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華麗に勝つより上手に負ける〜敗北のすすめ〜

事業においてトラブルは日常茶飯事です。
顧客からの理不尽なクレーム、取引先からの一方的な要求、
仕入れがうまくいかない、届いた商品が違う、見積もりミス、赤字、、、、
朝起きてから夜寝るまでトラブル対応に追われる日も少なくありません。

私を含めて多くの人はどうにかして勝とうとしてしまいます。
・顧客とのコミュニケーションで自分の正しさを主張する。
・自分が悪くない説明をする。
・自分がクレーマーになる
しかし、これらの主張や行動は時間的、金銭的コストに見合わないことが多く、努力した割には得られるものがほとんどないこともあります。

例えば、eBayにおいてはリターンリクエストやフィードバック、ディスピュートなどバイヤーとセラー間でのトラブルが多く発生します。

これらの衝突はセラーがどんな主張をしたとしても、ほとんどの場合バイヤー有利に終わることが多いです。(自分に有利な証拠等が提出できる場合はセラー有利になることもありますが、それでもバイヤー有利の最低が降りる可能性が高いです)

衝突が長引き、eBayの運営が取引に介入した場合は、売上の没収以上の大きなペナルティが課されることもあります。

勝ちに行くことは事業者にとって当然の行動ではありますが、勝ちにこだわることは大失敗につながってしまうことすらあることを忘れてはいけません。

今回の記事ではトラブルの際の手段として「積極的に負ける」ことを考えていこうと思います。

負けることに注目する理由

勝ちに重きを置きすぎ、負けることや失敗を異常に避けている

多くの人は勝つことや利益を上げること、稼ぐことを最初に目指します。

インターネットやSNSの世界では生存バイアスが強力にかかっているため、成功者やビジネスで一山当てた人の発信ばかりが目につきます。

失敗や負けた人の話はビジネスというよりは嘲笑や憎悪、批判の文脈で出てくることが多いように感じます。

以前の記事で紹介したいただき女子に関しても、SNSやニュースではその事件性や悪質性を批判の対象として見られていました。

失敗や負けという概念はビジネスの上で非常に重要な要素でありながら、ビジネス的な目線で見ることが難しい概念になっています。

以前僕が短期的に行ったコンサル企画でも、商品のリサーチ方法や取引の手法に関しての質問は多くありましたが、トラブル対応や損切りの仕方等の負け方に関しての質問はほとんどありませんでした。
この経験からも多くの人が失敗や負け方に関心が少ないことがわかります。

だからこそより一層、負け方に注目すべきと感じています。


負けることを想定するとできることが何倍にも増える

取引や交渉の際に勝つことだけを考えて行動する場合、自分が有利な状況であればうまく行く可能性は高くなります。

しかし、状況が微妙な場合や自分に非がある場合は非常に無理のある行動や大きなリスクを取らざるを得ないことが多いです。

このような場合、成功率は低く、失敗した場合の損失が大きい勝負をせざるを得ず、長期的には生存が難しくなってしまいます。

逆に負けることを最初から想定すれば、よりリスクを下げた行動が可能になることが多く、負けたとしても損失も少なく済ませることができます。


勝つために負ける

物事の結果は計画時など行動前にすでに決まっていることが多いです。

初めて挑戦する取り組みや経験の浅い事業などは特に失敗率が高いです。

その場合は、無理に勝ちに行くのではなく早めに負けを認めて撤収する方が無難です。

その場での勝ちを目指すより、さっさと負けを認めて反省し、もう一度やり直す方が成功率はぐんと上がります。


負け方を知ることは生存に直結する

これから事業に挑戦する人は戦略や業種、広告など、どうしても最初に勝ち方や攻め方を学ぼうとすることが多いです。

しかしながらこのような攻めの姿勢は安定した土台となる自分の状況(資金、経験、知識、人脈等)があって初めて成り立つものです。

どれだけいい戦略や販売手法を持っていても一度のトラブルで致命傷になるような不安定な状態では決して長期的な成功はあり得ません。

柔道やプロレスなど、身体的に大きなリスクを伴う競技においては、
まず最初に受け身の練習を徹底的に行います。
受け身を取らない状態で技を受けると、体への負担が大きくかかり、大怪我をすることもあります。

負け方を身につけない限りはそもそも競技に参加することも難しいのです。
これは事業においても同じことです。

事業では大成功よりも致命傷を避けることが何よりも大切です。

99回勝ったけど1度の負けで大怪我してしまえばなんの意味もないです。個人的には100回負けたけど致命傷0の方が価値があると考えています。


上手に負けるとは

負けることの価値はある程度伝えられたと思います。
しかしながら、ただ単に負けを認めてしまえばいいかと言われるとそうではありません。
負ける時にも上手に負けることを意識して練習する必要があります。

上手に負ける条件には以下があります
・損失を減らす
・相手との衝突において譲る部分があったとしても、ある程度自分の取り分が残る、もしくは自分にとって価値が高いものを残す
・衝突を早期に決着する
・利益をなるべく減らさない
・致命傷にならない

自分のリソースを最大限確保し、次に勝つための準備体制を作ることが上手に負ける目的になります。

上手に負けるコツ

早めに見切る

先に記述したように、物事の結果は計画時や行動前にすでに決まっていることがほとんどです。

実際に自分が気づくのはそれより少し後になると思いますが、うまくいかなそうであれば判断を早めにすればするほど、損失が少なく済みます。

早く速く動く

早めに撤収の判断ができた場合はその時点から最短で動くことが大切です。

相手が問題に気づく前に対応をすることができれば、その後に問題が大きくなることは少ないです。

自分が購入した商品に不備があった場合、発送前に連絡がくる場合と、到着後に自分で気づく場合では前者の方が怒りの気持ちは少なくなるのはイメージできると思います。


決着までの全てを先に想定する

負けの判断を下した場合は、最初にゴールまでの道筋を全て想定することが大切です。

トラブルの解決には決まった答えがない場合が多く、その場での交渉や対応によって結果が大きく変化します。

最初に落とし所を想定しておくことによって相手への提案や交渉をスムーズに進めることができるようになります。

これができるかできないかで、同じ失敗でも損失の大きさが変わります。


主導権を握る

交渉ごとや取引においては必ず主導権が存在します。

主導権を持つことで交渉を有利に進めたり、損失を小さくすることができます。

また、主導権は交渉の勝ち負けではなくその時点での相手との力関係やタイミング、材料によって動きます。

そのため、損失になったけど主導権を持つこともあるし、逆に利益は出たけど主導権がないということも発生します。

負け方が上手な人は主導権の握り方が上手なため、結果的に勝つ場合でも利益を伸ばすことができます。


上手に負けられれば成果や利益を最大化できる

上手に負けることは損失やリソースを抑えることができるようになるだけではなく、
そのリソースを次の勝負に集中できるようになったり、そこから得た経験でより大きな成功を手にすることができるようになります。

繰り返しになりますが、上手に負けることで事業や人生における生存率は大きく上がります。
勝ち方や戦略を知ることももちろん大事ですが、少し足を止めて上手に負けることに関して考えてみることも如何でしょうか?

ここまで読んでいただきありがとうございます!
今週も生き残っていきましょう!

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