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華麗なる転職:世界ランク格闘ゲーマーがホンモノの格闘家になった話

ゲーマー→格闘家へ。今回は実際のインタビューに基づき「学生時代に半分引きこもり状態で、格闘ゲームにハマり、世界ランカーにまでのし上がった青年が、ゲームではなくホンモノの総合格闘家に転身した青年」のお話。

-- その話を聞いたときは、そんな人いるの!?と、マンガみたいなストーリーすぎて半信半疑でした(失礼)。ゲーマーといえば外出せずポテチとかコーラ片手に何時間も画面の前に座っているイメージ(*個人の意見です)で、格闘家は肉体を極限までいじめぬき、心身ともに鍛え上げなくてはならないイメージ。さらに私個人的にもちょうど12月に初めてPANCRASEを観に行ったばかりで、選手たちの死闘そして鍛え上げられた肉体っぷりを間近で体感したこともあり、ゲーマーから格闘家という転身がどうにもイメージが湧きませんでした。

聞くとその方は鮎田直人選手といい、墨田区にある総合格闘技ジムCAVE所属の、れっきとしたMMA(総合格闘技)の選手でした。もちろん試合もバリバリ出てます。以下は昨年12月の鮎田選手のDEEP 93 IMPACTの試合で、無敗の新星とされていた伊藤裕樹選手に勝利した時の様子。

マンガなんかやない、本気の、ホンモノの格闘家や…

その試合を見てみると、鮎田選手はリアルな生身の人間相手(当たり前です...笑)に己の頭脳と全身の持てる能力全てをかけてリングに立っているように見えました。ジリジリと相手を弱らせて巧みに追い込むその執拗とも取れる粘り強さと、頭の中の分析データから計算して瞬時に次の手を弾き出す頭脳的な戦略が功を奏した試合だったのではないでしょうか。(格闘技初心者のくせに偉そうにこんなこと言うのもアレなんですがご容赦くださいませね…。て言うか、存在疑ってすんませんっした!)

ここで一気に興味が湧いた私ヤンは、「ゲーマーから格闘家」への「ジョブチェンジ」と言うことで、このnoteのテーマにも当てはまるし、これは会ってお話を聞いてみたい!と、完全に個人的な好奇心全開で知人のツテを頼ってお話を伺う約束を取り付けることに成功しました!(Hさんマジ感謝!)

ウソ…だろ?この人が元ゴリゴリの世界ランクゲーマー?

今回お伺いしたのは、ご自身が所属する総合格闘技ジムCAVEさん。お会いさせていただいた鮎田選手は少しはにかみながらも真摯に、かつ超初心者のヤンにも易しく分かるように受け答えしてくださり、お忙しいジムのレッスン指導の合間を縫っていただき、本当になんて紳士的なの!と感動すら覚えました。
(余談:この後CAVEの体験レッスンも受けまして、細やかで優しくもわかりやすく的確な指導でこの日二度目の感動を味わいました。興味ある方、体験レッスンはこちら。別にアフィリエイトではありませんww)

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キリリとした身体と誠実そうな面持ちは、前述したようないわゆる一般的なイメージのゲーマーとか、引きこもり、とかそういった類の言葉とは一見無縁そうな好青年。っていうか、そもそも「なんでゲーマーで世界クラスに??」んで、もっと気になるのが「なんでゲーマーが格闘家に??」と疑問だらけでしたので早速色々伺ってみました。

学生時代はほぼ引きこもってゲーム三昧、両親にめっちゃ心配される日々。

鮎田選手はもともと野球少年だったそうです。と言っても本人曰く「趣味の奴らが集まって適当に試合やってたような感覚」だったそうで、小学校から高校まで長くやっていたものの、ハマったわけではなかったようです。

一方、ご両親が格闘技の熱心なファンだったという影響もあって、幼少期から格闘技は相当好きだったそう。当然その頃から格闘家への憧れのようなものもお持ちだったのではと推測します。そんな鮎田選手、2010年にエレクトロニック・アーツがリリースした「EA SPORTS 総合格闘技」というゲームにどハマり。吉田秀彦選手など国内外のトップファイター約60名がなんと実名で登場するという格闘技ファンなら胸アツの内容で、鮎田選手がハマるのも納得です。ただハマりすぎて数ヶ月もすると国内敵なし状態。そしてあれよあれよとあっという間に世界ランク13位(国内1位)にまで昇り詰めます。(鮎田選手の記憶によると強さランキングが5万位より下まで表示があったとのことで、当時、少なくとも世界に5万人以上はプレイヤーがいたのではとのこと。)

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けれども、ハマっていくほどに、ご両親からの視線が気になるようにもなったと言います。家に帰ると即座にゲームの前に陣取りほぼ引きこもり状態で長時間プレイする我が息子を見て、不安にならない親などいないのではないでしょうか。鮎田青年も「このままでいいのかオレよ、、、いや、、、よくない、、、あと一回だけプレイしたらやめよう、、、いや、あともう二回、、、いやいや、、、」なんて葛藤があったかどうかは知りませんが、やはり親に心配をかけてしまっている現状、ほぼ引きこもってゲームに明け暮れる日々、それらを振り返って「ちょっと外にでないと流石にヤバイかな…」と自身も不安を覚え、新しい一歩を踏み出すことになります。

格闘技とゲーム、どちらも研究を制したものが
試合を制する

ジム通いでもして体を動かそうと外へ出た鮎田青年でしたが、もともと格闘技の大ファンということもあり、総合格闘技ジムへ入会するや即座に激ハマり。部屋にこもって長時間ゲームをプレイする生活から一転、自らを鍛え上げ、トレーニングする日々に完全シフトしたそうです。18歳で総合格闘技を初め、数々のアマチュア大会で経験を積み、今では総合格闘技の大会であるDEEPを主戦場として、自身のトレーニングに加え、夕方5時から夜11時までジムでの指導もされているとのこと。

そんなホンモノの格闘家となった鮎田選手ですが、ゲームと格闘技には共通するところもあるといいます。どちらにおいても、どれだけ徹底的に研究し、反復練習を積み重ねたか、ということが勝敗を大きく左右するポイントなのだとか。「感覚だけで勝てる天才はほんの一握り。とにかく徹底的に研究して、その分析結果からの動きを何度も繰り返すこと。」そして、ゲームと格闘技の面白いところを伺ってみたところ、「研究を重ねて、こう来たら、こう来る、という読みが的中した時はやっぱ気分がいいですね。」と、嬉しそうに答えてくれました。先ほどの動画にある2019年12月に行われた伊藤裕樹選手との一戦も事前にめちゃくちゃ研究して、試合中もずっと頭フル回転だったそうです。それを踏まえてもう一度動画を見てみるとまた違った見え方をすると思います。

これからの時代の働き方には「ハマる力」が必要だ

格闘技が好きなことは十分伝わってきたので「格闘技以外でハマってること、趣味とかってあります?」と聞いてみたところ、「サプリですね。」との答えが。筋肉やフィジカルに興味が湧き、半ば健康オタクのように買いあさっているのだそうで、中でもプレワークアウト(トレーニング前に飲んで気分を高揚させる)系やプロテインで味が美味しいものを探すのがお好きらしいです。様々な種類を調べて取り寄せては自身の体で試して効果を測るのが楽しいといいます。(知らなかったんですが、ほんと今のサプリ市場って種類が半端ないです!!)

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しかし「ご趣味は?」と聞いて「サプリ」と言われるとは…。ただ、ここで一つ気づいたことがあります。ゲームも格闘技もサプリも鮎田選手自身が熱中して楽しんで「ハマっている」ということ。だからこそ過酷なトレーニングでも己に打ち勝つことができるのではないでしょうか。鮎田選手のアドバンテージの一つは「ハマる力」なのだと思います。

働き方改革と言われて久しい昨今ですが、「好きなことで食べていく」ことがいかに難しいか、激務のサラリーマンをやりながら一時は音楽デビューを目指したこともある私ヤンも少しは知っているつもりです。好きなことを職業にする場合、他の人よりハマっていないと頭一つ抜きんでることは難しいと思います。親から心配されるくらい一つのゲームを長時間プレイしたから、世界ランク上位に入るほどの腕前になったのでしょうし、今も格闘技が好きで好きで仕方なくて過酷なトレーニングを積み、対戦相手の研究と地道な反復練習を死ぬほどやっているからこそ格闘家としてのいばらの道もワクワクしながら歩めるのでしょう。そして自分だけではなく周りの人や環境にも恵まれていないと「ハマり」を阻害されてしまうことだってあるはずです。いかに「ハマり」をいい形で持続できるかが成功の鍵かもしれません。

鮎田選手の次の夢は今年のDEEPでチャンピオンになり、RIZINの試合に出ること。「僕は地道にしかやれないんで…」と照れ臭そうに語る鮎田選手ですが、いやいや日本人は結構そういうの弱いんですよねー。派手なパフォーマンスももちろん見応えはありますが、地道に頑張って最後に勝つ!というのも応援したくなっちゃうんですよね。ましてやゲーマー上がりのチャンピオンなんか夢があると思いませんか、全国のゲーマー諸君!?
次回の試合は春頃を予定しているという鮎田選手。
その「ハマり力」を活かした今後の活躍が楽しみです!
皆さんも気になったらCheckしてみてくださいね!

ありがとうございました!

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鮎田直人(CAVE所属)
生年月日:1991年9月16日
身長・体重:169cm
出身地:東京都
今やっているゲーム:Last day on earth
ハマっていること:サプリ研究

取材協力:総合格闘技ジムCAVE



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