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ピンチをチャンスに!コロナ禍をきっかけに広がるサービスの可能性-東急さんインタビュー(前編)

JANE事務局です。いよいよ関東も梅雨明けし、本格的な夏の到来と夏ならではのイベントを楽しんでいる中の人です。

前回に引き続き「新しい観光」をテーマとして、JANE事務局が会員企業にインタビューを行ってきました。今回は、渋谷に本社を置く、あの東急株式会社さんです!

【関連リンク】企業家インタビューを通して未来の社会像や夢を発信するブログメディア「Finds JANE」

202106野本幹事(Finds-JANE動画サムネイル用)

聞き手:JANE事務局

答え手:東急株式会社 山崎さん(写真右)、安住さん(写真左)

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それでは、早速聞いていきましょう!

1.コロナ禍による会社の変化は?

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ライフスタイルの変化でサービス提供の場面が変わっていく

安住さん:コロナ禍によって、将来起こり得ることとして予想していた事態が10年、20年早く来てしまったというような環境の変化がありました。東急のビジネスモデルは、郊外に居住し、都心に通勤・通学する都市生活者のライフスタイルにその基礎を置いています。それが、コロナによって、オンラインの環境が整い、必ずしも毎朝電車に乗って郊外から都心へ通勤する必要がなくなりました。そうしたライフスタイルの変化というのが、大きな影響を与えています。

そうはいっても、私たちの提供しているサービスや生活インフラというのは不必要になってしまったのではなく、その場面が変わっていくということなのかなと思っています。例えば、ある人がスポーツクラブに通う習慣があったとします。渋谷に通勤して帰宅途中の二子玉川で汗を流すというライフスタイルは、時間差通勤や在宅勤務になればその時間や場所が変わってきますよね。これまでのサービス提供の在り方を見直していかないといけません。

山崎さん:緊急事態宣言による行動制限の中、新しい生活様式ということで色々と試行錯誤してきましたよね。家で仕事をしていると、意外と効率がいいこともあれば、悪いこともある。また、直接人と会うことの大切さも改めて再認識させられました。リアルの大切さ、ということへの気づきは多くの人が感じているのではないでしょうか。ここにこれからのサービスの可能性があると思っています。

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ピンチをチャンスに、新たな可能性を探るきっかけ

山崎さん:コロナ禍は私たちにとってもピンチではあったのですが、これまでのやり方から幅を広げて色々な可能性を探るという意味では良い部分もありました。例えば、移動制限に伴って、ホテルにはお客様が来られなくなり、出張、地域の集まり、宴会もなくなりました。婚礼は小規模になり、その他必要性に乏しい集まりは減っていきました。そのことが、空室となったホテルの客室や宴会場は他にどのような活用の可能性があるか、ということを考えるきっかけになりました。

例えば、自宅での在宅勤務が難しい方がホテルの客室で仕事をしたいというニーズにお応えする、ワーケーションで行きたかったリゾート地に滞在しながら仕事もできるようにするなど、今までになかった楽しみ方を提案することができます。テレビドラマや映画の撮影場所で、空いているからこそロケがやりやすいということもありました。通勤機会を減らしたり、郊外移住による複数拠点化やホテルに長期間滞在するというニーズも出てきました。これらは一例ですが、コロナをきっかけとして私たちのサービスの幅をもっと広げられる、そんな可能性が垣間見えたという面はありました。

当社がコロナ前から手掛けているシェアオフィス事業の「NewWork」があるのですが、ホテルの客室で仕事ができるよう、シェアオフィスを東急ホテルズの客室でもできるような試みをしたところ、最近では認知度も広がってきて、利用者数が増えています。「NewWork」では、東急ホテルズ以外のチェーンホテルとも組んで、同様の取り組みを拡げています。


アフターコロナのビジネスイベントもリアルな体験価値が重要

安住さん:私はMICE(多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称)を担当しているのですが、いわゆるインバウンド需要がオリンピックへの期待もあり右肩上がりだったのが、コロナで一旦ゼロに戻ってしまいました。今後、コロナを踏まえて、インバウンドや海外需要をどう捉えていくのか考えています。おそらく、聴講するだけの講演や、セミナーだけのビジネス需要は今後復活しないとみています。テレビ会議やオンラインでのビジネスが普及したアフターコロナでも需要があるのは、現地に訪れる価値があるものになります。現地での人々との交流、没入感、体験がリアルに存在することに価値があります。そこに照準を合わせて、新しい時代のMICEイベント誘致に街ぐるみで取り組もうとしているところです。

例えば、渋谷ではカナダのモントリオール発の音楽イベントである「MUTEK.jp」をコロナ前から誘致して開催していました。このイベントは配信もする一方で、リアルに現場にいないと体験できない音楽の没入感をうまくとらえています。オンラインが普及したコロナ後は、直に対面してセッションする価値は相対的に上がっていくとみています。スタートアップミーティングのようなものは引き続き残っていくでしょう。渋谷ソーシャルイノベーションウィーク(SIW)も米国テキサス州のサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)のようなものに育てていこうとエリア全体が盛り上がっています。


MICEは消費単価が高く、参加者は家族やパートナーを連れてきて、イベント開催前後2~3週間休暇をとって旅行を楽しみにきますから、開催都市以外にも、全国各地への波及効果があります。世界各地のMICE先進エリアに伍して、ITや音楽などのビジネスイベントを中心に誘致をして渋谷を発信していきたいと考えています。

山崎さん:MICEはこれまで大きい箱(施設)がないとできませんでした。その意味で、渋谷はMICE開催地としての知名度はあまりなかったのですが、それが、コロナ禍でたとえ大きな会場がなくても中規模の会場を繋ぎ合わせて、うまくできるのではないか、という可能性が見えてきました。

安住さん:観光産業を担うプレーヤーが変わってきたな、という感じがあります。様々な場面で連携が活発に行われるようになってきました。連携に次ぐ連携が新たな価値を生み出していく、そうした動きがコロナで加速されてきたんだと思います。

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(後編は次回記事に掲載します!)



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