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日本未公開映画『Lies of the twins』(1991)感想と考察

 母が大好きなエイダン・クイン主演映画の1つ。
 普段、私は字幕をつけながら鑑賞していくパターンが多いのですが、今回は先に鑑賞してみました😇

 まだ聞き取りが苦手なので、英語の文字起こしアプリが大活躍♪

 母には、日本語字幕を入れてから楽しんでもらうつもりです✨

『Lies of the twins』(1991,TV映画)

『十戒を破れ!』、『ブリンク』に続き、またまた超マイナー映画ですね😂
 とはいえ、本作は『ブリンク』と同じで、日本にもVHSで入ってきたことはあるので、コアな映画ファンなら知ってる方もいるかも…。

 先に感想をひと言で言うなら、かなり面白かったです💜 恋愛について、深く考えさせられる作品でもあります。

 エイダン・クインの一人二役も非常に上手く、対照的な性格を見事に演じているのは舌を巻きました👏

 彼が二役した映画は、他に『アサインメント』(こちらは日本でもDVDが入手可)がありますが、私としては『双子の嘘』の方が遥かに素晴らしいと感じました✨

 ちなみに、ヒロインを演じているイザベラ・ロッセリーニは、有名なイタリアの映画監督ロベルト・ロッセリーニの娘さんだそうです。

あらすじ

 レイチェル(イザベラ・ロッセリーニ)は優しく理性的な精神科医ジョナサン(エイダン・クイン)と恋に落ち、同棲を始める。しかし、ジョナサンは精神科医として引っ張り凧で、夜間も呼び出されたりするほど多忙。

 ある時、レイチェルは多忙なはずのジョナサンが他の女とデートをしているのを見つけ、平手打ちを食わす。しかし、それはジョナサンの双子の兄ジェームズ(エイダン・クインの一人二役)だった。
 レイチェルは自分の早とちりを悔い、深く謝罪した。

 だが、ジェームズはレイチェルに一目惚れしてしまい、執拗に彼女に接近してくる。
 ジェームズは顔はジョナサンに瓜二つだが、性格は感情的で激しく、まったく似てなかった。

 はじめはジェームズを拒んでいたレイチェルだが、しまいには暇つぶしに彼との関係も始めてしまう。

 ジェームズは歓喜して、レイチェルにありったけの愛を注ぐ。しかし、彼から真剣交際を求められたレイチェルは狼狽。
 自分が遊ばれただけと知ったジェームズは逆上してしまう。

 一方でレイチェルの態度がおかしいことに気づいたジョナサンは彼女の浮気を疑い始めた…。

全体的な感想(結末には触れず)

レイチェルとジョナサン

 特に意外な展開もなく、三角関係のもつれを描いただけの映画ですが、【恋愛・結婚への軽々しい考え】を強く戒めるメッセージが込められていて、考えさせられます。

 レイチェルは「楽しければいい」と軽く考えて、二股をかけた結果、双子の両方を深く傷つけます。

レイチェル:生まれてこのかた、私は誰かを強く求めたことはないわ。

 これはレイチェルが女友達に話すセリフ。そして、彼女の軽々しい考え方が悲劇を招きます。

「同時交際して何が悪い!」と開き直ってる連中には、一度この映画をじっくり観ていただきたいものです❗️

 恋愛や結婚のトラブルは、時に誰かの命をも奪う。←多くの人には、この言葉を肝に銘じてほしいですね。

エイダン・クインの一人二役がとてもよかった

理性的で穏やかなジョナサン
感情的で気性の激しいジェームズ

 ジョナサンとジェームズは双子で、どちらも仕事は精神科医ですが、性格はまったく異なります。

  • ジョナサン・・・理性的。勤勉な働き者で、感情をあまり表に出さない。

  • ジェームズ・・・感情的。気性が激しく、人一倍感受性も強い。

 年齢的には、ジェームズのほうが兄です。

ジェームズ:僕が先に生まれたもん。きっかり11分、僕が年上だよ。

 本作でのエイダン・クインは、性格の違う双子の愛情をよく描き出しています🩷 おかげで、どちらの双子も魅力があり、愛すべきキャラクターに仕上がっていました✨

ジェームズにとって大切なのは愛と絆💘
 最初は軽々しいプレイボーイですが、本当はとてもピュア。レイチェルへの求愛は略奪ではありますが、気持ちは本物です。
 自分が遊ばれていると知って逆上し、車を暴走させて心中を図ろうとするシーンは衝撃的でした😱

ジョナサンが最も大切にするのは理性と責任📗
 全ての患者に惜しみないサポートを注ぎ、不安がる相手を安心させるためなら、睡眠や食事を削ってでも対応する人です✨
 ただ、「本当にジョナサンが理性の塊か❓」と聞かれれば、疑問もありますが…🤔

トラブルの原因は、レイチェルが優柔不断なせい⁉️

レイチェルは基本的には常識的な女性だが…

 誤解のないように先に言っておくと、決してレイチェルはアバズレではありません❗️

 ジョナサンと同棲を始めた時は、とても真剣ですし、彼の働き過ぎを心配して気を遣うのも真心がこもっています💗
 今後の生活を考え、モデルを辞めてエージェントの仕事に切り替えようとする姿勢も好感が持てました🏢

 レイチェルは、本当はとても優しい女性だと思います。そして、その優しさがトラブルの原因にもなっているのが悲劇的🥺

 ジェームズから執拗にアプローチされている時も、拒否しようとしつつも結局会ってしまいます。

レイチェル:彼、キスしようとしたの。唇も顔もジョナサンそのまま。でも、もっと熱烈かも。

 レイチェルは優しいがゆえに、ジェームズの苦しみを感じとり、断れなくなってしまうのです。
 その時に断っておかないと、後でもっと深く傷つけることになるのに・・・。

 もちろん、単純に彼女が浮気っぽいのも否めません。本気でジェームズを断る気があるなら、ジョナサンに相談して防ぐことも可能だったはず。

 優柔不断さを考慮したとしても、やはり彼女は飽きっぽいタイプに感じました。

〜ここから先は物語の核心に触れます。未鑑賞の方はお気をつけください〜

双子の過去は、面倒になったレイチェルの口実になった?

ジョナサン(左)とジェームズ

 終盤になって明かされる、ジョナサンの過去の婚約者サンドラの存在。
 双子はどちらもサンドラの話を嫌がり、レイチェルは自分で調べだして、双子の両方と別れることを決めます。

 この過去の出来事の概要をまとめると、

  • ジョナサンは大学時代にサンドラと婚約していた。

  • ジョナサンの留守中にジェームズとサンドラの間で何かが起こる。

  • ジョナサンが怒り心頭に発して、婚約を破棄。

  • サンドラがガスで死にかけているのが発見される。

 しかし、この過去の出来事は、現在の状況と何の関係もないのがミソ😳

 レイチェル本人は気づいてませんが、彼女は双子との関係を続けていくのが面倒になり、別れたかったのでしょう。
 双子に隠し事があった事実は、ダシに使われたに過ぎません。

 というのも、サンドラをめぐる悲劇は全てが明らかになったわけでもなく、ましてジョナサンは完全な被害者
 普通ならジョナサンに同情こそすれ、別れる選択にはなり得ません❗️

 ジェームズとサンドラの関係に関しても不明。
 ジェームズを嫌うジョナサンが「断じてジェームズは騙しはしなかった」と言うのですから、ジェームズに極端な非があるようにも感じません🤔

ジョナサン:ジェームズはサンドラを愛してもなかったし、騙しもしなかったよ。ジェームズに夢中だったのは彼女だ。でも、ジェームズが振り向かないから、あの女は僕を利用したんだよ。

情報源はサンドラの母

 サンドラと双子のことについて話すのは、サンドラの母シェーラー夫人。しかし、彼女もまた「細かい成り行きは知らない。サンドラは話そうとしなかった」と言い、かなり憶測が混ざっている気もします🤔

 ちなみに、サンドラ本人は命を取り留めたものの、寝たきり状態です🛌

ジェームズはジョナサンの婚約を壊して…ない⁉️

ジェームズは卑劣なことはしない

 さっきの続きになりますが、ジョナサンとサンドラの婚約破棄は誰に責任があるのでしょうか❓

 この件について、ほとんど語らない当事者がジェームズです。サンドラの名を聞くと、バカにしたような顔をするだけ。
「シェーラー夫人から成り行きを聞いた」と、レイチェルが伝えても無反応です。

 ここは私個人の憶測になりますが、ジェームズとサンドラの間に肉体関係はなかったのではないかと思います。

 おそらく、サンドラがジョナサンを利用してジェームズに近づいたのは事実でしょう。ただ、ジェームズは彼女を軽蔑して拒んだのではないでしょうか。

 サンドラは母親に「ジェームズは残酷だ」と言ったようですが、ジェームズに拒否されてもそう言うでしょうね🤔

 映画の中のジェームズの態度を見れば、ジョナサンに対して何のやましい気持ちもなく、話し合って仲直りしたいと思っていたのは明らか💜

 私としては、この一件は身勝手なサンドラがジョナサンを利用して傷つけ、結果としてジェームズとジョナサンの兄弟仲まで壊してしまったと感じました

 さらに、ジョナサンがいかに悪口を言おうとも、ジェームズは卑劣ではありません❣️
 それは、彼のレイチェルへのアプローチを見ても分かります。

 最初からジェームズとして近づき、ジェームズとして愛することを求めています😇

 数回拒否された後で、ジョナサンのふりをして家宅侵入してしまうシーンはありますが、その時でさえベッドイン寸前で思いとどまり、正体を明かしました。(←もちろん、家宅侵入はダメよ、ジェームズ😇)

双子は2度同じ恋愛パターンを踏み、違う反応をする

ジョナサンとレイチェル

 面白いのは、サンドラの時とレイチェルの時では、一見すれば双子は同じパターンを踏んでいるのに、双子の反応は大きく異なることです😳

 まずジョナサンの態度を見ると、

  • サンドラの時
    →深く傷つき、激怒して婚約破棄。消息を絶ってしまう。

  • レイチェルへの時
    →彼女の浮気を知っても、関係の続行を望む。

 ジョナサンは本気でサンドラを愛していたと思います。10年経っても心の傷は癒えてなく、話がサンドラに触れると動揺を隠せません💔

 サンドラの裏切りは明らかにジョナサンのトラウマになっています。極度に理性的に振る舞うのも、傷つきたくないからかもしれません。

 それでも、レイチェルとの関係を壊したくない気持ちは強く、ジェームズとの関係を知った後も仲直りしようとはします💜

 サンドラと違って、レイチェルは本当にジョナサンを好きではありましたから、彼にも誠意は伝わっていたのでしょうね。

ジェームズとレイチェル

 一方でジェームズの態度も明らかに違います。

  • サンドラへの時
    →完全無視。

  • レイチェルの時
    →「生涯の伴侶にしたい」と言い、拒まれたら死ぬしかないとまで思いつめる。

 そもそも、ジェームズはいくらサンドラが口説いても振り向こうとしなかったのですから、無反応なのは当然。

 逆にレイチェルに対しては、側で見ても可哀想になるほど恋焦がれています❤️‍🔥

 かなり強引ではあっても、ジェームズが真剣にレイチェルを愛し、彼女との将来を夢見ているのは、誰にも否定できないでしょう✨

ジェームズの破滅的な恋💘あの箱の中身は何だったのか❓

ジェームズは一見明るいが、
実は生死を賭けた恋をするタイプ

 最初はジョナサンよりもお気楽なイメージで登場するジェームズ。
 しかし物語が進むにつれ、ジェームズが意外にもピュアで一途すぎるタイプなのが判明します。

 ジェームズは「レイチェルと気持ちが通じ合った」と信じていて、彼女が自分と一生を共にすることを夢見ています♥️

ジェームズ:きみは彼(ジョナサン)と結婚してもないし、彼も求婚してないんだろ?

ジェームズ:僕らのこと、ちゃんとジョナサンに話して。黙ったままフェイドアウトするのはよくないよ。彼の気持ちを考えなきゃ。

ジェームズ:(電話で)僕はきみを、一生熱愛するって決めたんだ。

 しかし、レイチェルにとってジェームズはただの【楽しい暇つぶしの相手】。

 このことに気がついた時、ジェームズはショックを受け、精神のバランスを崩すまでに追い詰められていきます💔

 レイチェルを車に乗せたまま、暴走させて無理心中しようとするシーンはこの映画の中でも、とりわけショッキング😱
 それでもギリギリの段階でレイチェルを車から追い出したのは、彼のわずかな良心の表れかもしれません。

ジェームズから送られた小箱

 その後、ジェームズが送りつけてくる小包も不気味❗️📦
 添えられたカードには「きみはダントンの小さな胸を引き裂いた」とあり、箱を開けると血まみれの何かが目に飛び込んできます😱

 これがいったい何だったかは本編で明かされることはなく、観客の解釈に委ねられています。

 ジェームズはダントンという猫を飼っていましたから、【猫の心臓を送りつけた】というのが単純な答えかもしれません。

 しかし、これはダメ。なぜかというと、その夜ジェームズが家に押し入ろうとする時に、この猫がトコトコと入ってくるからです😸

 さらに、ジェームズが次に書き残したメモには「きみは酷い勘違いをしたんだね」とあります。

 たぶん、ジェームズが言いたかったのは、「きみに弄ばれて、僕の胸は張り裂けてしまった。きみは罪のない猫を傷つけたのも同じ」ということではないか、と思います🤔

 では、入っていたおぞましい物体は何でしょう❓

 観客によって意見は分かれそうですが、おそらく心臓の形をした模型みたいなものではないかと思います。それに釘か何かを突き刺してあるように見えました。

 血はジェームズ本人の血でしょう。

 これは憶測の域ですが、レイチェルとの心中を思いとどまった後で、ジェームズは自傷行為を起こしたのかもしれません
 流れる血を見て、レイチェルに思い知らせてやりたい気持ちに抗えなくなったとしたら…🤔

 いずれにしても、真剣に恋するジェームズをここまで苦しめるなんて、レイチェルは残酷🥺

〜この先は結末に触れています。未鑑賞の方で、この映画を視聴予定の方・ネタバレに神経質な方はお控えください〜

生き残ったのはどっち❓

双子の対決と悲劇

 映画のラスト、ジョナサンとジェームズは両方とも自分の愛を伝え、どちらか選ぶようにレイチェルに迫ってきます。
 レイチェルが両方を拒否すると、双子は取っ組み合いの喧嘩を始め、ついに片方が銃弾に倒れて死亡。

 双子の片方が死んでしまうのは衝撃的でしたが、ここで純粋な疑問が1つ。

「死んだのはジョナサン それともジェームズ

 ややこしいのは、この喧嘩が始まった時、どちらも自分がジョナサンだと言い張ることです🤔

 途中も一度、ジェームズはレイチェルに電話をかけた時に「ジョナサンだよ」と名乗るシーンがあり、レイチェルが混乱します。

 さらに、ラストではジョナサンもいつもの冷静さを失っていますから、レイチェルにも観客にも見分けがつきません💦

 片方がレイチェルから銃を奪い、双子は取っ組み合いの喧嘩をしたあげく、銃声が響いて一方が息絶えます🥺

生き残った双子とレイチェル

 生き残ったほうはショックを受けながらも、「ジェームズは死んだ。これで僕だけ。きみは僕だけのもの」と、レイチェルに言います。

 レイチェルは慌てて逃げだし、全てを葬り去って人生をやり直そうと決めますが…。

無理そうです‼️

 彼女がお墓参りに行くと、生き残った双子はしっかり尾けてきていました😇

 レイチェルは無言で去りますが、映画のラストカットが衝撃で…😳

❓❓❓

 この双子は右手の薬指を触っていますね🧐本編を観た人は分かりますが、右手の薬指に指輪💍をはめていたのはジェームズ。そして、時々その指を触る癖があったんです。

 レイチェルが献花した墓碑銘は【ジェームズ・マクエヴァン】と書いてあるのに、なぜか薬指を触る癖のある双子が生きて立ってるんです‼️

 そう、死んだのはジョナサンでした😳

 あの取っ組み合いの時、ジョナサンはレイチェルから銃を引ったくり、止めようとするジェームズを振り切って自殺してしまったようです。

ジョナサンも本当は
それほど理性的ではなかった⁉️

 ジョナサンは一見いつも冷静なようで、実は激情を押し殺していただけなのかもしれません。

 過去のサンドラとのことで深い傷を負い、10年ぶりにやり直そうとした時に結局レイチェルからも裏切られて、ジョナサンは人生に絶望したのでしょう😞

 ジョナサン、あまりに可哀想で不遇な一生でした。

 ところで、生き残ったのがジェームズだとすると、喧嘩の時に「僕がジョナサンだ!」と言い張ったのはウソということになります。
 しかし、あの時のジェームズは本当に自分をジョナサンだと思い込んでいたのではないでしょうか❓

 何度も言うように、レイチェルに真剣交際を拒まれてからのジェームズはショックのあまり正気を失いかけています。
「自分がジョナサンなら彼女のそばにいられるのに」と苦しむうちに、本当に思い込むようになってしまったのかもしれません。

映画が終わった後はどうなる❓

ジェームズとレイチェルが
出会ったばかりの頃

 また私の憶測になりますが、たぶんレイチェルはどんなに逃げてもジェームズを振り切ることはできないでしょう。

 彼女の運命は二者択一。

  1. ジェームズを受け入れ、彼と生涯を共にする。

  2. ジェームズを拒み、ジェームズを死なせてしまう(レイチェル自身も殺される可能性大)。

 自分の蒔いた種は自分で刈らなければなりません🪴
 悪気はなかったとはいえ、レイチェルは軽々しく双子を弄び、面倒になったら逃げようとしています。これは許されません❗️

 彼女の軽率さのために、ジョナサンは自分で命を絶ち、ジェームズも死を考えるほど追い詰められています

 レイチェルは自分のしたことを反省して、ジェームズの愛を受け入れるべきです❤️‍🩹

 これは反発する方も多いかもしれませんが、男女問わず【優しいけど恋愛面で軽いタイプ】の人は、【束縛が強く、一途に愛するタイプ】と付き合うことで、欠点が治っていく事があります

 フィクションとはいえ、レイチェルが自分の過ちを正し、ジェームズの愛にしっかり応えることを願ってやみません💖

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