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冬が好きになった日

最近、毎日散歩に出掛ける。歩けばものの数分で海に着く距離に住んでいるから、行き先はもちろん海。

夕方、一度父と散歩に出た。老いた父と歩ける距離はわずかだ。その分、実は昼過ぎにも一人で歩いているのだが、今日は体が言うことを聞かず出られなかった。そのせいか、父との散歩では歩き足りなくて、コーヒーを淹れてから私だけ一人海に戻った。

さっきより空気が冷たい。歩を進めるたびに空気の冷たさが変わる。徐々に頬が冷えてくる。その冷えた頬を、まだほんのり温かい手で触ると気持ちが良い。

日が暮れ、わずかにだがある家に明かりが灯る。人が生きている。今日も一日が終わる。その明かりを確かめながら、水筒に入れてきたコーヒーを飲む。格安で売ってたドリップパックのものだけど、冷たい凛とした空気の中で飲むと格別だった。

冬が好きになった。

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