「withコロナ」の企業理念(④/5)

経営者の「事業への想い」を文字にし企業理念として表し、トップダウン型で浸透させてきた「基礎期」。その後、理念の概念は第2,3期と変化していきながら2010年代後半を迎えます。

この時期に策定された企業理念には、”社会的な価値”を広くステークホルダーに宣言する姿勢が強く出ています。

理念変遷とwith コロナ期の理念_社会的価値

つまり社会の中で自社のあるべき姿をビジョンやミッションとして打ち出しはじめたのです。それは当然のことと受け取る方も多いかと思います。

しかし、これまでの企業理念は「社員」に向けて発信されるものという概念でした。規律、規範、顧客志向、従業員満足…。それらをホームページに掲載し社外にアピールしてはいますが、戦略的に広く認知させ、経営メリットに積極活用することまでは考えてこなかったと言えます。

その意味ではこの時期から本来の使い方である、社会性を意識し「理念を外部ステークホルダーと共有し、彼らを惹きつけるためのツール」にする動きが出はじめたと言えます。

ステークホルダーa

そもそもクレド:我が信条(Our Credo)を1938年に発表したジョンソン・エンド・ジョンソンは、当初から株主はじめ外部ステークホルダーと自社の企業理念や経営哲学を共有することを考えて発信していました。NY証券取引所に上場するタイミングでOur Credoを発表したこともその表れです。

その後は、ポケットサイズのカードにしたり、解説冊子を配布することを社員だけではなく外部にも実施しました。

つまり2010年代後半、我が国の企業理念も「外部に向けた発信ツール」として顧客を含めたステークホルダーを意識したものになっていったのです。

そのためには、従来の「事業への想い」を表すだけでは独り善がりです。社会に対して自分たちはどんな貢献をするのか、を明確に打ち出す。しかも、それは従前からのCSR(企業の社会的責任)に代表される本社主導の社会貢献活動ではなく、事業や業務を通した貢献(CSV,SDGs)の表明でなければならないことに気づいたのです。

さて、自社の「社会的な価値」を企業理念やクレドの冒頭文に掲げて、外部に宣言する。これがコロナ直前までの企業理念の変遷でした。では、コロナ後の企業理念やクレドがどうあるべきかについて次号に解説します。


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