水車小屋のネネ
水車小屋のネネ、読み終わりました。
すーっと読める本だった。まるで自分のことか、もしくは知っている人生が描かれているような気分だった。こうやってどこかの誰かには見えない人生やドラマがあって、それをみんなが歩んでいるんだよなあ、と考えずにはいられない本だった。
私が一番好きだったセリフを。
私はこれ以上同意することができないくらい、共感を抱いた。
人と関わることが好きなのは、そこに毎回想像を超えるような経験、価値があるから。
今までのどんな経験をとっても、出会った人が分けてくれたいい部分で私が成り立っている。お世話になった人、いつも気にかけてくれる人、そんな人たちを気にかけることが生活の主であること。これ以上に平凡で、それでいて最高の幸せは他にないと思う。
以前留学に行く前にそれを経験した先輩に言われたのは、
「留学に行く理由なんて、ただ行ってみたいでいいんだよ。それを説明したって分かってくれやしないんだから。でもそこに行って、あぁ私はこの人と出会うためにここに来たんだな。とか、この経験をするためにここに来たんだな、っていう後付けで十分なんだよ」と。
人はいつも後からしか振り返れない生き物だ。感謝の言葉に、実感というそのありがたみが伴ってくるのも、ずいぶん先のこと。ふとある地点で振り返った時に、恵まれていたんだな。と、その風景を懐かしむことができるのも、また幸せなことだと思う。永遠というものはない。だからこそそれを慈しみ、懐かしむということも人生の楽しみの一つなんだと思う。それが人生なのかもしれない。
人との別れを経験すると、どうしても寂しい気持ちにはなるけれど、人生という観点から見ると、ふとした時に想う相手がいるのも、いいものだと感じるようになる。
人生が味わい深いものになりますように。それは決して、一時的な感情や衝動に突き動かされた、すぐに消えて無くなってしまうものではなくて、大切なものを、これからもずっと心の中で味わいながら大切にできる、そんなものでありますように。
そんなことを考える、本でした。最高でした。
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