見出し画像

出るのが早過ぎたC-C-B

80年代に流行ったアーティストのC-C-B。

現在はビリーアイリッシュを筆頭に多くのアーティストがカラフルな色を髪に入れている。

それは今に始まったことではないが著名人のみならず一般人にまで広く浸透していて、街でもよく見かけられる。

80年代ではカラフルな色を髪に入れることはまだ社会では認知されておらず、C-C-Bのカラーリングは「歌手(芸能人)の世界での話」とどこか住んでいる世界が違うといった傍観者的な立場が大方の見方だった。

C-C-Bのプロフィールについて

日本のロック・バンド。当初は“和製ビーチボーイズ”をコンセプトに、渡辺英樹、笠浩ニ、関口誠人の3人で“ココナッツボーイズ”として1982年に結成。翌年、シングル「キャンディ」でデビュー。84年のアルバム『ボーイズ・ライフ』より田口智治、米川英之が参加し、5人編成へ。85年、バンド名を“C-C-B”と改名。「Ramantic が止まらない」が大ヒット。その後も「ないものねだりの I Want You」などのヒットを重ねる。 87年4月に関口が独立。89年に解散。2008年に再結成。2014年6月、解散25周年記念ベスト盤&初ライヴ盤を発表。2015年にはワンマンライヴツアーを開催。
引用:レコチョク

当時、C-C-Bは「目立つため」にカラフルな髪の色にしたと理由を述べていた。

出ては消えを繰り返すかりそめの世界でどうやってバズるか?彼らが考えたのは、「誰もやっていないこと」だった。

誰もやっていないカラーリング

彼らが出始める頃はちょうどパステルカラーが流行していて、ピンクやグリーンといったカラーリングの髪の色とパステルカラーのファッションが相まってすぐさま火がついた。

このマスアピールは功を奏した。

少しでも目立つためにはどうすればいいか?生き抜くために考え出したヴィジュアルのアプローチは、正に今のSNSの生き残りをかけた活用法と同じと言える。

ピンクやグリーンなどのカラーリングを部分的に入れた初めての日本人アーティストはC-C-Bだ。

源流と言っても過言では無い。

ドラムがメインボーカル

もちろんビジュアルだでなく、音楽性でも「誰もやっていないこと」を体現してみせた。

メインボーカルが「ドラム」だ。

ドラムのみならずキーボードを含め全ての演奏者がボーカルを務めた。

アルバムではコーラスだけでなくそれぞれのソロパートが入った曲まで発表されている。

この見たこともない手法に最初は驚きと戸惑いがあったが、ドラムの笠浩二のハイトーンボイスと人懐っこさが相まってすぐにフィックスした。

コア層へのアピール

ピンクやグリーンといったカラーリングにメインボーカルがドラムというだけでも話題性は十分であったが、彼らはコア層へのアピールも忘れなかった。

電子ドラムだ。

電子ドラムをオーバーグラウンドに取り入れたのも日本ではC-C-Bが初めてと言える。

この電子音をふんだんに使ったテクノポップは後の日本の音楽シーンに与えた影響は計り知れない。

ヒップホップ要素

更に、C-C-Bは海外アーティストのトレンドも自身の音源に積極的に取り入れた。

その一つがヒップホップだ。

ないものねだりのI Wnat Youでは渡辺英樹と関口誠人がラップを披露している。

稚拙ではあるが、ラップを取り入れたという部分は非常に早かったと言える。

1987年に発表されたリミックスアルバムではなんとRUN DMCの音源がサンプリングされている。

それだけでなく、ヒップホップDJの代名詞とも言えるスクラッチまで入っている。

80年代のヒップホップはPUBLIC ENEMY,ERIC B & RAKIM,JUNGLE BROTHERSやDE LA SOULなどが台頭し、「畑」の違う人たちにもその情報は届き始めていた。

北野武は「本当に大事な情報は耳に入ってくる」と言っていたが、感度の高い彼らは情報のみならず音源まで取り入れていたのだ。

シングルカットされた曲のリミックスverがアルバムに収録されていたというのも当時は誰もやっていないことだった。

ヒップホップ要素が強く現れている。

このように他の誰もやっていない新しい試みをどんどん取り入れていったグループではあったが、ビジュアルがポップなところからどちらかというとアイドル的要素が強いグループという認識が先行している。

ヒット曲の元気なブロークンハート以降はトレードマークであったカラーリングも黒にして、少しずつそういった認識の脱却に向けた動きも見られた。

第27回日本レコード大賞金賞受賞やFNS歌謡祭の優秀歌謡音楽書を受賞するなど、C-C-Bは爆発的なヒットを連発し時代の寵児となった。

しかし、それぞれの音楽性の違いが出てきてグループ活動はそう長くは続かなかった。

1989年にC-C-Bの活動が終焉すると、メディアに取り上げられる曲は「ロマンティックが止まらない」だけとなり、一発屋的な印象操作をされるようになる。

こういう「感覚のズレ」がTV離れの始まりだったと言えるのではないか。

リミックス集

C-C-Bの才能にフォーカスが当たることはあまりなかったが、彼らには素晴らしい曲がたくさんあるのでぜひ聞いてみて欲しい。

シングルカットされているもので代表的な作品の一つが、この「元気なブロークンハート」。

C-C-Bは当時では珍しいリミックスverを作っていた。

いきなりキックから入るイントロは鳥肌が立つ。

Mobb DeepのShook Ones, Pt. IIを彷彿させる。

C-C-Bの音楽はジャンルに分類したらロックになるのだと思うが、ヒップホップ的なアプローチも得意としていた。

こちらが通常verです。

イントロからから違うのがわかります。

こちらはリミックスアルバムです。

他にもリミックスされた曲が多くあるので、探して聞いて見てほしい。

C-C-B厳選7曲

個人的なオススメ曲7選としては、

ーハートブレークカラー

ー不自然な君が好き

ー抱きしめたい

ースワンの城

ー流星のラストデート

ー冒険のススメ

ー青いブランケット

だ。

彼らの音楽は早過ぎたと言える。

そのくらい才能に溢れたグループだった。

渡辺英樹の早すぎる死、田口智治の逮捕等解散後のストーリーもどことなくヒップホップ的だ。

田口智治の更生を願うばかりだ。

オリジナルメンバーによる再結成はもう叶わないが、これかも音楽活動を通して次世代に才能を引き継いでいってほしい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?