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わせりん氏の白鳥プロ打牌批判の記事に対していくつか疑問符があったので私見を書いてみた(無料)

 先日、「わせりん」さんという人のブログにて、麻雀プロに対しての打牌批判が書かれていました。

 ふむふむそうだなと思った部分も結構あったものの、その中で

 「字牌の残し方」

 について少し疑問符があったものが。

 というわけで今回はそんな疑問符について記事にします。記事を書いたわせりんさんへの批判ではなく、麻雀戦術に対して世間に正しい認識を持ってもらうということを目的に書きたいと思います。

 その前に宣伝だけしときます。過去に下の記事を今まで書いたので、良ければよろしくお願いします。

 「Mリーグについて思うこと」

https://note.mu/jangorok/n/na382d301dde9

「素晴らしい麻雀プロ、どうしようもない麻雀プロ」
https://note.mu/jangorok/n/n9f195af179fe

「麻雀プロの解説・実況を聞いていて不満に思うこと~結果論に左右された実況・解説~」
https://note.mu/jangorok/n/n66cf3e9e285e

「だから僕は麻雀プロを辞めた」
https://note.mu/jangorok/n/n215d8e87cfc4

「マンション麻雀、高レートフリー、無許可雀荘、インカジ、裏カジノなど今もあるアングラな場所について」
https://note.mu/jangorok/n/n8724ab739d9a

「麻雀負け過ぎて給料が無くなって飛んだメンバーが「これは給料未払いですから給料を全額支払ってくれないと訴えます」と言ってきた件」
https://note.mu/jangorok/n/n1406cbbacbf5

「雀ゴロ上京物語」
https://note.mu/jangorok/n/n0d6e74608060

9s切り?役牌切り?

 わせりんさんの記事内であったのが、

 ここから9sではなく、白か発を切るべきというもの。理由は以下に抜粋。

字牌の切り出しの大原則は
①タンヤオやピンフ等の字牌が重なることで消滅する役がみえるときは字牌から切る。
②リーチが狙える安い手(リーチ+1〜2飜)は役牌が重なって鳴くというメリットが機能しないので字牌から切る。
③字牌から切る場合は他家が重ねる前に切りたいため、他家により有効な牌から切っていく(ダブ東等)
これだけ覚えておけば大体対応できます。
さて白鳥さんの牌姿を見てみましょう。

①、②の状況と言っていいでしょう。
リーチが狙えそうですし、タンヤオもピンフも現実的です。
この場合は③のルールに基づいて他家に有効な牌、つまり役牌から切り出していくべきです。 

 ~わせりんさんのnoteから~

 これが自分的にかなり疑問符なんですよね。 

タンヤオがつく?

 まず第一に①の

 ①タンヤオやピンフ等の字牌が重なることで消滅する役がみえるときは字牌から切る。

 に関してですが、9s残してもタンヤオには関係ないですよね?

 あとピンフに関してですが、カン④pというカンチャンがあり、くっつきもまだ不安定なので、上の手牌からピンフという役は確定でもありません。

 自分もヘッドレスの手牌で平和が見える場合、役牌から切って端牌を残すのはよくやりますが、今回の手牌の場合そのメリットが薄いのでかなり微妙なラインにはなるかと思います。

鳴くというメリットが機能しない?

②リーチが狙える安い手(リーチ+1〜2飜)は役牌が重なって鳴くというメリットが機能しないので字牌から切る。

 これに関してはかなり破綻したロジックだと思いますね。「役牌が重なって鳴くというメリットが機能しないので」とありますが、例えばこの手が役牌が重なって数手進んで

 こんな手牌になったとしましょう。

 これリーチが狙えるからって役牌スルーしますか?

 圧倒的に役牌ポンテンが優位ですよね。カン④pだって鳴くことができます。

 つまり、上の白鳥プロくらいの手牌なら、役牌を重ねることで鳴くというメリットは機能しているわけです。

先切りについては?

③字牌から切る場合は他家が重ねる前に切りたいため、他家により有効な牌から切っていく(ダブ東等)

 ということに関しては理論上アリだとは思います。ただ、一巡で相手に役牌を重ねられて、尚且つ相手がその役牌を鳴ける手牌である確率は結構低いので(手牌ぐちゃぐちゃならスルーすることもある)、これに関してはかなり微差のプラスの範囲になるかとは思います。

9s切りのメリットは?

さて、もう一度画像を見直しますが、

今度は逆に9sから切るメリットも考えてみましょう。

まず、一番大きいのが役牌を重ねることによる攻撃的なメリットですよね。主に

➀仕掛けが効くようになる

②暗刻にすると1翻アップする(9sは暗刻にしても1翻アップしない)

 ということだと思います。

 そしてもう一つのメリットが守備力の問題もあります。9sをトイツにした場合と白発をトイツにした場合を比較して、リーチが来たときにどちらが受けやすいでしょうか?

 これはもちろん字牌を重ねたケースですよね。字牌のトイツ落としの方が9sトイツ落としよりも安全です。

 なので、白鳥プロのこの9s切りの意図は上のメリットを追ってのものだと言えると思います(他にもいくつかあるとは思いますが)

結論は?

 じゃあどっちが正しいの?と思うかもしれませんが、正直かなり微妙なラインだとは思います。個人的には9s切りが優位のように見えますが、研究結果が今後正確に出せるようになった場合、9s残し優位になってもまあそこまではおかしくないなあ、くらいのニュアンスの問題です。

 正直な話、

 「役牌を切るか、端牌を切るか」

 というのは現代戦術研究的にはまだまだブラックボックスな一面があって、自分も過去に戦術本を出したときにnisiさんにシミュレーションを色々頼んだりしましたが、かなりケースバイケースになってしまったり、差があっても微差でしかなかったりで、難しい問題だと捉えています。

 ちなみに自分は白鳥プロの手牌からなら9s切りを選択します。やはり重なった際に後々仕掛けも視野に入れられることや(カン④pというネックがあるのも大きい)、字牌を重ねた守備力を重視したいという考えです。

 あと、わせりんさんの記事の中で

 「ここから白は残して他の役牌を切るべき」

 というのも、自分は選択が違ってて白をツモ切りますね。西発を重ねた際の攻撃的なメリットが大きいと見ています。これに関しても微妙なラインではあるかと思いますが。

最後に

 これは以前に他の人のMリーグ批判記事を見ていても思ったことなんですが、

 「字牌を残すメリットって結構難しいラインなのに、みんな自信満々に字牌切りを推奨し過ぎてない?」

 ということです。

 自分は字牌をほとんど残さないタイプの打ち手ですが、それでも打っていて、

 「これは字牌残した方がよかったな」 

 と思うこともあります。

 字牌残しの手順には守備的なメリットもかなりあるので、それを踏まえると凄く難しい問題なんですが、こうした部分を批判する人ってかなり自信ありげに字牌切りを推奨していて、

「その自信どっから来てんの?」

 と思うこともしばしば。

 こういう人って正確な批判もあれば、牌理というよりも自分の打牌の好みでの批判になっていることも多いと思うんですよ。

 最近Mリーグに対しての批判って結構見られて、間違っているものや「それかなり微差じゃね?現時点で結論出なくね?」ってものも多く見られます。

 この辺りは問題のチョイスのセンスが問われるなあと感じますね。

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