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春咲小紅

 近所で桜が咲き始めたこの日、同じ場所でコサギの顔も桜色に染まっていました。
 サギたちも、そろそろ繁殖の季節ですねえ。

@杉並区 改めて見ると構図的にちょっとしくじっているのはご愛敬

●撮影ノート
「Ai Micro Nikkor 200mm F4S(IF)」+「FtZ」+「Nikon Z6」
FNo:5.6
シャッター速度:1/320
合成ISO:125
合成露出補正:-0.5EV
測光モード:なんとビックリ評価測光(妻と喋りながら撮っていたら、被写体と背景の輝度差が大きいのにピンポイント測光にするのを忘れてました)

 この時期の鳥は、自分が繁殖可能な状態、つまりはカップリングが可能な状態になったことを示すため、特殊な羽の色や形を呈します。
 これを、特に色に絞っては婚姻色と呼んでいるようです。
 このコサギの場合は、頭の後ろの長いヒョロッとした羽(冠羽と呼びます)が形状的な婚姻期のサインで、クチバシの付け根から目のあたりのピンクが婚姻色と言えるでしょう。
 私から見ると桜の時期にピンクに染まる婚姻色はなかなかにチャーミングで、可愛らしいなあといつも思います。

 そういうわけですので、この写真の一番のテーマは、このピンク色をきちんと見えるようにすることでした。
 ただ、このとき持っていたのは200mmのマニュアルフォーカス式のマクロレンズでしたので、鳥を驚かせずにバストカットだの顔のアップだのを撮ることはできません。
 また、最近の私は鳥がいる環境や細かなシーン込みで写真を撮りたいという欲求が強いので、そもそも顔のドアップは違うわけです。
――なんてことを考えつつ、妻と雑談しつつでコサギを眺めていたら、流れを遡っていた彼/彼女が暗がりからひょっと出てきて、瞬間、諸々の特徴が際立ったようだったので慌ててレンズを構えて撮ったのがこの写真です。

 夏場だと、こういうシーンは光がキツ目でコントラストが際立つわけですが、季節は春。かつ、大気中の黄砂やら花粉やらの影響もあって光は穏やかで、そのなかで「ほどほどに輝く婚姻色のコサギ」の姿がとても印象的でした。

 というわけで、撮影のタイミングとしては「コサギのピンク色の部分によく光が当たっている瞬間」を狙いつつ、露出は撮影時にはやや抑えめ(露出補正-1.0EVを現像時に-0.5EV相当へ)にしてコサギの白の諧調がよく出せるように撮りました。
 現像時は、春のほどほどな強さの午後の光をきちんと表現するために、こういう写真としてはやや柔らかなトーン(いわゆる逆S字)を選んで、劇場的ではあるけどナチュラルな絵柄としています。
 ホワイトバランスもできるだけリアルなものにしたかったので、春ののどかな暖色とコサギのリアルな羽色がきちんと出るくらいに調整しています。

 写真のコンテスト等へ出すような場合は、コサギの体の諧調部分以外はもっとハイコントラストにして、水の反射のはシアン寄りにしてみたり等するといいのかもですけどね。

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