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着物知識13 「着物の種類 小紋」

今回は「小紋」について書きます。

小紋と一口に言っても、けっこう細かいんです。

そして「小紋」という言葉が付くものはカジュアル!という覚え方をしていると、とても混乱します。

ということで「小紋」についてお話します。

そもそも、小紋というのは「着物の模様が上や下などに向いている総柄のもの」を言います。

まあ、総柄ではない場合もありますが、ようは、生地を見た時点で生地に向きが存在しない模様ということですね。

ちなみに付下げ(つけさげ)などの礼装用のものは、着物に仕立てた時点で、前から見ても後ろから見ても模様が上向きに染めたり、書いてあったりします。

それを「一方付け」といいます。

小紋は、着物に仕立てた時点で、模様が上や下や横などに向いているので、生地に縫う向きがないということです。

ちなみに一方付けの場合は反物に模様を染める時点で、裁断し、縫製した際に一方付けになるように染めなくてはなりません。

とまあ、手間なども違うので、小紋はカジュアル向けになります。

で、問題なのが、色無地小紋とか紬小紋とか、江戸小紋とか、そこらへんになると急に小紋の意味合いが変わります。

それで混乱する人が多いので、その部分について触れていきます。

1 色無地小紋

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↑色無地小紋の一つ。様々なタイプがあり、その地紋の模様によって礼装向けかカジュアル向けかなどもある。

色無地というのは、模様がない単色の着物で、後染め品のものを指します。ちなみに、紬で色無地みたいなものありますが、これを色無地紬なんて呼び方はしません。

色無地小紋とは遠くからみると色無地だけど、生地に地紋が織ってあるものを言います。

※地紋とは織物の生地に織りだした模様で、まあ、浮き出た?ように見える模様のことを指します。

で、小紋と呼ばれてますが、地紋に色があるわけではないのでこちらは色無地扱いになります。

ということで色無地小紋は基本「色無地」と同じです。

※地紋のがらで使い分けとか言っている人もいますが、たとえば祝儀には鶴などの吉祥の地紋など、細かいこと言うキリがないです。なので法事なら暗めの色の地紋なしの色無地を着れば済む話ですし、友人の結婚式とかなら付け下げを着ればいいわけです。まず着物に詳しくなるには、無駄を省いて覚えて、知識に余裕が出てきたら新たに覚えておけばいいのです。なので、ここではとりあえず色無地小紋は色無地と変わらないと考えてください。


2 江戸小紋

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↑典型的な江戸小紋の一つ。遠くから見るとこれも色無地に見える(なおこの模様は鮫小紋といいます)。

とにかく小さい点や模様がびっちり染めてあるものを総称して江戸小紋というくくりで今は言われていることが多いです。

まあ、実際は質素倹約の時代に、派手な模様はご法度だから小さい小さい模様を着物に染めさせて楽しんだのが始まりです。

ただ、この江戸小紋は行儀鮫とか角通しとかがあり、それによって「格」が変わります(これには江戸小紋五役というものが関与してきますが、今回は基礎なので、あまり詳しく書きません)。

※江戸小紋の格がどうとか色々ネットで書かれてますが、色無地と格は変わらないと考えて良いです。ただし、フォーマルに使うには、江戸小紋五役の柄のうち、細かいものが好ましいとなっています。

今回は基礎知識ですから、これらの細かい話は置いといて、この江戸小紋も基本は色無地と変わりません。

厳密に言うと違いなどはありますが、ほとんど変わらない扱いでOKです。

で、どうしても自信がない人はとりあえず江戸小紋を使うことをスルーしましょう。

別にスルーしても色無地を持ってればなんの問題も無いんですよね。

ですから、着物にもっと詳しくなるまでスルーしましょう。

後から覚えてもなんの問題もありません。


3 紬の小紋

もう、紬に関してはとにかくカジュアル使用です。

紬の訪問着であってもせいぜいセミフォーマル、しかもかなりカジュアル寄りの使い方しかできません。

なので、もう簡単に「紬」はなにをしようがカジュアルであると覚えてください。

まあ、説明しやすいように「紬の小紋」ですねなんて言葉を使う人もいますが、それはあくまで「小紋のようにがらが入った紬です」と説明しているだけですので、種類的な話ではないと理解してください。

4 総がらの小紋

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↑総がらの小紋のうち、よく見かけるタイプのがらです。模様の向きに上下が無いように作られてるのが特徴です。

総がらのものはカジュアル使いです。

友人とのお食事会や、映画を見に行く、百貨店でのショッピング、ちょっとした御呼ばれ程度の使い方です。

洋服で言うと、ちょっとおしゃれなワンピースです。

ちょっとおしゃれなワンピースみたいなものだということは、正式なパーティとかには出れないけど、友人と食事を楽しんだり、ミュージカルを観に行く程度には使えるということです。

ちなみに、着物の着付けを始める方は、この小紋から始めたほうがオススメです。

着付けの稽古が終わったらちょっとお出かけしたいなみたいな人にはピッタリです。

また、着付けを教える先生も紬よりもやわらかもの(小紋、色無地、付下げ、訪問着)を好まれる方が多いです。

けっこう使えない~みたいな事を言う人が多いですが、そうでもありません。

要は、ちょっとお出かけには小紋で行けばいいのですから。

5 飛びがらの小紋

※今現在、飛びがらの小紋が手元にないので写真は飛びがらの小紋が入り次第、例としてアップします。

総がらのように全体にがらが入ってるわけではなく、ポツン、ポツンとがらがある小紋のことを言います。

これは総がらの小紋よりは上品で、その模様に金糸や銀糸、とにかく金銀が使われているものなどは卒業式や入学式の参観、良いホテルで行われる食事会などに使っても良いです。

金銀がなくても、あきらかに見て上品だったり、目出度いがらであったりするものは総がらの小紋より少し上の使い方をしても良いです。

ですが、この判断は、まだ基礎の段階では把握が難しいので、そういったちょっとしたお祝い事には色無地か付下げの仰々しくないがらなどで賄えば良いと思います。

6 付下げ小紋

※こちらも今手元に付下げ小紋がありません。物が手に入ったら例として写真をアップします。

ちょっとややこしいですが、小紋のようにがらが入ってるものの、がらの向きがすべて上向き、つまり一方付けになっているものを言います。

これは、小紋としても使えるし、付下げとしても使えますよという着物なのですが、はっきり言って、当時、着物をとにかく売りたい側が考えたパフォーマンス程度です。

結局、使い方としては「上品な飛びがら小紋」と同じ程度の使い方です。

一応、がらが一方付けになっているので本当は礼装でもOKなのですが、ほとんどの方が「小紋」と同程度という認識しか持っていませんので、フォーマルで着ていくと陰口叩かれる可能性があります。

めんどくさいので、普通に付下げと小紋を1着づつ用意したほうがマシです。


とまあ、小紋はこんな感じです。

中には色無地に分類されるものもありますが、模様やがらが一応入っているので「小紋」という言葉が使われるというだけです。

なお、色無地や付下げはフォーマルに使えると書きましたが、これも背中に紋が入っているか入ってないかで、使えるか使えないかが変わります。

フォーマルには紋が必要で、カジュアルには紋は必要ありません。

この紋に関してもそのうち詳しく書きたいと思います。



着物の基礎知識を裏の話も含めて記事にしています。初歩の初歩から裏話まで。飾り内容無しの本音で書いています。よろしくお願いします。