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雷鳴

ここのところ、急な雨と雷で翻弄される日々が続いている。
秋だから仕方ないと思いながら空を眺め、雨が落ち着くのをじっと待つ。

雨は少し困るけど、雷は好きだ。

光の速度を知った子どもの時から、光った瞬間から何秒後に音が響くかを確認してその距離を計算する。そんなことを今でもやっている。
流石に同時に落ちた時は心臓がバクバク言うけれど、それがまた愉しいと思うのは変態なのだろうか。

もちろん雷は困った事態も引き起こす。
実家のインターフォンに直撃して、総取り替えする事件が十年ほど前に発生した。
所詮は自分の家ではないし、新しく高機能の買えて良かったじゃないとその時は思った。しばらくして、家がそこから火事にならずに済んだからそれで終わったのだと気づいて青ざめた。

「もっとふれー! 死ぬ程ふれー!」
「もっとふれー!」

外で子どもたちが雨の中を元気に歩く声がする。
もしかしたら私の心は彼らくらいの年頃で止まっているのかもしれない。

自然よりも人工物に囲まれている方が安心できるけれども、雷の音だけは自分が自然の一部なのだと感じ取ることができるのだ。
とはいえそれは遠雷の話であり、近くにはやはり落ちて欲しくない。ましてや自宅なんてゴメンだ。

近くに雷が落ちたのか、引き裂くような音がして雨足が一層激しさを増してきた。
子どもたちの声はもう聞こえない。
もう彼らは家に着いたのだろうか。

それだけが少し心配だ。

何やらサポートをすると私の体重が増える仕組みになっているようです