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コロナ報道で感じたこと

この半年日本、いや世界は新型コロナウィルスがもたらす様々な災厄と試練に向き合ってきました。世界中どこにも逃げ道はありません、いや自宅はもちろん、都道府県をまたいだ移動すらままならい状態が続いています。そして現在も第2波、3波に脅えています。

言いようのない不安。自宅で自粛を余儀なくされている我々にとって安心安全な情報を求めてテレビやインターネットに接する時間が多かったと思います。しかしテレビを視る限り首を傾げるような情報や番組が多かったと思う人は少なくないのではないでしょうか。テレビを視るほどに不安を煽られる。そういう思いです。

3月下旬から4月上旬は日本がニューヨークのようになる。医療崩壊で数万人が命を奪われる。テレビは盛んにそうした情報を流しました。私も焦燥感に覆われ、国の無策に怒りを覚えました。

しかし時間が経ち日本は世界からみると感染を現状で抑えるのに成功した国とされています。WHOも評価しています。EUで感染抑制の模範国ドイツの死者は9千人。日本は980人です。ドイツに学べとテレビは喧伝していましたが、ドイツが日本に学べといドイツ発のニュースをネットで見ました。「なんかテレビのコロナ報道って違うんじゃないの?」という素朴な疑問。

自粛期間で在宅率が上昇し、テレビの視聴率は上がったといわれます。恐らくそうだと思います。しかしテレビの信頼度は低下したのではないでしょうか。不安を煽る報道、医療崩壊を誘導するコメンテイターの発言が大量に流されました。

今熊本や長野で線状降水帯による豪雨で土砂災害や河川の氾濫が起きています。これに対しテレビは現場からの中継、気象情報、災害に対する備えなど多角的な報道を行っています。いわゆる防災報道です。日本は地震や水害などの自然現象の災害に毎年向き合ってきました。そのための知見が防災報道に蓄積され、国民はテレビをみることによって安心・安全な情報を入手し、災害から身を護ることができます。

しかし同じ「災害」とも言える感染症に対してテレビは「防疫」のための有益な報道を国民に提供しているでしょうか?一部にはあると思いますが、そうした情報はほとんど国民に届いてません。テレビに係わっている放送従事者が「防疫」という立ち位置で報道に向き合っていないからと私は思います。

かつて台風になると暴風の中でリポートするアナウンサーが「台風中継の名物」とされていました。「映像のために命を危険にさらしている」との批判が寄せられたのでしょう、今そうした中継はほぼなくなりました。防災報道としてテレビニュースは今洗練されつつあると思います。今ネットを見ればコロナに関するテレビニュースに厳しい批判が寄せられています。私は「防疫報道」についてテレビというメディアが何を伝えるべきか、今こそ議論されるべきだと思います。いや議論している時間はありません。緊急事態宣言解除以降、感染者が再び増加傾向にある東京、そして日本。明日から「防疫報道」をコロナ報道のど真ん中の主軸に置いた報道をテレビに望みます。でないとテレビは信頼を更に失うでしょう。

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