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バルセロナ・ゴシック地区

バルセロナのゴシック地区は古い町並みが残る人気の観光スポット。
重厚な建物の間の細い石畳の道をたくさんの人が歩いている。
でも少し横道に入れば、しーんと静まりかえっていて荘厳な趣がある。

芸術家のジョアン・ミロはここゴシック地区の出身。
ミロ、という名前でピンと来た。
彼の家系はもともとユダヤ系なのだ。
スペインではかつてアウトデフェ(異端尋問)がひどくて、ユダヤ人は改宗させられるか追放されるか、最悪の場合は拷問の末に処刑されるかだった。
だから現在のスペインにはユダヤ人がほとんどいない。
いたとしても先祖が強制的に改宗させられて、現在はキリスト教徒ということになっているのがほとんどだと思う。
ミロの家族もそうだったのだろうか。

通りの名前のサインを見ると、ユダヤ人のラビの名前がついていた。
Carrer de Salomo Ben Adret 
サロモ・ベンアドレット通り
(1235-1310) ラビ、法律学者

かつてシナゴーグだった建物の壁沿いを歩くと、昔訪れたイスラエルのヤッファという町を思い出した。
時代と国は違えど、同じ雰囲気を共有しているのが不思議だった。

街のかわいいケーキ屋さんの地下には、かつてミクバ(ユダヤ人がけがれを落とすお風呂のようなもの)があったという。
もし、バルセロナに住んでこのケーキ屋さんの常連になったらミクバの跡を見せてくれるだろうか(現在は地下への階段は立ち入り禁止になっている)。
このケーキ屋さんがある通りはお風呂通りという名前がついていて、お風呂に浮かべるアヒルの人形のお店もある。
時は流れるのだなぁ。

(つづく)



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