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“定数と変数でセールスを理解する” 売上拡大のための「量」を確保する仕組み

❶優秀なセールスは来ないし、育たない:

優秀なセールスは、金銭的にもステータス的にも好条件でなければ、入社することも定着することもありません。だからこそ、中小企業やベンチャー企業がどれだけ強く望んでいても、優秀な社員が入社してくることは滅多にありません。

かといって、いまいる社員を優秀なセールスに育てようと、セミナーや研修に時間とお金を費やしたとしても、なかなか効果が得られません。なぜならば、セミナーや研修でセールスのスキルやノウハウをいくら学んだとしても、結局は話し方や性格、身にまとう雰囲気などを含めた属人的な素養が前提にあって、これらの素養を身につけることはそう簡単ではないからです。

❷中小企業やベンチャー企業の生きる道:

こう考えてみると、優秀なセールスを採用したいという考えや、いまいる社員を優秀なセールスに育てようという考えそのものを変えていく必要があるのではないでしょうか?いまいる社員を信じて、そのポテンシャルを最大限に引き出すという道こそが、企業が取るべき道だと思います。

それでは、いまいる社員を信じて、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、何が必要となるのかを考えていきましょう。

❸定数と変数でセールスを理解する:

売上を生み出すために必要な要素を「人口×認知率×購入率×購入個数×購入頻度×購入単価」とします。

この要素のなかで、どんなに努力しても変えられない定数は、「人口・購入個数・購入頻度」です。人口を人為的に増やすことは当然できません。また、普通の人間は、1回の食事で定食を5食も食べられませんし、朝昼晩の3回の食事の頻度を倍の6回に増やすことはできません。

一方で、努力で変えることのできる変数は、「認知率・購入率・購入単価」です。自社の商品やサービスを知ってもらえる人の割合、購入してもらえる人の割合、単価は努力次第でコントロールできるわけです。これらをコントロールをするために、自社の商品やサービスのターゲット(WHO)、提供価値(WHAT)、価値を届ける手段(HOW)をマーケティング戦略で考えていくということなのです。

そして、この中「認知率・購入率・購入単価」のうち「購入率」を上げる戦術のひとつが“人的セールス”だと捉えることができます。では、人的セールスで「購入率」を上げるために必要なことはなんでしょうか?

❹セールスにおける量と質:

飛び込みセールスの事例で考えてみたいと思います。飛び込みセールスを実施する過程において、偶然その商品を欲しているお客様に遭遇する確率は、誰でも同じになります。その確率が1%だとすれば、100件飛び込めば1件の成約、500件飛び込めば5件の成約となるわけです。ここで重要になるのは、飛び込み件数、つまり「量」になります。

一方で、「購入率」そのものを高める方法は存在します。それは「セールス能力」、つまり「質」です。これらは、トレーニングによって鍛えられる部分もありますが、ヒアリング力や洞察力、性格など、センスに拠る部分が大きいことは事実です。仮に、このセールス能力の差によって、購入率が1%から2%にあがったとしましょう。そうすると、100件飛び込めば2件の成約、500件飛び込めば10件の成約となるわけです。

❺量と質のどちらにリソースを投入するか?:

こう考えてみると、「セールスの成果= セールスの量 × セールスの質」であると言えます。ここで、セールスの量と質のどちらにリソースをつぎ込むかという経営判断が必要となるわけです。

セールスの質を磨くことはとても大切なことですが、先述したとおりセンスに拠る部分も大きいことは事実です。一方でセールスの量は、仕組みをつくることで実現できます。とは言え、「いくら仕組みと言ったって、嫌な作業から逃げない姿勢やタスクをやりきる勤勉さが必要でしょ?」という声が聞こえてきそうです。それらの姿勢や勤勉さがあるに越したことはありませんが、これらもまた、属人的でセンスに拠る部分が大きいのです。ここで言う仕組みとは、これらすらも超越した仕組みのことなのです。

「量」を確保して、500件飛び込んで5件の成約をあげるほうが、「質」を確保して、100件飛び込んで2件の成約をあげるよりも高い成果をあげることができます。「量」も「質」もあげられればベストではありますが、限られた経営資源で闘う必要がある中小企業やベンチャー企業では、コストをかけずに仕組みをつくることで実現できる「量」の確保を優先すべきなのです。

➏量を確保する仕組みとは?:

結論から申し上げますと、量を確保する仕組みは、分業化にあります。分業化を理解するには、セールスプロセスを整理することから始めなければいけません。業種や業態によっても異なりますが、セールスプロセスは大きく「マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス」に分けることができます。ここでは、マーケティングの詳細については言及しませんが、マーケティング部門が価値を創造し、認知拡大・興味喚起・理解促進したうえで、獲得したリードをインサイドセールスへ引き渡します。インサイドセールスは、そのリードに対して、電話やメールなどで顧客課題を深堀し、アポイントを取得したうえで、フィールドセールスへ引き渡します。そして、フィールドセールスは、商談を通して顧客が抱える本質的な課題を掘り起こし、顧客の課題解決のイメージを鮮明にさせ、自社の商品やサービスを購入・契約してもらいます。最後に、カスタマーサクセスは、適切なアフターサポートで、クロスセルやアップセルを提案しつつ、ロイヤル顧客を増やし、顧客の生涯価値を最大化します。

では、なぜ分業化することで量を確保できるかというと、マルチタスクとシングルタスクの効率性の比較で説明することができます。分業化せずに、ひとりのセールスパーソンが複数の業務を担っている企業が世の中にはたくさんあります。それぞれのセールスプロセスにおける思考プロセスや作業内容は大きく異なります。例えば、マーケティングプロセスの作業を中断して、フィールドセールスの作業を行うとします。その場合、途中になった作業に戻るためには、どこまで作業が進んだかと再度思い出す必要があります。複数の案件を担当して、このようなマルチタスクが積み重なると、前の作業を思い出している時間がロスタイムとなり、結果的に見ると、実はパフォーマンスと生産性は下がるのです。

例えば、インサイドセールスのテレアポひとつとってみても、プロの仕事はとても効率的です。その日に電話するリードのリストはきれいに整理されていて、ウェブサイトや企業情報データベースをチェックして事前知識を 頭に入れる時間、 電話をかけるまでのダイヤルのスピード、履歴を残すタイミング に加えて、会話も一定以上は長引かせないようにアポイントを絞って効率よくこなすなど、マシンのように正確にその作業をこなしているのです。

このインサイドセールスのテレアポと同レベルの仕事量を、マーケティング戦略を考えたり、フィールドセールスで顧客と面談しながらこなせるでしょうか…?

➐仕組みをつくるうえで欠かせない2つのこと:

先ほど「いくら仕組みと言ったって、嫌な作業から逃げない姿勢やタスクをやりきる勤勉さが必要でしょ?」という疑問の声について触れ、ここで言う仕組みとは、これらすらも超越した仕組みのことだと述べました。その仕組みづくりの解答としては、2つのポイントがあります。1つ目は、「社員の特性に合った役割につけること」、2つ目は、「やらざるを得ない環境をつくること」です。

1つ目の社員の特性に合った役割につけるためには、「考えることが好きか」、「コミュニケーション力があるか」という2つの軸で社員の特性を見極めていきます。考えることが好きな人には、マーケティングからインサイドセールスにかけての業務を担ってもらい、コミュニケーション力がある人は、フィールドセールスやカスタマーサクセスにかけての業務を担ってもらうことが大切です。実は、考えることが好きなのにコミュニケーション力があると思い込んでいたり、あるいはその逆だったりすることはよくあることなので、状況を見て配置変更することも忘れないでください。

2つ目のやらざるを得ない環境をつくるためには、チームでの共同作業感覚を持たせてあげることが大切です。カスタマーサクセスは顧客と接する中で、何に困ることが多いのかを研究し、製品開発やマーケティングにフィードバックする。フィールドセールスは、実際に訪問したときの内容や、顧客課題深堀りのポイントがずれていればインサイドセールスにフィードバックする。インサイドセールスは、電話やメールでのコミュニケーションのなかで、顧客の生の声やインサイトを洞察してフィードバックする。こうした双方向の流れが実現したときに、人間に本来備わっている嫌な作業から逃げたい気持ちや怠惰な行動を補正してくれるのです。また、この共同作業感覚は、分業化による弊害である部門間の対立や軋轢を解消する役割も果たしてくれます。

➑仕組みに合わない社員たち:

最後に、どうしても仕組みに合わない社員がでてきてしまうことがあります。とくにベテランのセールスパーソンほど、属人的なセンスや素養を持っていることが多く、それらを武器に自分の知見や顧客を囲み込もうとする傾向にあります。そのような社員であってもリーダーシップを持っている人に対しては、部門を横断する統括マネージャーに抜擢してもよいかもしれません。残念ながら、リーダーシップを発揮できずに、既得権益だけを守る人たちについては、他部署に移動してもらうなどの対応が必要となるでしょう。あるいは、過去の知見を活かせる別の働きやすい環境にはばたかせてあげたほうが相互にとって幸せであるというものです。

❾おわりに:

一言で分業化といっても、そんなに社員数がいるわけじゃないので、うちの会社では現実的じゃないと思われる方もいらっしゃると思います。分業体制は考え方の問題なので、限られた社員数でもその仕組みを自社でカスタマイズして取り入れることはできます。あるいは、必要に応じて、わたしたちのような外部パートナーにコンサルテーションや業務委託を依頼することで、売上拡大の基礎を構築してみる方向も検討してみてはいかがでしょうか?

※参考文献:The Model(マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス)

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