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「燦然と咲く」

 この日見たツツジは、雨に濡れそぼっていてさえ輝かしい美しさを放っていたのです。
 ただただ、それを写したかった。

@三鷹市

●撮影ノート
「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」+「Nikon Z6」
焦点距離:45mm
FNo:5.6
シャッター速度:1/100
合成ISO:2800
合成露出補正:+0.3EV
 この時期のツツジとか、或いは夏場のハスの花とか、この世界には(ちょっと大袈裟な表現ですけど)浮世離れしたような色彩を放つ植物といいますか花があるわけです。
 このうち、ツツジのように群生した花なんかは写真にありのままを写すのがとても難しいなと感じています。
 もちろん、アンダーで撮ってみたり現像でファンタジックな表現をしたりで別方向からの極まったイメージを作ることはできます。
 でも、見て感動したままのイメージを自然に伝えることは難しいなあと。
 このへん、写真を撮られている方共通の悩みではないかと思うんですよ。
 ようは、あれほど華やいだものなのに、その様を忠実に写そうとすると非常に難しく、撮るたびにガッカリしてしまうわけです。
 私みたいな理系バカはエッセンスを素直に感じて写し込むのがヘタクソなので、ことさら「ナンデ?」と首を傾げる結果になりがちです。

 日常の写真を撮っている人間としては、それが非常に口惜しいわけです。
 だって少なからず感動させられた景色が目の前にあって、今も視線をやるたびに「スゲエ」ってなっているのに、あまつさえご大層な写真機をぶら下げてもいるというのに、それが撮れないなんて。

――ということもあって、この時期の感動的に綺麗な花々というのは、私が出会う被写体のなかで特に挑戦的に感じてしまうものではあります。
 当然この一枚も、自然な彼らの美しさをこの一枚にしまい込めているといいなと思いつつ、珍しく試行錯誤しながらシャッターを切ったのではありました。

 なお、この写真を撮る上で考えていたことは、まずは構図的にあまり主役っぽい部分を感じさせず、視線がほどほどで収まるようにすることでした。
 このために、本来なら目を引きそうな部分をいわゆる1/3構図的な部分よりやや中央寄りに置いて、作られた絵っぽさが薄まるようにしました。
 多分目で見ていた時も、そんなふうに一部にピントを合わせつつも全体を見ながら「スゲエ」となっていたと思うので。

 また、花のハイトーンの部分が色飽和していると現像時にもどうにも出来なくなり、肝心な部分の描写が破綻しがちです。
 てことで、撮影時はやや露出を落とし気味に撮って、現像時にギリギリまで戻しつつ花と葉っぱが自然に見えるトーンカーブを作りました。

 さらにコントラスト、彩度、解像感は、デフォルトのままだと過剰なので、とりあえず一度落としてから主にトーンで調整しています。
 デフォルトのままだと花びらが鋭利な刃物のように見えてしまっていたので。

 ちなみにこういう風景を撮る場合、ボケた部分にあまり輪郭が付きすぎるとそこに過剰に目が行ってしまってよろしくはないです。
 また、ピン位置の解像感があまりにも高すぎると、他のボケた部分とのバランスに苦労します。
 てことでこういう写真は、ボケが綺麗で、距離ごとのボケ方もなだらかなレンズを使うといいと思っています。

 以上、後半だけでもご参考になれば。

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