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コストカットによる安全性の軽視

こんにちは。ジャスミンです。

私がコンサルや現場での育成研修をする際に大事にしていることについて今回お話します。

安全第一、品質第二、生産性第三

とにかく「安全を第一」に考えること。

私は初めてのアルバイトが大阪の某テーマパークでした。当時、口酸っぱく言われ続けていたのが「安心・安全を第一に行動すること」でした。

実は、大きなクレームを出したことがあります。
当時17歳の高校生、一番最初に働いた部署はエントランスのチケットを機械に通すという場所でした。「こんな所で安全と言われても大きな事故なんて無いでしょう」と高を括っていたんでしょうね。

ある日、昼ぐらいでしょうか。入館の混雑も落ち着き、いわゆる暇な状態。
(当時は今ほど常にいっぱいという感じでも無く、余裕のある時間も多かったんですよね)

隣の先輩と機械を挟んで喋っていました。
すると、私の担当の機械に向かってかなり背の高い女性が猛スピードで走ってきました。

「え!?!?何!?怖!」
と思ったものの、チケットを通さない限り、ターン(チケットを入れたらクルクル回って入館するって言うとわかりますかね)
は回らないようになっています。

この人を止めれないし、(体格的に)、めんどくさいし、ターンの前で止まるか、どっちにしろ回らなくて立ち止まるだろう。

そして、その考えが甘かったんです。

立ち止まることなく、猛スピードでそのままターンの棒の部分に激突!
ちょうど腹部に当たる位置のため、その女性の腹部に食い込むようになったのです。

女性はその場でうずくまり、私は右往左往。
その少し後からその女性の保護者の方らしき方が走ってこられ
「なぜうちの子を止めてくれなかったの!!!!!」と怒られました。

すぐに隣の先輩がインカムで上司を呼び、うずくまる女性を医務室へ。

そのまま30分くらいは勤務していましたが、私も動揺していたため、早退させてもらいました。

翌勤務、上司に呼び出される。

「先週のこと、覚えてる?」

あ、あの激突してしまった女性のこと…

「あの女性はね、実は障害を持っていらっしゃるそうで、自分ではターンが回らないとは判断できなかったんだよね。本気でぶつかってしまったし、念のために病院には行ってもらったたけど、大きな怪我はなかったからね。」

正直、ホっとした。

「でもね、親御さんからはやはり大きな問題と捉えられているんだよね。それは会社側で対応するんだけどね。今回のようなことになる前に少し安全性について話をしよう」

「今回はあの女性は初めての来場で、とっても楽しみにしていたんだ。だからこそ、痛い思いをさせてしまい、入場もできずに、嫌な思い出になってしまった。私たちは、楽しい思い出でのまま家に帰ってもらうためにも、常に安全面には気を配らなくてはいけないんだよ。どんな小さな事故も見逃してしまっては、大きな事故にも繋がることを覚えておかないといけないんだよ。」

今回は怪我がなかったけど、私の小さな見逃し(大丈夫だろう)という気持ちが、今後いつかは大きな事故になるかもしれない。

すごく怖くなった。けどその後に上司に言ってもらった一言で救われた。

「きっとこんなこと言われたら怖いかもしれないけど、あなた一人が抜けてしまっても私たちも困る。小さな見逃しを無くすためにも、たくさんの目が欲しいし、今回のことであなたはきっと更に細かく見てくれるようになると思う。だからこそ、頑張ってほしいんだけど、どうかな?」

当時の経験からも「小さな見逃し」は絶対無くして「大きな事故」はあってはならないと思い、今も大事にしています。


ハインリッヒの法則(Heinrich’s law)

労働災害における経験則のひとつ。
1つの重大事故の背後には、29の軽微な事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリ・ハット)が存在するというもの。
Wikipedia

コロナショックで人件費を大きくコストカットし、安全性を軽視する企業が多くみられるこの頃。

利益を出すことに捉われ、人件費を削減し、安全性が失われているのも事実です。
かと言って、利益を出さねばその企業も営業できなくなるし、そこに勤める従業員の生活が危ぶまれます。

ただ、今回の知床の事故のようなことは無くさねばならないと思うのです。

人件費を削ることにより、最小限の人数(もしくはそれ以下)で営業したり、またはベテランを潰してしまう…

価値を生み出せるベテランに育てるまでには時間と労力=コストをかけなければなりません。長年勤しみ身につけた知識は、替えはききません。

人件費を削らなければ確かにコストカットできないことが多いが、まずは生産性や品質向上を見直すべき。

提供するサービスの質どころか、安全性までも脅かす事態になれば本末転倒です。

そんな中で被害者となるのは、お客様や現場の従業員です。

現場で働く皆さん、「これ危ないな?」っていう場面はありませんか?
経営に携わる皆さんには、現場の従業員の声に耳を傾けていただきたい。

大きな事故が起きる前に、改めて考えて欲しいと思います。

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