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娘の頭痛の原因究明まで3年  イギリスで専門医に行きつくまで

娘は昨年の12月でハタチになった。

現在イギリスの大学2年生。

あれだけの頭痛に悩まされ続けて、よく大学生になれたなと思う。

彼女の頭痛は17歳頃から始まった。大学受験の1年ちょっと前からと言うことになる。

頭痛持ちでは無い私には想像も出来ないような痛みで、痛すぎて授業など受けられる状態ではなかったらしい。

毎回頭痛が酷くなると早退していたのだが、まさかの無断欠席!!

欠席する授業の担当先生に断らずに帰宅していたとは・・。

欠席が多かった科目はこのままだと進級に差し支えるとの連絡を学校事務局から受けて、初めて娘の行動を知ることとなった。

娘に問い詰めると、どれだけ痛いかなんて表現できない。とにかく何も考えられないし、ずっと耳鳴りもする。今まで普通に暗記できたことも全然出来なくなってしまったと泣きながら私に訴えた。

そんな恐ろしい状況を知らずにいた自分に愕然とした。

しかし、そんな状況でも誰にも言わない娘にも驚く。

・・・

それからすぐに総合診療医の予約を入れた。

イギリスの医療システム、まず絶対にこの総合診療医に診てもらわねばならない。

以前私の皮膚問題についても綴ったが、診療医も毎回行く度に違う医者に診てもらう事が多く、専門医へ照会してもらうまでの道はかなり遠い。

総合医療医とは、患者の特定臓器に着目するのではなく、全体的な健康問題に向き合って治療を行う。その国のあらゆる年齢、および性別に患者を診療できるよう教育がなされる・・・と説明されている。

確かに日本でも自分の思い込みで診てもらったら、本当は違う病気だったという事もあるだろう。 そういう意味でも総合医療医は着目すべきだと言う話もあるようだが、イギリスに住み、実際この医療システムの中で暮らす身としては、出来る事なら日本のように直接専門医に診てもらい。自分自身で医療機関を決めたいと切に思う。

***

とにかく娘は総合医療医に診てもらった。

だが・・・

成長期のストレスではないかと言ってビタミン剤を勧められ、カウンセラーと話してみてはどうか。で終わった。

ビタミン剤とカウンセリングで治るくらいの頭痛で、わざわざ面倒な総合医療医の予約を取るわけないでしょ!とどこに怒りをぶつけて良いのか分からなかった。

その後も娘は違う総合医療医に何度となく診てもらったが、血液検査のみで誰一人としてCTスキャンやMRIを撮ってみようと言う人はいなかった。

そして3年近くが過ぎてしまった。。。

イギリスにもプライベート医療はもちろんある。

国民保険サービスのように待たされる事もなく、すぐに診てもらえて専門医にもすぐ照会されるらしい。

我が家はプライベートの保険に入っていないので、プライベートの機関を使うとなると相当な金額になってしまうだろう。

今回の娘の件はひどい頭痛がずっと続いていると言う状況だ。  MRIくらいプライベートで撮ってもらおうと言う事になったのだが、娘が自ら予約する事なく、検査もせず3年近く経ってしまった。

その後も総合医療医の診断は同じ。血液検査で少し白血球が正常値と異常値のボーダーラインだと言うだけ。

***

そして

連絡をほとんどしてこない娘から「頭が痛すぎて吐いた」と週末の早朝に電話があった。

我が家から娘の住む街まで高速で1時間半ほど。

A&E(救急外来)へ行くから用意をしておきなさいと告げ、急いで娘のアパートへと向かった。

顔色が悪く、ぐったりしてる娘を見て「なんでこんな長い間放っておいたんだろう」と言う親として申し訳ない気持ちと「検査を3年前にしていたら原因もわかっていただろうに」と言う怒りでいっぱいになった。

とにかくA&Eへ行った。

大学病院のA&Eは、このコロナ禍で患者以外病院内出入り禁止となっていた。

立っているのも辛そうな娘に付き添っていると、看護師から直ちに立ち去るように言われ、後ろ髪を引かれる思いでその場を立ち去った。

救急では診察し終わるまで少なくとも2時間はかかる。

病院内でコーヒーとサンドイッチを買い、車中で待つことにした。

待つこと2時間半。

結果から言うとMRIの検査は行われなった。。。

今までの過去の診断分析と問診、その他の簡単な診察はしたらしいのだが肝心な脳の検査をしてもらえなかった。

救急に来ても、目の前で倒れるとか麻痺が出るなど外的に見て、いかにも危険という状態でないと何もしてもらえないようである。


ただ、今回救急へやって来て良かったのは、担当してくれた医者が脳外科医へすぐに照会するとアクションを取り、1週間後に娘を診てくれるようにしてくれた事だ。

1週間後、脳外科医に診てもらった。  

しかしまたまた驚きの検査なし。。。

理由のひとつが、コロナ禍で病院の予算がひっ迫しておりMRI使用は高額である・・と言われたらしいのだが、本当にそんな事で検査をしてもらえないとなると大問題だ。

しかし、やっとである。2回目の診察の際、やはり原因が分からないのでMRIをすると言われ、遂に検査をしてもらうことが出来た。

頭痛を訴えてから3年・・・。

検査結果は

脳が腫れている・・・だった!

それを聞いたとき、娘の命を思った。

しかし脳自体の異常ではなく、この脳の腫れはSubconscious stress(心理的ストレスと訳すのでしょうか)から来ているだろうと言うことなのだ。

心理的ストレス⁉ それは娘の性格と同時に環境がそのストレスを知らず知らずのうちに作り続け、脳が次第に腫れて頭痛を感じた3年前の時点でピークに至ったのではないか・・・と言うのが脳外科医の見解だそうだ。

3年で腫れあがったものではないと言うことらしい。

娘は何事においても強い、頼もしい性格。だからこそ問題があっても誰にも言わない。そのうえ、親である夫と私のバトル、また父親にまだ昔から思っている自分の気持ちを言えないでいるストレス。。

娘の性格の事より、親として環境が心理的ストレスを作ってしまっていた事が本当にショックであり、娘に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

***

その後娘は週1回、脳外科医の診察とセラピストとのセッションがパックになった治療を受け始めた。

まだ始まったばかりなので何も変化はないようだが、とにかく脳の腫れがひき、毎日続く酷い頭痛と耳鳴りが治り、1日も早く痛みの無い健康な娘に戻ってほしい。


ここまで来るのに3年もかかった。


イギリスでは受け身でいては何も起こらないと言うことを改めて感じた出来事である。






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