アメリカがロシアとお友達になる日
米国の国務長官にティラーソン氏が正式に就任した。言わずもがな、米国の外交政策が世界に大きな影響を与えることは周知の通りだが、トランプ政権は政治経験のなし、経済界トップが閣僚を務める「実利重視」の政権であることは間違いない。
国益を優先することは国家運営の基本であり、指導者は常にそうあるべきだ。ただ独裁的な手法による国益確保はもはや時代遅れである。「歴史は繰り返す」と識者はよく言うが、それに逃げていてはいけない。悪い歴史を繰り返す必要は無く、繰り返さないために世界各国の首脳は知恵を絞ってきたのだ。
国益を優先する余り、他国へ危害を加えることがあってはならない。そうであるならば周囲国への配慮や、代案を用意するべきである。残念ながらトランプ大統領の姿勢は今のところ「米国第一主義」を過激な方向に解釈しているようだ。
大国ロシアにどう向きあうか
トランプ大統領の言葉通り、「米国第一主義」ならば、長年対立するロシアにも強硬路線を貫くかと思っていた。しかし蓋を開けてみればトランプ政権はロシアと融和路線を築いていこうとしている。
ティラーソン国務長官はエクソンの元CEOでロシア担当の責任者だった経緯がある。プーチン大統領とも親交があるという。トランプ大統領もプーチン大統領との対話を模索しており、米露接近のタイミングは近いと見る。独裁者同士でウマが合うのか、といったところである。
とはいえロシアとの関係については問題が山積している。対話は一筋縄ではいかないだろう。クリミア侵攻を受けての経済制裁を発動している現状をどう打開していくのだろうか。報道では当分、制裁は維持していくようだがプーチンはそれを良くは思わないだろう。
さらにロシアとの関係が深いイランとの関係はもっと深刻である。1月29日にイランは弾道ミサイル実験を実施して、米国はイランに「警告」という形で強く非難している。日本世論はこの事態に関心を示していないが、極めて深刻な事態なのである。恐らく米国は武力行使も視野に入れているだろうし、イランとの関係は決裂することも厭わないと思っている。
そこでロシアとの関係に注目が集まる。プーチンが米国とイランの仲介役に回る可能性もある。そうなればロシアの国際的影響力は急速に高まり、シリア和平の主導権もロシアが完全に握るだろう。それがトランプ政権の政策と合致するかはわからないが。
(大阪発・Mitsuteru.O)