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NYにはお正月はない

日本はすでに大晦日に突入(?)してしまっているみたいですね。今はまだここでは30日だけど、外はあまり人が歩いていなくて、何となく静まり返っている以外は、普段とはさして変わらない。だから、海外にいると、相変わらず年越しに関しては大きな実感がない。

アメリカの仕事始めは1月2日から

私が一番最初におそるおそる書き始めた短いnoteでも年末年始について書いたのだけれど、アメリカではクリスマスがホリデーのメインイベントなので、年明けは2日からすぐに仕事始めになる。(てことは、すでにnoteを始めて一年近く経ってしまったってことかな?我ながらビックリ。でも、今年はあまりに過激な一年だったので、何だかまたしても実感がない。。)つまり、三が日をのんびりと、なんて言う悠長な習慣はないっていう事だ。

とはいえ、今年はたまたま2日が土曜日だったりして、3日まで合法的に休みになっているので、カレンダー的にはホリデーモードに違いないだろう。

日本の師走(12月)は一年で最も忙しい月

日本には、師走という表現もあるように、12月はある意味一年の締めくくり、及び新しい年を迎える準備をするというような慌ただしさの只中にあるような意味が込められている。それゆえ、ある意味公私共に最も忙しく過ごす人たちが多いのではないだろうか。

日本では年末年始にやることが多い。まず、忘年会やクリスマスはさておき、お歳暮やら年末の大掃除、お年賀の準備、31日の年越し蕎麦と初詣。そして、おせちやお雑煮作り。三ヶ日も人によっては着物で出かけたりするかもしれない。

つまり、年が明けることをものすごく重要なイベントとして取り扱うのが日本の風習なのだ。これは中国や韓国などのほかのアジア圏も似ているかもしれない。(中国の場合はカレンダーは旧暦のお正月になるので元旦ではない。)

だから、ここにある日本のスーパーマケットでも、やはり年越し蕎麦やおせちの真似事を少しでも味わいたい日本人の人たちに向けて、おせちになりそうなものを毎年何とかできる範囲で用意していたりするのが恒例だったりする。

キリスト教文化の国ではクリスマスが一大イベント

でも、キリスト教を中心とした欧米諸国では、クリスマスが一大イベントなので、その後は何となくまったりと過ごしながら、カウントダウンが終わって2日になるとそそくさと普通の生活に戻っていく。

要するに年が明ける事に対して、日本ほどのお祝いモードはないのが現状だ。

しかも今年はアメリカでは最重要な選挙戦の可否のような問題も挟んだままのホリデーシーズンの年越しになる。そしてその上にコロナで、イギリスでは感染率が通常の7倍の変異種まで発生していて、海を渡ってアメリカに来る人たちにも陰性でなければ飛行機に乗せないと言う規制までかかっているし、クリスマス前から旅行を控えるようにと言う呼びかけもあって、街ではPCRテストに長蛇の列ができている。

これではやはり普通に過ごしようもないと思う。

とは言え、ここで日本人家族で暮らしている人たちにとっては、お正月というのはどこにいてもお祝いしたいそれなりに大きな習慣だと思うので、こんな状況でも何とか無理をしておせち料理の材料だけでもと日本食スーパーに駆け込んでいる人たちも少なくないようだ。

欧米人にはコンセプトが見えにくい日本のおせち料理

ちなみに、私は以前、おせち料理の簡易版のようなものを用意して、ここで西洋人の人に食べてもらったことが何回かあるのだけれども、その様子を見て思ったのは、やはり、おせち料理は西洋人には”?”でしかない、という事だ。

欧米の都市では、ここ10年、あるいは20年ぐらいの間に、日本食人気が非常に高くなった。最初はお寿司(Sushi)ブームから始まり、お蕎麦(Soba noodle)や天ぷら、照り焼きやカレーなどを始め、近年ではラーメンが大人気だったりもする。

そんな日本食愛好家の欧米人たちは、日本のおせち料理はお祝い料理だと聞いて、最初は日本流のローストビーフやターキーの丸焼き、あるいは大きなキャセロールやシチューなどの空腹を満たしてくれるような、あたかも舌をとろけさせてくれるようなお料理を想像するのかもしれない。

だから、目の前に展開された日本のお祝い料理であるおせち料理は、見た目はそれなりに美的ではあるものの、実際にお皿に盛られた姿は、彼らには、ただの内容が分からないオードブルにしか見えていないのではないかとも想像できる。

このオードブルに一体どんな美食の秘密が隠されているのかな?と何となく訝しげに一品づつをとりあえずは味わってみるのだけど、味付けの方も、変に甘かったり酸っぱかったりして、普段日本食屋で食べ慣れたお醤油ベースの味付ともどうやら違う感じがする。

気を使ってコメントしながらも、謎のオードブル”おせち料理”には箸はすすまない欧米人

だから、何だか予想が外れたようなよく分からない感じのままで箸を置き、”It's Good!"と半分愛想笑いでコメントしつつも、結局は全部食べきれず、そのまま日本酒を味わう方に走ってお茶を濁す場合も少なくないと思う。

例えば田作りは小魚とは言え、魚が丸々の姿で出てくる。アメリカでは小魚を食べる習慣はなく、魚は切り身でしか食べない場合がほとんどなので、魚の形や目が付いているだけでビビってしまう人もいたりする。

同じく数の子も食べる事はない。黄色くて噛みごたえのあるよく分からない味のない物体が、ニシンのエッグだと聞いても、何だか素直に楽しめない様子だ。

そして、栗きんとんに至っては、みんなデザートに違いない、言う解釈をするようだ。もちろんそれは、栗の形と栗のソースが絡まっている甘い味のものなので、お菓子と勘違いするのも分からなくはない。

やはりスタンダードな日本食の方が外国人には人気が高い

けれども、みんなの好きな”ご飯”(すし飯)や”お味噌汁”(Miso Soup)は、いつまで待っても出てこない。。。となると、やはりこのオードブルがお祝い料理なのか??となり、意味不明になってしまうんだと思う。

だから、私は拙い英語でいちいちその意味を翻訳して説明したりもするのだけれども、意味不明の見た目や味のオードブルたちは、いくら解説を聞いたところで外国人の日本食の愛好家には全く響きそうにない。

と言うわけで、おせち料理は外国人には不人気なので、国際交流の場があったとしても、あまり気合いを入れてシェアする事は私はオススメしない。それなら普通にお寿司とかを出してあげた方が彼らは何倍も素直に喜ぶだろう。

そんなわけで、今年最後はおせちの話になってしまったけど、記事を読んでくださったみなさま、今年はどうもありがとうございました。そして、来年もよろしくお願いします。では、どうか良いお年をお迎えください。Happy New Year!







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