ジャイアントキリング?

前書き

本投稿は8月18日時点で9割方書き終えていたものの、画竜点睛を欠いたまま放置しており、全くもって時期外れなタイミングとなってしまいましたがせっかく書いたので公開します。

本題

第104回全国高等学校野球選手権大会準々決勝にて大阪桐蔭高校対下関国際高校の試合で下関国際が大阪桐蔭を下し、大方の予想を覆す結果となりました。

この結果に対して「ジャイアントキリングだ!」勢と「ジャイアントキリングじゃない!実力だ!」勢がいるのをTwitterで散見したのですが、どちらの意見にも違和感を感じたので思ったことを書き記します。

そもそも「ジャイアントキリング」とは?

Web検索していくつかの説明文を要約すると格下の者(チーム)が格上の者(チーム)を打ち負かすことを意味すると言えるだろう。日本語訳として一般的に用いられる言葉は「大番狂わせ」だ。
この「格下・格上」の判断が難しい。試合を100回やって51勝49敗の2チームがあった場合、51勝のチームが格上とは呼ばず互角と呼ばれるべきだろう。
では60勝40敗や70勝30敗ではどうか。確かに戦力差はあるが、必ずしも60勝や70勝のチームが格上と言うことができるのか。
参考までに2021年のセ・リーグ1位チームヤクルトスワローズと6位チームDeNAベイスターズの戦績はヤクルトスワローズが17勝6敗2分、100戦やったと仮定すると68勝24敗8分である。一見大きな戦力差があるように見えるが、ヤクルトはDeNAより格上なのか?DeNAがヤクルトに勝つことはジャイアントキリングなのか?
確かに実力はヤクルトの方があると言えるかもしれないが、同じプロ野球チームの中で"格"が付くのだろうか。
ちなみに2020年の戦績はヤクルトの11勝12敗1分、2022年の戦績はヤクルトの16勝9敗0分だ。

では下関国際対大阪桐蔭は?

下関国際高校野球部も大阪桐蔭高校野球部も共に15歳〜18歳の高校生であり、両チーム地方予選を勝ち上がり、全国高校野球選手権大会本戦ベスト8まで勝ち上がってきた強豪チームである。
もちろんトーナメント方式であるから1度の勝敗で結果が決まってしまう。まぐれ勝ちでも上に進むことができる。(この「まぐれ勝ち」の規模が大きいものをジャイアントキリングと呼ぶのだろうか。)
しかし、山口県大会5戦、全国大会2戦を勝ち上がって準々決勝まで来たチームはここまでまぐれ勝ちを拾ってきただけのチームなのだろうか。たまたま引きが良かっただけのチームなのだろうか。ちなみに下関国際高校は本大会が4年ぶり3度目の出場である。
対する大阪桐蔭高校は過去に2度の連続春夏連覇を達成するなど、その輝かしい成績は枚挙にいとまがない程の超強豪校であることには間違いない。が、先にも述べたように同年代だけで構成され、全国大会ベスト8まで勝ち上がってきた両チームに格が付くのだろうか。

結論

長々と疑問点のみを連ねたが、言いたいことは「ジャイアントキリングでもないし、実力通りの結果でもない」ということである。
私自身野球は好きだが特別明るいわけではないので、個々のプレーや数試合を見ただけでその実力を精度高く推し量ることはできないが、実績と下馬票から考えると大阪桐蔭の方が実力があると言うことができるだろう。
問題はその実力差だ。前段で100戦やったらの仮定を述べたが、仮に両校が100戦やったらおそらく大阪桐蔭が勝ち越すだろう。では下関国際は何勝できるのか。40勝なのか、はたまた30勝なのか、あるいは20勝であるのか。
それは誰にも分からない事ではあるが、それが1勝や2勝、あるいは1勝もできないということはないだろう。それほどまでの実力差があるのであれば正しく「ジャイアントキリング」と呼ぶに相応しい勝利であるが。

ここで結論に戻ると、実力だけで見れば高確率(>50%)で大阪桐蔭が勝つであろう試合に下関国際が勝ったが、その結果は必ずしも完全な実力通りではないが、ジャイアントキリングと呼ぶようなものでもないということだ。

余談

書きながら思った事だが、ハンターハンターキメラアント編(19巻210話)のキルアとビスケの会話に通ずるものがあると感じた。

ハンターハンター19巻より引用

ここでの「戦闘力」を「野球の実力」と置き換えると大阪桐蔭がDであり、下関国際はAやCに当たるのではないか。
そしてジャイアントキリングとはこの場合のBやEがDに勝つことを指すのではないか。

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