こっちの言い分
この人はどうしたって、あわただしい。12月は、しょうがないのかしらね。
わたしには目もくれずに、テレビを観ながら体操したり、台所でなにか作っては食べたり。
パソコンにも向かってたわ。
このところは、お客さんもいたみたいね。
「いよいよわたしの出番……!?」と期待したのに、テーブルに置けないくらいの食べ物が並んで、わたしのことなんてまったく忘れちゃってたじゃない。んもう!
忘年会、忘年会、出張……帰ってきたら、クリスマス。
ああ、あんなによれよれになって。
寝間着姿のまま用事を片付けて、ベッドに舞い戻ったりして。
そんな日が2、3日続いたかしら。
もう今年は使ってもらえないのかもしれない、なんて諦めていたとき。
意を決したような顔をして、あなたはわたしを手にとったわね。
オイルを追加して、そっと火をつけて。しばらく眺めていたね。
クリスマス・イブの深夜に毎年やっているラジオ、沢木耕太郎さんの「ミッドナイト・エクスプレス」のタイムフリー放送を流していた。
ほら、やっとその顔になった……。
ゆっくり、ゆったり、ね。
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