芸人と病気

山下弘子さんという方をご存知だろうか。

数年前のある日、深夜のドキュメンタリー番組を見ていた時に、私はその人を知った。
内容は、がん患者に密着するという内容であり、彼女はそのがん患者だった。
某保険会社のCMで嵐の櫻井翔さんと対談していた女性、と言えばピンとくる人もいるかもしれない。

その時、年齢はまだ22歳だった。早い。
しかし初めてがんになったのは19歳の時らしい。早すぎる。

しかし山下さんの、病気にも関わらず明るく気丈に振る舞っている姿を見て、こちらが勇気付けられてしまった。
本人に自覚はないと思うが、本当に人間的に強いなあ、尊敬するといったレベルだった。

そんなポジティブなほど懸命に生きていた彼女だったが、その生涯はわずか25歳で終える事となってしまう。
周囲の人達は計り知れないほどの悔しさ、悲しさだったろう。

その少し前には、丸山夏鈴さんというアイドルの方のドキュメントも偶然見ていた。
彼女も若くしてがんに冒され、残念ながら2015年5月22日に21歳でこの世を去っている。

がんといえば言わずと知れた難病である。
医学も随分発達してきた昨今において、完全な治療法が確立されていない。
主な原因はたばこ、酒、乱れた生活習慣などの不摂生が可能性として挙げられる。加えて、ストレス等の精神的な要因も考えられるらしい。
山下さんのような若い方は先天的なものだろうと思うが。
いずれにしても理不尽だ。


しかし毎回こういう悲劇を見てて思うのは、芸人も他人事じゃないなという事。
つい最近では、関西の若手芸人さんの突然すぎる訃報もあったし、私の知り合いの芸人も何人か亡くなっている。
救急搬送されて生死を彷徨った人もいる。

持病持ちだったり、自己責任とは言えないケースもあるだろうが、大体の芸人は知らず知らずのうちに【己で体を痛めつけている】ものなのだ。
『まだいける、まだ元気だぞ』と。

売れない芸人なんてのは金がないからロクな飯を食べてないし、全然寝てなかったりするし、タバコ吸ってる奴は多いし大酒飲みの奴も多いし、ストレス溜まりやすい職種だしで、何かしらの病気になるリスクは高い。常に病気と隣り合わせだ。
金がないから、多少体調が悪くとも、病院には行かない。我慢する。これが後々に重大な事態に発展する事もあるのだ。

その日暮らしで生活している芸人は、一個大きな病気をしたら、その時点で終わりであろう。
芸人人生の終わりだ。
一見気楽に毎日を過ごしているように見えて、実際は、1日1日がサバイバルの生活を送っている人がほとんどなのだ。
まあそんな危機意識を持っている芸人は少ないだろうけども。だからこそ芸人たりえる。


ここだけの話、体調不良になる芸人には、共通するポイントがある。
果たしてそれが合っているかは分からないしあくまで憶測だが、話を聞く限りでは


・深夜に起きている生活をしている
・ろくに睡眠を沢山取らない
・野菜を一切とらないなどの偏食
・安い値段のタバコを吸っている


まぁ今さら言う事でもないと思うが、これらを満たす人は、危ない目に遭っているような気がする。


闘病している人のドキュメントを見るたび、摂生を心掛けようと決意し、毎日を大切に生きようと思わされます。
でも蓋を開ければ、何だかんだで結局は出来ない。

謎の過信と自己顕示欲を見に纏って生きていく。

だから芸人か。

それが芸人か。

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