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映画『ゴールデンカムイ』を観てきた

楽しみにしていた映画『ゴールデンカムイ』を観てきました。

(3週間ほど前のことです。感想書くことカメのごとし・・・。『もうだいぶ時間も経っちゃってるからもうUpするのやめようかな』と思いましたが、全部出す!のが今年の目標なので、誰得だろうが経っちゃっても出します)

実写化ということで、発表当時は金カムオタク界隈は阿鼻叫喚の嵐。私もそのひとりでして、おびえながら公開を待っておりました。

以下、映画『ゴールデンカムイ』と原作のネタバレおよびそれを見て考えたことなどがあふれますので、まっさらな気持ちで映画を見たい方、肯定しかしてほしくない方は引き返すようにしてください。


山﨑賢人さん演じる杉本佐一。ちょっと…かわいすぎたかな…





漫画の実写化としては大成功では

キャストの再現度はもちろん、全編通して原作への愛があふれていました。
ストーリーはほぼ原作通りで、違和感のあるアレンジやキャラクターの統合などもなく、セリフも原作からそのまま持ってきているものもありました。

私が特に映画化大成功だと思ったのは、原作+αのおもしろさがあったからです。α、つまり実写だからこそ味わえた魅力、大きなポイントは2つあります。

1.冬の暴力性

今回のストーリー上の季節は冬。映画は冬の北海道でロケが行われており、見ているだけで撮影現場の過酷さが想像できました。
杉元と白石が川に落ちるシーンや馬ぞりのシーンなどは、スタントマンさんやCGでの撮影ではなく、キャストさんたちがそのまま川に落ちたりそりに引きずられたりしたそうです。

おかげで、冬の寒さや雪が最も暴力性を持っていることに気づきました。自然はこわい。実写ならではの圧倒的な説得力があったと思います。
こわさだけじゃなくて、杉元が真っ白な雪原を一人歩くシーンなどは凛とした美しさがありましたね。

厳しい冬の描写があるからこそ、金カムの目玉である料理シーンがより引き立っていると思いました。映画では3つの鍋が登場しますが、食事のシーンはどれもほっこりして、癒されました。お鍋が食べたくなりました。

アシㇼパさんの狩猟の道具やアイヌコタンでの生活の再現、工芸品などもとても見ごたえがありました。
美術班さんたちの熱量が感じられて、とても良かったです。

2.山﨑杉元の魅力

キャストが発表されたとき、ビジュアルの再現度が半端じゃなくて驚いたのですが、正直なことを言うと、杉元を演じる山﨑賢人さんには違和感を感じていました。
「杉元にしては少年っぽいし、キレイすぎない・・・?」と。
が、そんな失礼な考えは木っ端みじんに砕けました。
山﨑さん演じる杉元は杉元でした!
私が浅はかでした!申し訳ありません!

いや、確かに、当初の違和感通り、原作の杉本より華奢なんですけれども。
原作通りのイメージを纏っている俳優さんが多々いる中で、主人公である山﨑杉本が一番原作のイメージから遠いんですけれども。
そこが逆に、実写金カムの魅力となっているんですよ。

特に、伏し目がちにしているときの顔が杉元なんですよ!
原作の杉元よりもわずかに儚さや悲しみが出ているところや、線の細さが、逆に原作と違った魅力になっていて良かったと思います。
それでいて、回想に登場する、幼馴染3人で過ごしているときの杉元には少年っぽさがあって、この頃の杉元は何も背負ってないんだなとはっきりわかる演技でした。

アシㇼパさんはまんま、原作初期のアシㇼパさんでした。白石は本当に白石だった。
二話尾は本当にニ話尾だったけど、眞栄田郷敦さんが演じるとあんなにもかっこいい。

そんな中でも、今回の映画で一番再現率が高く、「本人か!!!!!」と声をあげそうになったのは、尾形に殺された囚人、島津健太郎さん演じる笠原勘次郎ですね。

キャストの皆さん、スタッフの皆さん、映画ならではの金カムの世界を見せてくださってありがとうございました。


とはいえ

原作ファンも拍手喝采のこの映画、とはいえ、私は少し引っ掛かりを感じるところもありました。

金カム映画は原作に忠実に再現されていることもあり、そのためにストーリーがあまり進んでおらず、この1本で完成品とみるには少々物足りなく感じました。

この映画の山はラストの馬ぞりでの逃走シーンとしたいんだろうなとは思うのですが、杉元たちのこのシーンでの目的は「脱出」しかないんですよね。金塊の謎も、刺青人皮の謎のキーパーソンであるのっぺらぼうも、このシーンとは関わりがない。本筋とはあまり絡まないシーンなんです。再びアシㇼパさんと相棒になって白石が仲間になったというGET要素はありますが…いや、そこが山ってことかな。
三つ巴の戦いとしては、土方陣営と杉元との顔合わせはないまま終わり、「役者はそろった」でENDになってしまった。

その点がちょっと残念でした。
「違和感ありまくりの原作改変はしてほしくない。キャラクターの解釈違いもお断り。そうなってしまうくらいなら原作のままの実写化がいい」
その気持ちもわからないではないけど。うーん。
原作のままなら原作読むのが一番だと思うタチなので。

ここまで素晴らしい映画を作っていただいて、不満点を言うのは本当に申し訳ないのですが…

もし続編ありきだとしても、最終話まで映像化するのには10年以上かかるのでは。いや…網走監獄編までで10年くらいかかりそうな。
例えば『ハリー・ポッター』シリーズは第一作から最終作まで10年費やしており、第一作のときに小さかったキャストさんたちはギリギリそのまま最終作まで演じましたけど、10年後の実写版金カムにそれができるかどうか。
続きはWOWOWで配信という噂も聞きますが。
どうなりますかね。

そう考えると、最終話まで映像化されない可能性もあります。
最終話は、私はいまだ全肯定では受け入れられずにいるので、うん…どうなりますかね。




というわけで、長く引きずった実写金カム感想でした。

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