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身軽に生きるリアル・スナフキン。旅の仕方と世界観|旅暮らし ライターyutoさんインタビュー

あなたの周りにいる「気になる人」は、どんな方がいますか?人でも物でも雰囲気でも、どんなジャンルにも「世界観」は存在します。その人の世界観を紐解いていくインタビューシリーズ第2弾。

今回の気になる人は、旅暮らしをしながら毎日note執筆をし続ける若きwebライターのyutoさん。今一体どこにいるのかわからないほど世界中を飛び回っていて、11月の移動距離はなんとなんと15,476km。ピンとこない方には日本を2.5往復というとわかりやすいかもしれません。

そんな身軽に自由な旅をするyutoさんとの出会いは、トラベルクリエイターを養成するPoolojob2nd(※)でした。先日、私がマレーシアに行って土地の魅力を伝えるためのお土産イベントを行ったところ企画の趣旨に賛同してくださったyutoさんから、これから旅に向かう北欧のお土産をプレゼントしたいと連絡をいただきデンマークのお土産企画を一緒に行うことになったのです。

yutoさんの旅の記録(note)はただの旅情報とは異なる独自の世界観と読みやすさがあります。noteを初めて2ヶ月目で1万8千ビューを超えるほどの人気記事たちの魅力的な言葉の選び方や表現力はいったいどこからきているのか、1時間後には屋久島に旅立つyutoさんにお話を伺いました。

【 POOLO JOBとは 】
「旅を仕事にする」をテーマに人生の幅を広げる講座です。3か月間、ライティング・写真・SNSブランディングなどをベースに、旅先の経験をコンテンツ化・発信力を磨きます。TABIPPO主催。
webサイト:https://tabippo.net/poolo/course/job/

旅暮らしライターyutoさん

スナフキンの正体。旅するように暮らしはじめたきっかけ

「働いていたバーの従業員が全員クビになったんです。東京1位の店にする!と意気込んで大学院を休学しお昼の仕事もやめたところだったのですがやることがなくなってしまって。そんな時に拾ってもらったのが、友達が始めた熱海のホテルで。そこから旅暮らしが始まりました。」

すらっとした見た目とどこか掴み所のない雰囲気の持ち主で、まるでムーミンに出てくるスナフキンのような若者だなと思っていた。そんな彼が穏やかに話した内容はただ事ではない。学校も他のバイトもやめて全力集中しようとした仕事でクビ。しかもバーテンダー全員がクビになったというのだから店主の心境がどうしても気になってしまうが知る由もない。聞いただけで不安がよぎるが優しい人柄溢れるスナフキンの表情は変わらない。

聞くところによると2022年4月からシェアハウス住まいへ、そして2023年4月からホテルやゲストハウスなどで生活をしている。現在大学院を休学中でフリーランスの企業へのコンサルタントとしても活躍しているとのこと。「一体何者なのか?」という疑問が解けた瞬間だった。

「帰る場所はほしいです、切実に。ただあると言えばあるんです。この夏4ヶ月間住んだ熱海がそうですし、昨年住んでいた東京のシェアハウスにも月一くらいは帰っています。デンマークから帰ってきたときもシェアハウスで「おかえり」と言ってもらえて嬉しかったですね。」

この言葉を聞いて少し安心した。自由奔放な旅人というと、固定の家なんてなくても良い!という人もいるだろうが、旅好きな私としても心からほっと落ち着く家があるからこそ旅を楽しめると感じている。その認識は性別・世代・旅の仕方問わず共通のようだ。

落ち着きのある話し方からは想像できない予想外なエピソードをたくさん持っている

旅暮らしの中身。日本を2.5周した旅のルートとは?

「10月は1ヶ月東京にいてホテル暮らしをしていました。11月からで言うと、兵庫→島根(隠岐)→北海道→北欧→鹿児島の順ですね」

いつから遡れば良いかなぁと、旅を振り返りながら話をしてくれた。旅先の選定は、特に理由もなく行くこともあるが、イベントがあるから、友達がいるからという理由で選ぶこともあるという。今回の鹿児島は、種子島の洞窟でプラネタリウム(※)があるからだそう。

※種子島宇宙芸術祭 2023/12/12~12/14開催 詳細はこちらから

yutoさんの旅話を詳しく記載したいところだが、その土地に赴いた本人の記事ほど臨場感と面白味に勝るものはない。yutoさんの旅の記事は読めばその土地に行ったような気持ちにさせてくれる。状況の描写がとても鮮明で、心地よいリズム感のある文調が充実した読後感に変わるので旅の様子はこちらのnote記事を読んで欲しい。

フィンランドでは寒くて焚き火に当たっていたら靴が溶けてしまったと言う
無邪気に靴の裏を見せてくれた

ほとんど何も決めずに自由気ままな無計画をしているのかと思いきや、そうでもない。というのも今回デンマーク土産のプレゼント企画を一緒にやることになった時、掴み所のないスナフキンと思っていた青年から完璧な企画提案が送られてきてとても驚かされたからだ。
実際、旅に関してもどのように計画を立てているのだろうか。

「​​基本的には何も考えていないです(笑)今日の宿もさっき予約しましたし。無計画ですが、行く直前(もしくは向かっている途中に)念入りなリサーチをします。これによって臨機応変な旅ができるんです。無計画なのか入念なのかで言うと…直前まで無計画、一瞬入念になって、また無計画といった感じでしょうか。」

この話には続きがある。「屋久島のバスの時間は頭に入っています。」というセリフをきいて耳を疑った。バス停の時刻表がパッと頭に浮かぶ…。まさか何時何分にくるのかが書いてある、あの小さな文字を頭に入れているというというのか。目の前の青年の頭の良さと、自分を比べて絶望感にさいなまれたことは言うまでもない。

お土産企画の秘話と大切にしている想い

そもそもなぜデンマークのお土産企画を一緒にやろうと思ってくれたのだろう。マレーシアのお土産企画をした際に「素敵なアイディアですね!」と言ってくれる人は正直たくさんいた。ただ自分が当事者になるという提案をしてきたのはyutoさんだけだった。

しかもマレーシアと違って北欧は物価の高さで有名だ。それでもお土産に選んでくれた商品や品数を聞いて、私が一番初めにかけた言葉は「やりすぎです!(今後私が他の企画やりにくくなるから)どうか数を減らしてください(笑泣)」だった。

「マレーシアでJAMYさんが企画しているのいいなと思って。人に喜んでもらうのが好きだし、デンマークってなかなか行けないから需要ありそうだな、せっかくなら自分だけでやるのではなく、人と一緒にやったほうが楽しいよな、というわけでJAMYさんに協賛させてくださいと連絡しました。」

彼は一体何者なのか?という最初の質問へ、まさにふりだしに戻りそうな気分になる。20代の若者が「人に喜んでもらうのが好き」という気持ちだけでたくさんのお土産を用意できるなんて、日本の未来も明るい!なんて思ってしまった。プレゼントを選ぶ際もこんなことを思ってくれたという。

デンマークで手配してくれた紙袋も可愛い
手書きのメッセージまで用意してくれた心優しいスナフキン

「日々の中でふと立ち止まるきっかけになるなど、暮らしを豊かにしてくれるものを選んだつもりです。デンマークは幸福度ランキング上位で、その背景には「Hygge(ヒュッゲ)」という考え方があるそうです。心地良い時間といった意味で、このHyggeな暮らしをおすそわけできたらな、と思って。プレゼント選ぶのって本当に楽しいですね!」

笑顔が眩しい。こんなに純粋で人を喜ばせたいという、その思いだけで動ける力はこんなに眩しいのかとサングラスを持ってこなかった自分を責めたくなった。このピュアでまっすぐな姿勢は毎日欠かさないnoteの執筆にもつながっている。

毎日更新し続けると宣言したnote記事は1日も休むことなく続いている。初期段階から読んでいる、いち読者としては彼の文章力・表現力が格段に上がっていて、記事が公開されるとつい読みたくなる中毒性すら感じている。とはいえ継続ほど難しいことはない。「今日くらい書かなくても良いじゃないか」という魔物が襲ってくることはなかったのだろうか?

「ありましたね。はじめの1ヶ月は毎日やめたかった。noteを書くだけで一日が終わるのにほとんど読んでもらえていませんでしたから。今はもう習慣になったので、note投稿するのが当たり前になりました。ものにもよりますが、早ければ30分で書き上げられることもあります。」

これぞ継続は力なりを実証している。継続する秘訣はとにかく公言すること。近しい友人や講座仲間にもライターになるからnoteを毎日書くと宣言した。「書かないわけにはいかない状況を作り出しました」と笑っていた。

生まれ育った鹿児島・桜島を前に

そもそもライターを目指した理由はyutoさんの人生観にもつながる。

「僕は誰かの人生に影響を与えられたらいいなって、かつそれは目の前の1人じゃなくて、なるべく多くの人が良いと思っています。それができるのって、文章を書くこと、ものを作ること、サービスを作ること、とかだと思うんですけど、その中で今自分が1番実現できそうなのが文章を書くことだったんです。5年後は違うことをしているかもしれませんけど」

yutoさんの文章は読みやすく、自我が出ているわけでもないのに個性も感じられる。それでいて旅の記事を読むとついその土地に行きたくなる要素が詰まって居るエッセイにも近い要素がある。「自分の文章読んでもらうためには、自分が何を書きたいかではなくて、相手が何を知りたいか考えなきゃいけないと思って書いてます」その言葉を聞いて読後感の心地よさが理解できた。素晴らしい思想の持ち主はどんな未来を描いているのだろう。

「僕が文章を通してやりたいことは2つです。1つは、読んでくれた人、読者の人生をちょっと変えること。暮らしが少し良くなったら嬉しいですね。気持ちがふっと軽くなって休む時間をとってもいいなって思えたりだとか。あとは自分のやりたいことを考える時間をとってみようとか、人に優しくなれたりとか。」

「もう1つが、がんばっている人や地域のことを発信して、その人やサービス、地域のことを多くの人に届けられたら嬉しいなって。」

そんな心優しい青年に読者の方へのメッセージを聞くと「こんな人もいるから大丈夫。」だそうだ。「たかだか25年しか生きていない若造が言うのもなんですが、人生はなんとかなるものです。」yutoさんと話をしていると確かにそんな心がほぐれた気分にさせてくれる。

話が終わると高速船トッピーに乗り屋久島へ旅立って行った


編集後記~世界観がある人の共通点

私が気になると思う人は共通して、どこか掴めそうで掴めない、言葉に表しがたい魅力を持っていると改めて感じた時間でした。穏やかで優しい話し方の中にブレない真芯を大事に行動している。それが文章であれ旅の仕方であれ、常に一貫しているからこそ彼がアウトプットした記事や写真にはその想いが載って読者を魅了するのかと納得しました。

自分の思いを言語化できる人は年齢を重ねてもそんな多くはいないと感じています。それを25歳の若さで言葉にして体現している。周りの人が喜ぶことを自分の喜びとする優しい人柄が関わる人たちの暮らしを豊かにするのは明白で、彼の目指す姿はすぐに実現できる近い未来であると確信が持てたのでした。

そんなyutoさんがデンマークでセレクトしてくれたお土産プレゼント企画は12/15(金)まで応募可能です。日本国内の発送先ならどなたでも応募できますので少しでも気になったらご参加ください。詳細は下の記事にて。

Yuto
1998年鹿児島生まれ、鹿児島育ち。現在は旅をしながら街の魅力を伝える文章を書いて暮らしている。現在地はいつでも変わるのでXのプロフィール必見。 旅先や日常で見つけた「ちょっといい」をお届け中。
Yutoさんの最新情報はこちらから。
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〈取材・文・写真=Jamy Ayami(@jamylamp) >


writer :Jamy

世界観コーディネーター兼 地球を楽しむ旅人ライター。子供が1歳になったタイミングで起業。47カ国以上の渡航歴を持ち、旅を通して、役割にとらわれがちな女性の自己開放を促す、旅コミュニティ・地球クラブを主宰。合言葉は「地球のどこかで待ち合わせ」。
広島出身 鹿児島在住

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