「我が信条(クレド)」の価値観

昨年8月20日の日経電子版でソニーの吉田社長が次のように語っている。

「会社はどのように社会と関わっていくのか、という存在意義を語っていかなければならない。はっきり言葉にできないと、才能のある人材は集まらない」。

まさにその通りなのだが、恐らくそういった経営者の真摯な意識を現場の 従業員と共有できている企業は決して多くない。

残念ながら従業員のほとんどは「解るけれど、そんな頭でっかちなことを…」と捉えているのだ。総論賛成ではあるのだが。

これでは折角、経営トップが発する社会的使命や理念に賛同し、心を寄せ、希望をもって自社に入社した有望な若者の多くが、理念と現場のギャップに苦しみ3年以内に転職していくケースが減少しないことも頷ける。

最近もある企業の新卒の従業員と話したが、20年も30年も前から言われ続けている状態が、この現代でも解消していないことは残念としか言いようがない。

話を戻すが、ステークホルダー資本主義が大事だと喧伝され始めていることと同様、結局は組織の芯の部分に落ちていないから、このような状態が続いていると考える。

つまり冒頭の吉田社長の一見すると”青臭い議論”に従業員を引き込むことが実は働きがいやエンゲージメント向上には必要なのだ。

その働きがいやエンゲージメント向上に何十年にも渡って綿々と注力し人材育成に力を入れているのが、いま米国で新型コロナワクチン開発の一翼を担うジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)だ。

ゴースキーCEOは、「JNJはこのような厳しい時期と向き合うために存在する」と強力なメッセージを国内外に発信して注目された。

余談だが、私はこの発言の日経記事を読んだとき感動したし、この会社で働く従業員は幸せだと思った。リーダーが臆面もなく青臭い発信を堂々とする姿勢に。

もちろんJNJはタルク訴訟など様々な問題も抱えている。しかし事業を常に前に進める力は称賛に値すると思う。

また話を戻すが、JNJは企業理念である「我が信条(クレド)」を経営の根幹に据え、遥か80年も前からステークホルダー資本主義を標榜してきた。

昨今問題となっている株主至上主義経営の本質と疑問を昔から見通していた訳である。

顧客や従業員に対する責任が実践された結果、最後に株主に報いる、という極めて明快な論理でクレドは構成されている。もう80年も前からそれを打ち出している。

従業員には「我が信条(クレド)」実践の教育体系が綿密に整備されている。業績獲得と同時に社会的意義の確立という使命の具現化に経営者だけでなく従業員も挑戦し続けているである。

このように従業員を巻き込み、徹底してこそ、ステークホルダー資本主義であれエンゲージメント向上であれ、働きがいであれ、企業の社会的責任が果たされることを私は確信している。

引き続き、withコロナ時代の企業理念やクレドの在り方について、これまで多くの企業でそれらを作成し、浸透サポートをしてきた事例や失敗しないための手法などを発信させて頂きたいと思います。

#クレド #我が信条 #日本経済新聞 #COMEMO

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