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着物知識その2 「八寸名古屋と九寸名古屋」

第2回は八寸名古屋帯と九寸名古屋帯の違いを書いていきたいと思います。

意外と知らない人多く、呉服屋で15年働いていても振袖ばかり担当してたりすると知らない従業員なども多数います。

(これに関しては、前からいる従業員が自分の仕事を取られたくないので若手に詳しく教えないなど、着物業界の闇みたいな部分も関係しますので、決して知らないからと非難はできません)。

ということで八寸名古屋帯と九寸名古屋帯の違いを書いていきます。

まず、九寸や八寸というのは帯の巾(幅)のことになります。

寸という言葉を使うので、長さの単位は尺の前の「寸」になります。

着物は鯨尺を利用するので「一尺=約38cm」。

そして九寸だとその九割の長さなので、約34cm巾

八寸は八割なので約30cm巾になります。

要は巾によって呼び名がまず違うわけですね。

また、九寸は仕立てる前の反物状態の時の巾が34cmですが、これを仕立てると30cmほどになります。

また、九寸は帯しんを入れて仕立てます。

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↑上の写真のように内側に生地の両端を折り込んで帯しんを入れて仕立ててあるのが九寸名古屋帯です。

基本的に仕立てる前はペラペラの生地なので、帯しんを入れて仕立てないと柔らかすぎて帯として使えません。

八寸は別名「単衣帯」と言い、生地自体がすでに九寸にくらべて厚手に作ってありますので、九寸みたいに帯しんを入れずに使えるようになっています。

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↑生地を九寸みたいに折り込まず、両端をかがって仕立ててあるものが八寸です。生地自体は硬めのものが多いです。

仕立ても名古屋帯の形に垂れの両端をかがるのと手先をすこしかがれば使えます。

また単衣帯というので、模様次第では単衣の時期を含めて真夏を除いて年中使うことができます(ただし時期には、帯の模様によって使える時期が変わりますのであくまで基本的にと覚えてください)。

※だいぶ昔は絽の帯などは金持ちしか持ってませんので、単衣帯を夏場にも使っていたという話もありますが、現在は夏帯がありますので明確に使用時期が分かれます。

ちなみに、なぜ九寸と八寸と2種類あるのかは、実際はっきりと理由は分かっていません。

ただ、これに関してはおそらくですが、呉服屋や問屋、メーカーなどが言い分けるときにそう言い分けたのがそのまま分類する際に説明しやすいので広まったというところだと思います。

なお、たまにネット上で「八寸名古屋帯は単衣向き」など書いてある場合もありますが、九寸だろうと八寸だろうと単衣向きか通常向きかは、生地の厚さではなく、その帯の模様次第です。

なので九寸でもその模様がその時期に合えば使用して良いのです。

※ただし、7月8月だけは別。夏用九寸か夏用八寸を使用してください。

余談ですが、着物の生地でも名古屋帯は作れます。

その場合、作り方は九寸名古屋帯と同じ、帯しんを入れて仕立てます。

なので、決して帯は帯の生地を使わないといけないということはありませんので、お気に入りの着物の衿が汚れたけど捨てるに捨てられないとか、形見の着物もらったけど、サイズが合わなくて着られないなどの時は、一度、和裁士に相談してみてください。

あなたの大切な着物を帯にリメイクしてまた一緒に出かけられますよ。

■今回のまとめ

・九寸、八寸の違いは仕立てる前の帯の巾の違いである。

・九寸は帯しんを入れて仕立てる。八寸は帯しんは使わず仕立てる。

・八寸は単衣帯とも言う。

・八寸だからといってすべて単衣の時期ではなく、模様によって使う時期が決まる。

・夏は八寸、九寸どちらも夏用のものがある。

・九寸と八寸の使用において明確な違いは無い。


といったところです。

着物、良い文化ですよね。

着物の基礎知識を裏の話も含めて記事にしています。初歩の初歩から裏話まで。飾り内容無しの本音で書いています。よろしくお願いします。