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社会的投資ファンドを立ち上げました!(前編)

岩崎 明彦 / Aki Iwasaki

こんにちは、パブリックマインドの岩崎です。僕はこれからの生き方として「社会投資家」を目指したいと思っていました(詳しくは、下記のリンクをご覧下さい)。1年半ほどかかってしまいましたが、この度、社会的投資ファンドを立ち上げることになりました!ここでは、その背景となる社会的投資の現状やファンド(基金)の具体的な中身についてご紹介したいと思います。

まず前編は、社会的投資の現状と寄付マーケットの現状、そして社会的投資ファンドを作る必要性を感じた点について説明をしたいと思います。

社会的投資とは

最近、「インパクト投資」「ESG投資」などの言葉がメディアを飾らない日はないと思うくらい、世の中では「社会的投資」に関する話題が多いように感じます。それぞれの用語が明確に定義されていないために分かりにくさを感じている方も多いと思いますので、「社会的投資(あるいはサステナブル・ファイナンス)」全般について整理をしたいと思います。

社会的投資の全体像

社会的投資の全体像を下図にて整理しました。社会的投資と言っても様々な種類があることが分かります。

横軸が「投資家(寄付者)のリターン」で縦軸が「上場/非上場」になっています。
まず、図の左側は「社会的リターンのみ」を求めるお金になっています。大きくとらえると「寄付」の世界です。
そして図の右側は「社会的リターン」に加えて「経済的リターン」を追求する投資家のお金になります。大きくとらえると「投資」の世界です。

社会的投資の全体像を整理した図。
横軸が「投資家のリターン」縦軸が「上場/非上場」になっています

「寄付」の世界

まず図の左側にある広義の「寄付」ですが、厳密な意味での狭義の「寄付」と「ベンチャー フィランソロピー」の2つが存在します。狭義の「寄付」は「社会的リターン」のみを目指して、主として非営利団体に対して「助成」される種類のお金になります。いわゆる見返りを一切求めない「無償の愛」と言えると思います。今回、私たちが立ち上げる「Public Mind基金」はここに分類されます。

次に「ベンチャー フィランソロピー」ですが、こちらは同じく「社会的リターン」のみを目指し、個人や企業からの寄付金を裏付けとしつつも、通常のVC(ベンチャーキャピタル)のように営利企業の株式に投資や融資を行います。まだまだ日本では馴染みのない概念かもしれませんが、ソーシャル・インベストメント・パートナーズさんがJVPFという素晴らしい社会的投資ファンドを運営しています(日本財団さんとの共同運営)。

「投資」の世界

一方で、図の右側半分は「投資」の世界になります。つまり「社会的リターン」に加えて「経済的リターン」を追求する投資家のお金になります。

まず、メディアでよく見かける「ESG投資」ですが、これは上場している株式、社債あるいは投資信託を運用するときに環境や社会への取り組みを重視している企業を選択する(あるいは取り組みが悪い会社を選択しない)ことによって「株価」「運用パフォーマンス」の極大化を目指す投資になります。

次に、「インパクト投資」ですが、元々は(ESG投資とは異なり)非上場の株式、未上場の社会的企業に投資を行うことが前提でした。上場している企業の株式に投資をした場合には「株価」という分かりやすい指標があるのに対して、未上場の社会的な企業には指標がなかったために「社会的インパクト」という新たな指標を作り出したというのが、「インパクト投資」という概念の始まりであると推察しています。現在では、上場株式を対象にした場合でも「インパクト投資」という言葉を使うようになってきていることで、少し「ESG投資」との違いが理解しにくくなっています。

Public Mind基金が生まれた背景

さて、「社会的投資」と言っても様々な種類のファンドや基金がある訳ですが、私たちが立ち上げる「Public Mind基金」は企業からの寄付金を集めることを目指して立ち上げるファンド(基金)になります。すでに一定規模の寄付金が集まり、この度、運用を開始することになりました。

法人からの寄付金を集める

私たちが獲得を目指している法人からの寄付金ですが、年間、どのくらいの金額が寄付されているのでしょうか。政府の資料を調べてみたのが、下図のグラフです。

法人からの寄付金額は増加している

上記の右側のグラフは、法人からの寄付金額の推移を表しています。見て頂くと分かる通り、この15年間で右肩上がりで増加しています。年率4.9%で成長しており、2020年時点では8,861億円が寄付されています。

また、個人からの寄付金額も増加傾向で(「ふるさと納税」が全体の50%を超える)2020年に1兆2,000億円を超えていますので、両方を合わせると2兆円を超える「寄付マーケット」があることが分かります。
これは、対GDP比でみた場合に、日本は0.4%に達しないレベルですので、まだまだアメリカ(約1.5%)とは大きな差がありますが、今後も成長するポテンシャルが高いと考えています。

企業の置かれた現状 - SDGsへの取り組み

企業の寄付金は増加傾向にあることをお伝えしました。また、最近では「SDGs」という言葉がバズワードになり、企業としても環境や社会、顧客、社員に対して何らかの対策を行う必要に迫れています。僕の周りでも「SDGs推進室」や「サステナブル部門」などを立ち上げている上場企業がたくさんいます。

しかし、担当者にお話を聞くと、皆さん決まったように「SDGsをやらなければいけないのだけど、何をしたらよいか分からない」とか「寄付をする予算はあるのだけど、どこに寄付して社会貢献プログラムを作ったらよいか分からない」などと、口々に同じことを言います。SDGsや寄付金について、どうしたら良いのか社内のリソースだけでは分からない企業が多いのです。

結果として、一部の知名度が高いメガNGO, メガNPOに企業からの資金が集中しているのが現状です。

「目利き」をする必要性

日本には、社会課題の解決を目指して立派な活動をされているNPO団体さんや、環境負荷の少ない素晴らしい製品を作っている社会起業家たちは沢山います。そうした団体や企業に対して、企業からの寄付金が助成されるに至っていないのが現状で、いつも資金不足に悩んでいます。

そこで、私たちのようなソーシャルセクターの分野にも知見があり、企業側とのネットワークも持つような「中間団体」の存在が必要だと考えました。いわゆる「目利き」をして、社会貢献やSDGsに対して積極的な企業と非営利団体や社会起業家をマッチングする存在が必要なのです。

そこで、私たちが寄付金をお預かりして、社会課題の解決に特化した非営利団体への助成を行う基金「Public Mind基金」を設立することにしました。

ちなみに、現時点では私たちは「NPO法人」ですので、寄付をした方には税務メリットはありません。将来的には「認定NPO法人」として活動できるようにブラッシュアップして、寄付をする際に税額控除ができるようなスキームを目指したいと考えています。

後編に向けて

社会的投資の全体像や寄付、企業の置かれた現状についての説明は、いかがだったでしょうか。後編では、「Public Mind基金」の目指す社会や具体的な基金の中身について説明をしたいと思います!

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