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色の深みにハマる、江戸切子の話。

工芸好きの旅人、はるかです☺

東京を代表するガラス工芸である江戸切子。飲み物を入れると、キラキラと反射して、美しいです。
色味によっても印象が変わる江戸切子ですが、濃い色味になればなるほど、職人の技が問われるそうです。

そこで、本記事では、「色」に注目して江戸切子についてまとめてみました。

https://www.youtube.com/watch?v=bYyqY4ynmEw


日本の代表的な伝統工芸品の一つである江戸切子は、
江戸時代から現在まで途切れることなく継承されてきました。

・赤色、青、金赤、青紫、黒、黄色、透明、緑、瑠璃色(青に近い)

同じ文様でも色が違うと印象が変わりますし、同じ色だとしても製法によって濃淡が異なるなど、奥が深い……
また、カットが難しいことで有名な「黒」は値段が高く、価格は色の違いの影響を大きく反映しています。

江戸切子協同組合催事での展示(色ガラスにカットが施されていく)

濃ければ濃いほど、職人の経験と勘が光る。

江戸切子の名前にもある「切子」は、カットする技術のことを指しています。

あらかじめ書いておいたガイド線に沿い、カットしていくのですが、濃い色を仕上げる場合、ガイドの線は見えづらくなります。
そのため、手の傾きかたや感触などのこれまでの経験を頼りにする必要があります。

「電灯で照らして覗きながらカットしますが、濃い色だと本当に線が見えづらくなる」(職人談)らしい。

だから「黒」はすごい。

江戸切子の製作過程は大きく分けて5段階。

①「割り出し」
カットする前に、気泡や鉄粉がグラスにないかを確認。その後、目安になる線を入れていきます。

「荒摺り」
デザインの大枠を削ります。円盤状ダイヤモンドホイールという回転する道具が使われています。

「中摺り」
より細かいところをカット。

「石掛け」
中摺り面を滑らかに整える作業です。砥石で作られた円盤を回転させます。この工程の良し悪しが、切子の輝きを左右します。

「磨き」
円盤状の木盤(桐)、コルク盤、ゴム盤などさまざまな道具を駆使して、ガラスの表面を磨いていきます。水分を持たせた細かい磨き砂をつけながら少しずつ磨きます。

⑥仕上げ
布製のバフ盤で、仕上げ作業をすれば完成✨

切子の色が生み出される過程。

江戸切子の色は、ガラスがさまざまな金属成分と化学反応を起こす過程でを生み出されています。(着色ではないということを伝えたい。)

主原料のソーダ灰に、発色性のある金属酸化物を混ぜます。(理科の授業で聞いたことあるやつ)

赤色:「銅」「金」
セレニウム青色:「コバルト」「銅」
黒色:「コバルト」「マンガン」「鉄」
緑色:「銅」「クロム」「鉄」
黄色:「鉄」「セリウム」「チタン」「銀」
桃色:「マンガン」「セレニウム」「金」
紫色:「マンガン」「ニッケル」

これらを2000℃ほどで溶解させると色がつくと言います。

こうして色がついたガラスが、切子職人のもとへ届けられます。

ずばり、何色が好き?

「瑠璃色」や「赤色」は、ペアグラスになり、贈答品として選ばれることが多いです。

わたしは、赤を薄めたピンクのような感じの「金赤」が好みです。
柔らかな雰囲気で、心が和むからです♨

他にも、
緑や青紫、青、黒、黄色、白や、琥珀色と瑠璃色、琥珀色と緑色などグラデーションになっているものもあります。

はじまりは透明なガラスから。江戸切子の歴史を追いかける


びーどろ屋が施した細工から江戸切子ははじまった

江戸切子の始まりは、江戸時代(1834(天保5)年)江戸大伝馬町のびーどろ屋・加賀屋久兵衛という人物が深くかかわります。
英国製のカットグラスをまねて、ガラスの表面に細工を施しました。透明なガラスに金剛砂を用いて加飾した江戸切子のはじまりです。
黒船が来航したときの記録に、ペリーへの献上品に加賀屋の切子瓶が含まれていたことが記されています。

国からの支援を受けた明治・花開く大正・昭和初期

政府から招聘されたエマニュエル・ホープトマン氏(英)

政府の殖産興業政策の一環として、製造所の建設や海外からの技術者の招聘など、さまざまな角度から支援を受けました。その際に建てられたのが品川硝子製造所です。カット技術は進歩し、ガラス器の普及が加速していきました。

大正時代、素材や技法の研究がさらに進みます。大正から昭和初期にかけて江戸切子の第一次全盛時代を迎えました。切子の技法は、グラスや器、照明器具のセードなど多様なかたちで普及しています。

現在も、さまざまな商品が開発されています。
昭和60年に東京都の伝統工芸品産業に指定、平成14年には国の伝統的工芸品にも指定されました。これからも、江戸時代の商人が編み出した、美しいガラス工芸品、江戸切子は、人々の間で愛され続けていくでしょう。

今回の記事はこちらを参考にしました。

日本工芸スタッフ。日本の伝統工芸に魅了され、その美しさや技術に感動する日々。旅行が大好きで、新たな文化や素敵なものに触れることが大好きです。このnoteでは、日本の工芸文化や旅先での出会いを通じて感じたことや、見つけた情報をシェアしていきます。一緒に工芸品の魅力に迫りましょう!


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