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オーストラリアで見た映画万引き家族

昨年のオーストラリアのバーマギュイでクリスマスホリディ中のこと。

イギリス人とオーストラリア人とアメリカ人の親しいヒッピーのお友達とともに一昨年前にヒットした是枝監督の「万引き家族ーえいごではShoplifters」 を初めて観ました。万引き家族のような思想性の高い日本の映画を外国で鑑賞すると、日本で育ったことの意味をちょっと離れたところからふたたび味わえるようです。

表向きの正義とかモラルからはみ出したところで生きるしかない階層の日本人たちが万引き、売春、騙し、ギャンブル、殺人、違法行為などで生き延びている様子を俳優たちのボディランゲージや言葉口調とともに生き生きと描いているこの映画がなんとも日本人の私には心地がいい。

一緒に映画を鑑賞してくれたヒッピーの方たちは、みな「万引き家族」が気に入ったみたいでした。字幕を読みながら、適切なところで笑い、しっかりストーリーについて来てました。みんなの感想:ストーリーの展開や俳優の表現が、ハリウッド映画のように型にはまっていなくて自由でいい、俳優の演技がうまい、自分が出会った日本人とは全然違ってて面白い、演出の仕方が賢いということでした。

映画を見終わって、日本の自分の両親のことを思い出していました。

私の両親は、日本のいわゆる良家の出身です。二人ともその堅苦しさの犠牲になっていたので、万引き家族のキャラクターたちのように感情も人間臭さもむき出しで、正しくあることができない人たちに、ある種の憧れを持っていました。「自分はあんな風になれないけど、あんな風に自分をむき出しにしている人ってすごい!」というのが二人の本音だったように思う。

そんな両親は、社会的にも経済的にも恵まれた階級の人間は、恵まれない階層の人たちから刺激を受け、人生修行をするのが良いという理想主義的思想を持っていました。

母は小学校の教師で、社会にもまれた貧困層の人たちが住む地域で言語障害や学習障害を持つ子供たちと親を相手にする仕事をしていました。そのため、万引き家族っぽい人たちと日常的に交流していました。母は、その日1日の出来事を毎晩、晩ご飯を食べながら生き生きと語ってくれました。

父は人権問題に関わるのが好きな弁護士で、心理的に追い詰められて連続殺人を犯してしまった男性を弁護したり、在日韓国人問題に関わることで自分のえねるぎーを活性化していました。

両親は子供をブランドの私学とかに行かせることをバカにしていて、私は小学校から高校まで公立の学校に通うことになりました。特に中学生の頃は、滋賀県大津市のその他の地域の子供たちと合流し、恵まれない家庭の子供達にたくさん出会いました。

私は、自分とは異質な人たちと付き合うことが好きだった両親の娘なので、そのスピリットで無謀にも、恵まれない母子家庭の女子にアプローチし、友達になる努力をしました。しかし、その気持ちは完全に裏切られ、私は彼女が普段の鬱憤を晴らすターゲットにされました。一年ほど制服を脱がされるという被害にあいました。

あの当時にまつわるトラウマから抜け出すのにものすごい時間とセラピーセッションと試行錯誤を要したけど、今となっては必然的なところを通ってきたのがわかる。そして両親の型にはまらない荒療治的な教育方針にも苦しかったけど感謝しています。

あの時のトラウマがなかったら、自分の感情を抱きしめ、自分の本質に気づくことも、人類に共通の渇望である人間解放の道を歩むこともなかっただろう。今のように型にはまらない生き方をしているヒッピーのおともだちと映画鑑賞やギャザリングとかで交流することもなかったでしょう。

自分の精神を育んでくれた日本文化が懐かしい〜

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