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(海底の様子を大きな音を出して調査することが出来るそうですが)お魚さん達はびっくりしないの?

まおさん(幼稚園:年少)からの質問
(回答:高知コア研究所 濱田)

 お魚さんたちに優しい質問ですね。私もお魚を飼っていて、小さな音でもパッと逃げてしまう、という経験があります。水族館やペットショップでも「お魚さんがおどろくから水そうをたたかないで!」と書いてありますよね。 音を出して地下や海底下の地層の様子を調べる方法を地震探査といいます。「地震」という言葉が入っていますが、これは災害を起こすようなゆれのことではなくて、「音(正確には弾性波 (だんせいは)、といいます)」のことです。ややこしいですね。病院のエコー (超音波) 検査ととてもよく似ています。地球の中がどうなっているのかを調べるのと、人間のお腹の中がどうなっているのかを検査するのと、同じような方法を使っているのですね。

 さて、地震探査のときに使う音はエコー検査のときと違ってとても大きな音です。私も去年(2021年)海の地震探査に参加しましたが、船の上でもエアガン(空気で音を出す機械)からドン!という音が聞こえていました。この音がクジラやイルカ、ウミガメ、魚などにどのような影響が出るのか、というのはよく調べられています。もしエアガンから数十メートルくらいの場所にいると、びっくりして逃げだしたり、少しのあいだ耳が聞こえづらくなるかもしれない、ということです。ただ、大きな音が近くでなっても、まったくびっくりしない魚もいたり、またエアガンの音は飛行機の音のようにずっと鳴っているわけではないので、イルカどうしの会話を邪魔したりすることもないようです。とはいっても、海のいきものにできるだけ迷惑をかけないように、地震探査をする国や会社どうしで「こうやったらあまりびっくりさせないよ!」という方法をとりまとめています。

保護者の方へ

 ご質問どうもありがとうございます。地震探査の海洋生物への影響はよく研究されており、総じて「大きな影響はない」と評価されています。ただ、影響を可能な限り抑えるための努力はされており、調査前の目視観測や、エアガン出力を徐々に上げていくソフトスタートの実施など、ガイドラインも定められています。JAMSTECの「かいめい」という船にも、地震探査を行う際に海生哺乳類の監視を行うための見張り台が設置されています。

参考文献:

  • 長野雄大・松澤進一(JOGMEC)「海洋地震探鉱における環境への
    取り組み」2009年

  • 物理探査学会「物理探査ハンドブック」1998年

  • DNV Energy,「Effects of Seismic Surveys on Fish, Fish Catches and Sea Mammals」2007年

  • 「かいめい」大解明! - 推進機関編 -

  • 「かいめい」大解明! - 調査研究設備編 -

#地震 #弾性波 #探査 #かいめい #研究 #JAMSTEC #高知コア研究所