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お店づくりの始まり

前回では“コロナ禍でのショップ移転”と題して、移転の経緯について書きました。

今回は、店舗物件とデザイナー選びについてお話します。

住宅地か商業地か

西荻窪に出店した際、たくさんの方に「なぜ西荻窪で?」と聞かれました。理由は単純で、幸運にもビルの建設前から入居の話しをもらい、素敵な物件だったからです。西荻窪については、数回飲みに来たことがあるぐらいでほとんど知識はなかったほど。

実際に4年弱、西荻窪でお店を開いてわかったことは、「住宅地でもご来店してもらえる」ということです。商店街沿いの2階でしたが、お隣が美味しいパン屋さんということもあり、ご近所の方が「前から気になっていて」と入って来てくれたりと、住宅地ならではの良さも感じることが出来ました。

KITAYON_外観

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西荻窪での日々もマイペースに出来て良かったのですが、次にお店を出すならジュエリーショップの多い銀座や青山界隈にしようと、そのエリアで探すことにしました。

そんな一等地での店舗探しはかなり無謀にも思えましたが、コロナの影響があったのか、たまたまタイミングが良かったのか、好条件物件が見つかりました。これが今の物件との出会いです。

南青山の中でも根津美術館側の閑静なエリア。1階の路面店で、少し奥まったプライベート感がある立地。広さもちょうどよく、窓が多くて自然光がたくさん入る。表参道の駅から徒歩10分以内。

内見を行って即決でした。オーナーさんも素敵な方で、お話を伺うと一番最初は建築事務所だったそうで、ますます惹かれました。

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建築家 関祐介

西荻窪のお店は基本的に自分で内装設計を決めましたが、今回は規模が大きくゼロからの設計になるためプロに頼むことに。新しいお店の内装は、ジュエリーのコンセプトと同じく「お手本から少しずれた」を表現した、ガラスのショーケースが並んでいるようないわゆるジュエリーショップでないものにしたいと考えていました。

そこですぐ思い浮かんだのは、建築家の関祐介さんです。6年ぐらい前に友人を介して知り合い、当時のアトリエに遊びにきてくれたり、展示会で行っていたパリで会ったり、リングを自分用に購入してくれたりしていました。

関さんの設計した物件は、写真でしか見たこともないものが多いですが、当たり前を常に疑い、ただおしゃれ、かっこいいだけでない(もちろんおしゃれでかっこいい物件ばかりです) どこかに語るところがあります。僕の考えていた、”見たことのないジュエリーショップ”をお願いするのにぴったりの建築家だなと。ただ、関さんは売れっ子。ダメ元で連絡すると、まさかの「ええでー」。多忙な中、お願いできることになりました。

早速、関さんが設計した桜新町のOGAWA COFFEE LABORATORYで打ち合わせをすることになり行ってみると、オープンして間もない頃でしたがすでに盛況。美味しい珈琲を飲みつつ、内装のディテールやエントランスのグレーチングの裏側に取り付けられたお店のサインを見て、改めて関さんに頼もうと決めました。

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そして、いよいよ決めたばかりのうちの物件を見てもらうのですが、「床も窓も全部とりあえず壊そうか」とあっさり。

この一言がこれから始まる長い内装工事の始まりでした。

次回に続く。


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