボーッとする

というライフワークでした。

睡眠時間は恐らく、一週間でトータル１５時間位だったかと思います。まぁ寝れない。

当時、携帯電話は使い放題のコースに入っておらず、ネットにも疎かったため全然使っていませんでした。
お金の出費は出来るだけ抑えたいとの意志が強く、カラオケや漫画喫茶などの料金が発生するスポットには一切足を踏み入れず、このチャレンジを乗り切ってやろうという変な意地があったのです。
※あくまでプライベートです。黄金伝説の企画等ではありません

職質も何度かかけられたし、そっち系のお兄さんにも「ウチのとこ来ない？」って何度も勧誘され、多少肝を冷やす場面があったのを覚えています。
でも喋っているうちに、お互い高校野球好きという事もあって話が盛り上がり、最終的には『俺、自転車で神奈川から京都まで行ったことあるよ』と謎の武勇伝を引き出すほどにお兄さんと打ち解ける事ができました。

そして、野宿生活の終わり頃にはそのお兄さんを含め、終電を逃したサラリーマンの人や歌舞伎町のホスト、新宿に住み着いてる言語能力のあるホームレスの人達とも何故か仲良くなっていました。
今考えたら信じられない人脈です。新宿スワンだよ闇金ウシジマくんだよわーいわーい

まあ、突然の雨に降られたり
睡眠不足からか長い階段の上から転がり落ちそうになったり
マスターオブホームレス(言語不明瞭で挙動不審かつ愛車の荷車を乗りまわす人物)にプリッツとのほほん茶を奪われたり
ネガティブ極まりない出来事も起こりはしたんですが。

中でも、一番の恐怖体験はおっさんにホテルで襲われた事です。

僕がいつものように深夜高島屋のベンチでボーっと座っていると、「どうしたの？」と声を掛けられる。
見ると、そこにはスーツ姿の小太りの中年男性。
彼の話によると、終電を逃したようでこれからホテルに泊まるという。
僕が野宿をしている話を聞いたそのおっさんは「良かったら一緒に泊まる？お金はいらないから」と言ってくれた。
今だったら絶対に断っていただろうが、当時の私は純粋なほどにピュアだった。『何ていい人なんだ！』と全く疑いもせず、ホイホイついて行ってしまった。

そして着いたるは簡素なラブホテル。
テレビで18禁の専門チャンネルが流れていたのを鮮明に覚えている。
「先にお風呂に入ってきて」と言われて入り、おっさんがお風呂に入っている間に僕はベッドで寝ていたのだが、ふと意識が戻った時、僕の目に飛び込んできたのは！

ハアハア息遣いが荒く、僕の体をまさぐるおっさんの姿だった

ギャーです。
まじぎいやああああです。
当時、知識のないバカな僕でもさすがにこれはヤバいセンサーが稼働し、言葉にもならない訳の分からない奇声を出しワーワー喚き散らしたと思います。
そして、「ごめんなさい」「ごめんなさい」と繰り返し目線も合わせないまま荷物を持って全力ダッシュで逃げ出しました。

後にも先にも、あの体験が今までで一番命の危険を感じた出来事だったかもしれません。

とまぁ、数々の憂き目に遭った１週間でしたが、社会の怖さを知る上でこの上なく良い経験にはなったのではないかと思います。

何せ、それからはもう二度と野宿なんてしちゃいけない！野宿は危ない行為なんだ！って思うようになりましたから(最初から思っとけよ)
サイフなんて盗られてた日にゃどうなってたんでしょ。

それにしても昔は本当に恐いもの知らずだったというか世間知らずだったというか、シンプルにバカだったというか。
まぁ、残念ながらシンプルにバカは継続中です。

これが、私の新宿での野宿体験の全貌です。

で、野宿生活を耐え切って再び受けたオーディションは即落ちでした。