東京電力パワーグリッドのグループ会社のタワーライン・ソリューション、下請会社の労災隠しで、自らも労働安全衛生法違反で是正勧告を受けたことを公表

タワーライン・ソリューションが労働安全衛生法29条違反で是正勧告を受ける

東京電力パワーグリッドのグループ会社であるタワーライン・ソリューションが行った工事において一次下請会社で労災が発生し、その下請け会社が労災隠しをした(労働安全衛生法100条違反)で書類送検されたのと同時に、発注者であるタワーライン・ソリューションも労働安全衛生法29条違反で是正勧告を受けたとのことで、同社から公表されました。

この件で、注目されるのは、発注者が労働安全衛生法29条違反で是正勧告を受けたという点です。

労働安全衛生法29条の内容

労働安全衛生法
(元方事業者の講ずべき措置等)
第二十九条 元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行なわなければならない。
2 元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行なわなければならない。
3 前項の指示を受けた関係請負人又はその労働者は、当該指示に従わなければならない。

上記のように労働安全衛生法29条は、下請に対する発注者である元方事業者が下請を指導しないといけないことを定めています。今回はこれに違反するとされたわけです。
しかし、上記の条文の主語は、「元方事業者」になっており「特定」とかついていないことからわかるように、すべての業種に当てはまる条文です。
したがって、下請関係で労働安全衛生関係や労災関係で法令違反があると、この条文に抵触する可能性があるということを改めて喚起した事例といえるでしょう。29条は罰則がついているわけではないのでやや訓示的な条文と受け止められる嫌いがあるため、重要性を改めて認識させてくれる一件といえるでしょう。

本件特有の事情も

もっとも、本件はやはり建設業の現場での事案であり、元方事業者も下請の法令違反を認識しやすい事実関係があったように感じられます。
したがって、この一件からあらゆる下請関係に拡大して考えるのも適当ではないと思われます。

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