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3月21日は世界ダウン症の日:今年のテーマは「With Us Not For Us」

ダウン症と聞いて思い出すのは、日本で暮らしたことがあるニュージーランド人の語学学校経営者が、日本にはダウン症のある子供たち専用の施設があってびっくりしたと言っていたこと。

その話を聞いたのが、既に20年以上前のこと。ご自身の子供さんたちが小学生の頃、日本で暮らしていたそうで、話を聞いた時点で、その子供さんたちは、既に大人になられていたので、今から30年以上前の話だと思います。
日本ではダウン症のある子供さんたちを隔離しているように見えたらしく、信じられないと言っていました。

ニュージーランドでは、当時から、ダウン症のある子供さんも、他の兄弟や近所の子供たちと同じ普通学校(mainstream school)に通う場合が多かったようです。必要に応じて、同じ学校内にある特別支援学級で授業を受けたり、通常クラスで授業を受ける際には個別アシスタントがついたり、ということはあるみたいです。

実際のところ、日本ではどういう状況だったのか、残念ながら、日本に住んでいた頃には、ダウン症のある方々と接する機会がなかった私には分かりませんが、ニュージーランドに来てからは、ダウン症のある方々が登場する番組を見たり、職場の同僚の子供さんにダウン症があったりと、少しは情報に触れる機会がありました。

でも、まだまだ知らないことが多いし、今日、3月21日は「世界ダウン症の日」ということもあって、もっともっと知りたいと、情報をいくつか集めてみました。

ダウン症とは?

3月21日が「世界ダウン症の日」に制定された理由は、ダウン症が、

体細胞の21番染色体が通常より1本多く存在し、計3本(トリソミー症)になることで発症する先天性疾患群

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

だからだそうです。

今年(2023年)のテーマは「With Us Not For Us」

下記、World Down Syndrome Day (WDSD)のWebサイトに、このテーマについての解説ページYouTube動画がありますが、そこには、ダウン症のある人たちからの強いメッセージが含まれていました。
ダウン症のある人たちをサポートする団体やそこで働く人たちの中には、ダウン症のある人たちの意見に直接耳を傾けることなく、ダウン症のある人たちにとってどんなサポートが必要なのかとか、何がベストなのかなど、ダウン症のある人たちの為(For Us)に、良かれと思って、ものごとを勝手に決めてしまう人たちがいるようです。何かを決める時に、当事者であるダウン症のある人たちと一緒(With Us)に決めることが、真のInclusiveなサポートにつながるというのが、今年のテーマに込められた大切なメッセージです。また、サポートを受ける受けないの選択の自由や、サポートを受けるのではなくサポートを提供する側として仕事をする機会等も、同じように与えられるべきといった意味も含められているようです。
この「With Us Not For Us」というコンセプトは、ダウン症以外の障害がある方や、介護が必要な方や、病気の方や、生活困窮者の方等など、いろんな方々のサポートの時にも言えることですよね。


2023年「RIDICULOUS EXCUSES NOT TO BE INCLUSIVE」キャンペーン動画

誰ひとり排除されない「インクルーシブ/inclusive」な社会が大切と言われつつ、日々の生活の中では、その逆のことが起きていることを皮肉ったキャンペーン動画が、今年、TikTokを中心に配信されるそうです。YouTubeにもアップされていたので、その動画をご紹介しておきます。
英語を含む五か国語の字幕が用意されているんですが、日本語はなかったので、簡単に、動画の下に説明を加えておきます。

動画の概要:
こんなにインクルーシブな世界にと言われている中で、それでも、どうしてもインクルーシブにしたくないというあなたに残された方法は一つだけ。
今から出てくるような「RIDICULOUS EXCUSES(ばかげた言い訳)」を見つけること
として、五つの例が紹介されています。

一つ目は、遠足に行くスクールバス。
一緒に連れていく受け入れ準備が出来ていないからと断られてしまいます。
「It's not you, my dear. It's us.」
(あなたのせいじゃないのよ、私たちのせいなの)
と、気遣ってくれているような言い訳をされてしまいます。

二つ目は、柔道のクラスに申し込もうとした時。
火曜日の朝10時なら空いてるといわれます。
が、朝10時は学校があるので無理だというと、参加不可能なその時間が唯一の空き時間だと言われます。
そして、お掃除をしている人に相槌を求めてたりします。

三つ目は、サマーキャンプに参加しようとした時。
申し訳ありませんがと申し訳なさそうな顔で言いつつ、
「we already have one of those kids」
すでに同じような子(障害を持っている子?)が一人参加しているからとうい理由で断られます。

四つ目は、ミーティングに参加しようとした時。
椅子が足りないからという理由で断られます。

五つ目は、演劇のクラスに参加しようとした時。
ちょうど 10 分前に登録を締め切ったところだからと断られます。

断る人たちは、みんな、「私はあなたを排除したくはないのよ、、、」というような、申し訳なさそうな顔をしたりしますが、ダウン症のある人が相手でなければ使わなかったであろう様々な言い訳で、断っています。

そういった場面を目撃したら、知らない振りをするのではなくて、結果が変えられるかどうかにかかわらず、「それって、おかしい!」と、一言、言えるようになりたいですね。
みんなの意識を変えていく為には、当事者以外が味方になることが、大切な気がします。


ニュージーランドでの世界ダウン症の日のイベント

New Zealand Down Syndrome Association (NZDSA)では、コロナ禍をきっかけに始まったという世界ダウン症の日のオンラインイベント「THE BIG CONNECT WDSDが、ニュージーランド時間の午後7時(日本時間の午後3時)から今年(2023年)も行われるそうです。


ダウン症のある女優さんが主演のニュージーランド映画「Poppy」

自動車修理工になることを夢見るダウン症のある主人公「Poppy(ポピー)」が、障害によって自分の人生が決められてしまうことを拒否して、自分の人生は自分で切り開いていこうとするストーリーです。
ダウン症に偏見を持つ人たちだけでなく、どうしても過保護になってしまう家族(お兄さん)の視点も含めてあります。

YouTubeで公開されている予告編:
車の運転が上手だと褒められた時に、Poppyが、"I get a little bit extra"と、スキルがあることと、染色体が1本多いことをかけて、いたずらっぽく言う場面がありますが、ダウン症のあることは、プラスであるという主人公のこのメッセージが、印象深いです。


昨年(2022年)の映画のプレミアでインタビューを受ける主演女優のLibby Hunsdaleさんと監督や共演者など:


New Zealand Film Commissionの映画「Poppy」の詳細ページ:

※ニュージーランド国内からは、TVNZのオンデマンドサービスで、映画「Poppy」を観ることができます。(無料ユーザー登録&ログイン要)

ダウン症のある子どもさんの療育手帳

ダウン症のある子供さんの子育てに役立つ情報等を探してみたんですが、日本は、各都道府県、各市町村に窓口があって、情報の入り口がたくさんあるみたいですね。
ニュージーランドは人口も約500万人と少ないので、コロナ対策の情報等もそうでしたが、各分野の情報の窓口は一つ。インターネット上のポータルサイトに行けば、そこから、すべての必要な情報へと枝分かれしているという場合が多いように思います。

日本の情報も、入り口を一つにして、共通している情報にも、相談窓口といった枝分かれしている情報にも、そこから辿り着けるようにしてあると、便利なのになぁと感じました。

情報窓口がたくさんあり過ぎたので、療育手帳がダウンロードできるページのみご紹介しておきます。

下記リンクは、「ダウン症のあるお子さんのための母子手帳の役割を果たす手帳」を無料でダウンロードしたり、取り寄せたり(1冊140円の送料のみ要)することができるページへのリンクです。ダウン症のあるお子さんの子育て情報が一冊にまとめてあります。(分割ダウンロードも可)


以上、世界ダウン症の日にちなんで、ダウン症に関する情報を記事にしてみました。

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