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誰もやらないアートをやる


みなさん、大晦日おめでとうございます。2022最後の日。
今日は来年への抱負という意味を含めて、私の本業【漆喰アート】について簡単に説明させていただこうと思いますので、お時間がある方はお付き合いいただけると嬉しいです。

漆喰アート、なぜ始めたのかというと理由は簡単。

我が家がDIYリフォームで古い壁を全て漆喰で塗り直したから、漆喰を利用して何か作りたいと思った。

というのが理由。
他の多くの人がやっていることではない事がしたかったので、漆喰というのは心躍りました。しかし問題が。


漆喰は、壁を塗るためのもの。

ものづくりには、全然向いていない素材であるという事。

しかも、オーガニック漆喰にこだわっているので、リアルに漆喰自体を1から自分たちで作ったものを使っていました。

お好み焼きとかでも、ツナギとして卵使ったりしますよね。
漆喰もツナギとして、スサと呼ばれる麻の糸状になった繊維や、フノリという海藻の塊を庭でドラム缶に入れて火を炊いて溶かし、いわゆる糊を作って投入します。

防腐剤はじめ、余計な添加物ゼロ。
意外と、ホームセンターで売ってる漆喰って添加物が入っている場合があるんです。便利に塗れるやつなんかは特に。
でもうちは、業者に頼んで、消石灰(Ca(OH)2)の大袋を大量入手し、スサ・フノリも手に入れて、自分たちで(っていうか作業するのは夫KEN)材料から丁寧に作って壁に漆喰を塗りました。

漆喰はとても素晴らしい機能を持っている素材でして、空気環境を調整(調湿・消臭性)する機能、自然素材であるからこその安全性(シックハウス症候群etcの原因物質を含まない)があり、また、漆喰は水分が加わることで強アルカリ性となり、微生物の繁殖を不活性化することもでき、不燃性であるため、蔵や城などによく使われている秀逸な建築材料です。

だがしかし、強アルカリ性になるということで…、ものづくりをするとなると素手で触ると危険なことになります。ビニ手必須。

結論を言うと、漆喰は建築にはとても良いがものづくり向けのものではない。

ということ。

それを敢えて、ものづくりに活かすという挑戦が始まりました。数年前。

漆喰の作業にはエプロンが必須。ちなみにこのエプロンのモデルしました。


漆喰作りを始めた当初は、家の、とある部屋の一角を作業場として確保。材料やら小道具やらで幅を取るようになってきたので、現在完成間近の【私の専用作業数ペース】へ引っ越しする予定です。
引っ越しし次第、作業に入ろうと思っていますが、どんな感じで作業してたのか雰囲気を写真でお伝えしたいと思います。


狭い作業場でした。


漆喰の強アルカリ予防にビニ手して作業しております。
どんなものを作っているのかというと、ジャンルで言えば【置物】でしょうかね。
当時はネット販売していて、『一目惚れでした!』と作品を購入してくれた方もおられて、私の手から生まれた作品が求められている場所へと飛び立つのがとても嬉しかったな。


漆喰は水分が【適量】でないと作品が作れないのです。


コネコネしたり、グイグイしたり、物を使って固定して硬化を待ったり(待ち過ぎて固まり過ぎたり)色んな技法を自分で試行錯誤で編み出して作ります。

あのね、これだけは言っておくけど、石膏や、陶器や、粘土とは全然作りやすさ違います。先述の通り、漆喰はものづくり用ではないので逆に向いてません。
途方もない労力がかかります。時間もかかります。失敗も沢山します。

ですが、私はADHDなので【過集中】(Hyperfocus)が尋常じゃありません。一度没頭すると気づいたら夕方、夜、みんな寝てる、なんて事も。過集中が原因で家庭内で喧嘩になったり不穏な空気になったりもします。なので過集中は時に生活における支障にもなるのですが、何かを作り上げる時はリミッター外れているので半端ない集中力で作業に没頭できます。(ただしその後魂抜けて激しい頭痛に見舞われますが。)

漆喰を台の上でコテでグイグイしているところ


こんなテカった卵みたいなの作るのも手間かかり過ぎます。


まあ、楽しそうな雰囲気が伝われば…と。


私はなんやかんやと障害があって、というか社会の方に障害があって、というかそんなことは今は議論しない。とにかく私には診断されている発達障害のADHDがあることはすでに書きましたが、それらが原因で普通に就職することが著しく困難です。
いや、働いたことはあるのですが、やはり継続が難しくて。診断でも就労は不可、と書かれている程度です。

でもだからって、何もしないで居られないのが私。落ち込んでいる場合ではない。(落ち込んだ日もあるけど)
自分流でできることを、と思うとたどり着いたのがアートの世界なんですよね。それも独特な。クセのある。


子どもが写真撮ってくれているのですが、嬉しそうですな。


漆喰置物づくりでは、漆喰の他の素材もこだわっています。プラスチックのチープな素材は折角の手間がかかる漆喰に失礼ってもんだ。

わざわざ古道具屋へ何度も足を運び、目や、口やら鼻やら用に使うパーツを古い金具の中から厳選して入手したのをストックしています。特に古い真鍮製のパーツなんかはアンティーク感を醸し出すのにとても良いので重宝しております。


細かさが勝負なので、色んなツールを駆使しております。


私は普通に(?)社会で働けない、社会不適合者という烙印が押されたようで残念な部分もありますが、好きなことを仕事にできるのは最高だとよく言われるじゃないですか?あれって、、

本当ですね…


大変でも、打ち込む事が楽しい、嬉しい、そんな事が自分の職となり、先ほども述べたようにどなたかが気に入ってくれるだなんて、最高なんですよ。
だから、ガサツな私ですが、作品作りに関しては丁寧に丁寧に作る訳です。


この時ばかりはとっても丁寧。


漆喰作りに専念していたのはかれこれ5年ほど前???(忘れた)
その当時は、某ネット販売プラットフォームで販売していたのですが、手前味噌ですが、その通販サイトで当店(あ、私のことです)の作品をピックアップして紹介していただいたことが何度かあります。売り上げにも繋がるし、(ああ、自分がやってることが人の目に留まり何か感じ取ってもらえたのなら、やることに意義があるんだな…)なんて思うのです。


写真右手、様々な金属パーツ(在庫はこんな数じゃありませんが)



最後に漆喰の粉を柔らかい筆で丁寧に落とす作業




粘土で作るより百二十倍大変なんだからね!


作品を作れば作るほどコツを掴んでくるし色んな技を身につけていきます。でもそこには必ず失敗はあって。なんかほら、陶芸家とかが思い通りの作品が出来なくて目の前の作品をぐちゃぐちゃーっと激しく壊すシーンってあるでしょ?あれ、結構私も疑似体験しました。失敗してこそナンボの世界ですね、こういうのは。

しかも超自己流なので、判断するのは私。自己満足にならないよう慎重にならざるを得ない。


今は水槽だらけになっている場所で漆喰くまさんと撮影


ちなみにこの漆喰置物、どれだけ丈夫なのかを以前実験したことがあります。
瓶に水を入れてその中に漆喰置物を浸して毎日観察し、溶けたり弱ったりしないか、自分の身長くらいから何度もコンクリートの上に落とし割れないか、火炙りにしたらどうなるか、トンカチで叩いたら、ハンマーで全力で叩いたら…等。多方面からの研究を積み上げた結果、


超絶丈夫である。


という結論が出ました。
なので、よほど繊細な部分がある作品(薄いクチバシとかね)意外、基本、落としても割れないと思います。なんにせよ…漆喰という特性がこのような結果を導き出しました。
消臭、防湿効果などもあるし、うちなんか脱衣場に漆喰で作った物入れを置いてますが何年経ってもカビの一つも生えません。
ちなみにアロマオイルを数滴垂らして、アロマストーン的な使い方もできて癒しがそこにはあります。

では、実際に販売していた作品をいくつかご紹介して、今回のnoteはおしまいにしたいと思います。


(不・苦労)こと、フクロウさん。錆びついた片目はアンティークの鋲。


きつねとくま。このフォルムは同じ物もう一つと言われても作れないかも。


しろくま起立ver. (アジサイは非売品)



別のユニークなふくろう。その時のインスピレーションで仕上がります。



ふわもこ・ひつじ。


この羊、漆喰の重ね塗りで作っているんですけどね。
毛のもこもこ具合を出すには、水分量とか逆に乾燥状態とか、色々タイミングを計算せねばならずかなり根気のいる作業でした。
でも、毛の部分が漆喰ならではの質感が出せた、自分のお気に入り第一位の座に着くことになりました。

この羊は、ちょっと手放せないなあ。と、販売もしてなかったのです。誰かにあげるということもなく、ずっと家に置いておこうと思っておりました、が…つい先日、天啓が。
「これを大事な人に託しなさい。」

みたいな。


そこで思ったんです。そうか、私が持っているより、この羊の価値を上げてくれる人がいる。その人のところに行くべきだ、と。

そして私がすべきなのは、今後もこの羊に負けないくらいの作品をコツコツと作り上げていくことなのだ、と。


譲渡した相手の人はとても喜んでくれて、飾っている姿の写真を撮ってくれました。
うん、やっぱり君は、あの子のところへ行くべきだったんだ。と、そう思いました。


もうすぐ完成する裏の作業場(new)に引っ越しするのが、年始早々の仕事だと思います。漆喰置物作りがメインになるかもしれないけど、漆喰だけじゃなく広い視野と沢山のアンテナ張って、実りある1年にしたいと思います。


読了お疲れ様でした。
漆喰活動、是非楽しみにしておいてくださいね!

では、良い年越しを!
2022、ありがとうございました。
2023、共に飛翔しましょう!

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