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故郷と現住地のはざまに

関西に移り住んでから一年半が過ぎた。
30℃を切ると「涼しくなったな」と思うようになり、札幌での生活感覚と少しずつズレが生じ始めている。

このままこちらの生活に溶け込んでいくのだろうかと思っていた。ところが、今年は帰郷できそうにないと分かると、途端に北海道が恋しくなってくる。
実家のある街に戻りたい訳ではなく、人生の半分以上を過ごした札幌に帰りたい。
お気に入りの旭川ラーメンの店、古い市場、年三度の神社祭とテキ屋の長い列。無駄に多い美容室と飲屋街。
何年も前に無くなってしまったゲームセンターで、わいわいとバーチャロン。そしてクレーンゲームで取りまくってたのは私ですごめんなさい。
私にとっての故郷はすでに札幌、それも西区の琴似と呼ばれる界隈なのだ。

だが、札幌に私の拠点は無い。
借りていたアパートを引き払ってこちらに来たのだから当たり前の話だ。
妹たちはそれぞれに家庭を持ち子育てに忙しく、三十代という大切な時間を必死に生きている。当然そこに転がり込む余地はない。

実家には元々居場所が無い。
両親が住む家は私が就職してから建て直した家で、元の実家に比べるととてつもなく広い。妹達が抜けたことで空き部屋は有るけど、犬のトイレ部屋兼謎の健康器具置き場となっている。とてもじゃないがプライバシーは保たれず、落ち着くことが許されない。

古い方の実家は狭い3LDKの平屋でカビ臭く、冬になれば窓の内側が凍りつく。たまーに金縛りに遭ったり、ラップ音とかいうものが聞こえたけど、あれが自分にとっての唯一の実家。
二度と住みたいとは思わないけどね。

今住んでいる場所は何もなければ長くなりそうだが、割と地元の雰囲気に似ているので嫌いではない。ご近所さんとの程よい距離感がなんとも快適である。
ただ、あと十年も経てば駅までの距離や買い物の利便性に頭を抱えることになりそうだ。どんなに抗おうとしても老いていく肉体に、駅やスーパーまでの距離が辛くなってくる。この辺りについては家族とも話し合っている。

もっとも、その時になってみないと何も分からないのだけど。

あー、もー、5000兆円とか言わないから5億円くらい非課税でゲット出来ないものか。タワーマンションとか言わないから適当な新築マンション買って、のんびりと暮らしたい。それだけあれば将来の改修費用や管理費もなんとかなるだろうし。
でもって、残りのお金で札幌通いまくって琴似の美味しい海鮮居酒屋さんで食べまくる。

妄想だけならタダだから許してね。

以上。

何やらサポートをすると私の体重が増える仕組みになっているようです